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【参考資料2-1】抗微生物薬適正使用の手引き 第四版(案)医科・外来編 (85 ページ)
出典
| 公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64503.html |
| 出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会(第99回 10/21)《厚生労働省》 |
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抗微生物薬適正使用の手引き
第四版
医科・外来編
一方で BLNAR(β-lactamase-negative ampicillin-resistant)による中耳炎の場合は、
初期治療は高用量のアモキシシリンで行い、治療に難渋する場合はこれを考慮し、
ガイドライン等を参考に治療選択を行う 89。β-ラクタマーゼを産生する BLPAR
(β-lactamase-positive ampicillin-resistant)H. influenzae では、アモキシシリンは選
択しにくく、β-ラクタマーゼ阻害剤との合剤であるクラブラン酸/アモキシシリンが
選択される。しかし、BLPAR H. influenzae は、本邦では出現頻度は低い 104。よっ
て、アモキシシリンによる十分量治療に反応が悪いケースにのみ、クラブラン酸/ア
モキシシリンや他剤の使用が考慮される。
(iv) 投与量と投与間隔
アモキシシリン 60~90 mg/kg/日(例 30 mg/kg/回 1 日 3 回)経口投与(90 mg[力
価]/kg/日を越えない)
(v) 治療期間
米国小児科学会ガイドラインでは、年齢別に 2 歳未満では 10 日間、2~5 歳は 7~
10 日間、6 歳以上は 5~7 日間とされている 93。本邦ガイドラインでは 5 日間で治療
開始後、3、4 日目に病態の推移を観察することが推奨されている 104。2 歳未満に限
定した非劣性 RCT では、5 日間投与は 10 日間投与に比べて失敗率が高いと報告され
ている 105。
本手引きでは、初回投与を 3~4 日間とし、総投与期間を 7 日間を基本的な推奨と
する。一方、全身状態が不変、悪化傾向の場合には 3~4 日間で、再評価し、推奨の
治療期間前に治癒した場合、年齢/ワクチン接種の有無等の個々の症例に合わせて治
療期間の短縮や延長を決定することを推奨する。
(vi) 代替薬
ペニシリン系抗菌薬にアレルギーがある場合や入手しにくい場合は、高度耐性菌
を想定しない場合の選択肢として、ST 合剤 10 mg/kg/日(5 mg/kg/回 1 日 2 回経口
投与)が挙げられる。肺炎球菌ワクチン未接種等の高度耐性菌を想定する場合には、
セフジトレン 18 mg/kg/日(6 mg/kg/回 1 日 3 回経口投与)、β-ラクタム系抗菌薬にア
レルギーのある場合には、国内保険適応薬キノロンとしてトスフロキサシン
12 mg/kg/日(6 mg/kg/回 1 日 2 回経口投与)が挙げられる。ピボキシル基(-PI)を
有するセフジトレンは二次性低カルニチン血症の発症には十分に注意する。国内の
原因菌感受性結果からはマクロライド系抗菌薬は推奨しない。
ST 合剤(経口)の国内添付文書上の適応症に急性中耳炎は含まれておらず、適応
菌種に肺炎球菌は含まれていない。また、ST 合剤は低出生体重児や新生児において
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第四版
医科・外来編
一方で BLNAR(β-lactamase-negative ampicillin-resistant)による中耳炎の場合は、
初期治療は高用量のアモキシシリンで行い、治療に難渋する場合はこれを考慮し、
ガイドライン等を参考に治療選択を行う 89。β-ラクタマーゼを産生する BLPAR
(β-lactamase-positive ampicillin-resistant)H. influenzae では、アモキシシリンは選
択しにくく、β-ラクタマーゼ阻害剤との合剤であるクラブラン酸/アモキシシリンが
選択される。しかし、BLPAR H. influenzae は、本邦では出現頻度は低い 104。よっ
て、アモキシシリンによる十分量治療に反応が悪いケースにのみ、クラブラン酸/ア
モキシシリンや他剤の使用が考慮される。
(iv) 投与量と投与間隔
アモキシシリン 60~90 mg/kg/日(例 30 mg/kg/回 1 日 3 回)経口投与(90 mg[力
価]/kg/日を越えない)
(v) 治療期間
米国小児科学会ガイドラインでは、年齢別に 2 歳未満では 10 日間、2~5 歳は 7~
10 日間、6 歳以上は 5~7 日間とされている 93。本邦ガイドラインでは 5 日間で治療
開始後、3、4 日目に病態の推移を観察することが推奨されている 104。2 歳未満に限
定した非劣性 RCT では、5 日間投与は 10 日間投与に比べて失敗率が高いと報告され
ている 105。
本手引きでは、初回投与を 3~4 日間とし、総投与期間を 7 日間を基本的な推奨と
する。一方、全身状態が不変、悪化傾向の場合には 3~4 日間で、再評価し、推奨の
治療期間前に治癒した場合、年齢/ワクチン接種の有無等の個々の症例に合わせて治
療期間の短縮や延長を決定することを推奨する。
(vi) 代替薬
ペニシリン系抗菌薬にアレルギーがある場合や入手しにくい場合は、高度耐性菌
を想定しない場合の選択肢として、ST 合剤 10 mg/kg/日(5 mg/kg/回 1 日 2 回経口
投与)が挙げられる。肺炎球菌ワクチン未接種等の高度耐性菌を想定する場合には、
セフジトレン 18 mg/kg/日(6 mg/kg/回 1 日 3 回経口投与)、β-ラクタム系抗菌薬にア
レルギーのある場合には、国内保険適応薬キノロンとしてトスフロキサシン
12 mg/kg/日(6 mg/kg/回 1 日 2 回経口投与)が挙げられる。ピボキシル基(-PI)を
有するセフジトレンは二次性低カルニチン血症の発症には十分に注意する。国内の
原因菌感受性結果からはマクロライド系抗菌薬は推奨しない。
ST 合剤(経口)の国内添付文書上の適応症に急性中耳炎は含まれておらず、適応
菌種に肺炎球菌は含まれていない。また、ST 合剤は低出生体重児や新生児において
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