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資料3 社会保障② (31 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/20251111zaiseia.html
出典情報 財政制度等審議会 財政制度分科会(11/11)《財務省》
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医療提供の効率化 ②質の評価
○ 医療の価値は、必ずしも投入された人材に比例するものではない。しかしながら、価値の評価(≒アウトカム評価)に基づき医療の価格を客観的に設定すること
を回避してきたため、診療報酬体系は、「診療に要する経費を補填する」との考え方を基本とし、ストラクチャー評価を基礎として構築されてきた。
○ 診療報酬でのストラクチャー評価は、他の福祉分野と比べてもその厳格さが際立つ。例えば、看護職員の配置は、医療法上で定められた最低基準に加え、入
院患者の特性等に応じて診療報酬上で上乗せの配置が要請されている。この診療報酬上の基準は、「実質配置」を求めるものであり、常時一定の職員が配置
されることが基本となっている。リハビリ職員等についても同様で、常勤や専従を条件とする加算が多く設定されている。
○ 人手不足が深刻化し、職員の賃上げの必要性が高まる中、ストラクチャー評価によって手厚い人員配置がインセンティブ付けされていることは、できるだけ少ない
人手で質の高い医療を提供しようとする努力を阻害しているおそれ。今後の医療の質の評価のあり方として、アウトカム評価に重心を移していくことと併せ、配置
基準の見直しを検討していくべき。さらに、出来高払いから包括払いへと、報酬体系を見直していくことも必要ではないか。
◆ ストラクチャー評価・アウトカム評価
✓ 医療の質を評価するためのドナベディアン・モデルにおいては、①ストラクチャー、
②プロセス、③アウトカムの3つの評価の観点が存在。
✓ ストラクチャー及びプロセスは、それぞれ医療提供体制の整備度合い及び診療
行為の過程を評価するものであり、最終的な医療の「質」との関連性は間接
的であるが、客観的かつ定量的な計測可能性が高いため、診療報酬上の評
価基準に多く採用されている。
✓ アウトカムは、医療の提供が患者に及ぼした影響に着目するため、「質」の評価
に最も近いが、客観的・定量的計測が難しく、診療報酬上の評価基準にはあ
まり採用されていない。

ストラクチャー
プロセス
アウトカム

(例)医療従事者の配置数
医療設備の質・量
救急医療体制の整備状況
電子カルテの導入状況 等
(例)薬剤の適正投与率
リハビリの実施回数
検査の実施率
(例)生活の質の改善
患者やその家族の満足度
平均在院日数・在宅復帰率

◆ 医療法上の衛生規制及び診療報酬上の実質配置基準について
✓ 医療法上、適正な医療の実施のため、医療機関において有するべき人員の「基準」が示
されている(注1)。病院(一般病床)における看護職員の「基準」は、「実質配置」換算
で 15 : 1に相当する(注2)。
(注1)満たさない場合には、都道府県の改善指導・業務停止命令等の対象となる(医療法第21条、同法
第23条の2、医療法施行規則第19条)。
(注2)医療法上の「雇用配置」3:1から「実質配置」15:1への換算は、1日の労働時間を8時間、年間労
24
365
働日数を225日とし、 ×
をかけることにより換算している。
8

225

✓ 一方で、診療報酬の看護職員の配置基準(実質配置)は、多くの病棟で、医療法で
要請される人員配置への加配を必要とするもの。急性期1病棟の配置基準は7:1
であり、医療法の2倍以上の人員配置が求められることとなっている。
診療報酬上の機能分類(主なもの)

診療報酬上の配置基準
(実質配置)

入院料別の40床当たり必要人員数
(人)

急性期一般入院料1

7:1

28

急性期一般入院料2~6

10:1

20

地域包括ケア病棟入院料

13:1

15

回復期リハビリテーション病棟
入院料

13:1又は15:1

15又は13

療養病棟入院基本料

20:1

10

障害者施設等入院基本料

7:1~15:1

28~13

(出所)厚生労働省「2024年度診療報酬改定の概要 入院Ⅰ~Ⅳ」。必要人員数は財務省算出。
(注) 衛生規制に基づく40床あたりの必要人員数は、一般病床の場合14人、療養病床の場合10人(財務省算出) 。

【改革の方向性】(案)
○ アウトカム評価の導入・拡充と併せ、配置基準の緩和や柔軟化を図るとともに、診療報酬上の評価の包括化を進めていくべき。

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