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【参考資料2-1】抗微生物薬適正使用の手引き 第四版(案)医科・外来編 (11 ページ)
出典
| 公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64503.html |
| 出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会(第99回 10/21)《厚生労働省》 |
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抗微生物薬適正使用の手引き
第四版
医科・外来編
対策アクションプラン(2016-2020)を策定し、2023 年 4 月に薬剤耐性(AMR)対
策アクションプラン(2023-2027)を更新した 1。その中でも、抗微生物薬の適正使
用は、薬剤耐性対策として、日頃の臨床の現場で医療従事者及び患者を含む医療に
関わるすべての者が対応すべき最重要の分野の一つとしている 1。
日本における抗微生物薬使用量については、処方販売量を基にした研究において、
2020 年 の 人 口 千 人 あ た り の 抗 菌 薬 の 1 日 使 用 量 が 10.22 DID(DDDs/1,000
inhabitants/day)注2との試算が示されており、そのうち 90.1%が経口抗菌薬と報告さ
れている 7。また、諸外国との比較から、日本では、経口の第 3 世代セファロスポリ
ン系抗菌薬、フルオロキノロン系抗菌薬、マクロライド系抗菌薬の使用量が多いこ
とが指摘されている 1。日本の医療現場における抗微生物薬の不適正使用の頻度・割
合は現状として判然としないものの、米国では処方された抗微生物薬の少なくとも
30%程度は不適正使用であることが示されており 8、日本においても、65 歳以下の患
者の下痢症で過剰に抗菌薬が処方され 9、小児の肺炎でガイドラインを遵守して抗菌
薬を処方している病院は 4 分の 1 しかない 10。一方で、小児抗菌薬適正使用加算導
入により対象年齢の抗菌薬処方が減少し、加えて医療提供者に対する教育効果によ
り全年齢で抗菌薬処方を減少させていた 11,12。そのため、日本でも引き続き抗微生物
薬の適正使用を推進していくことが必要である。
(2) 策定の目的
本手引きの策定の主たる目的は、抗微生物薬の適正使用の概念の普及・啓発、教
育を推進し、適正な感染症診療が広がることで、患者に有害事象をもたらすことな
く、抗微生物薬の不適正使用を減少させることにある。
(3) 手引きの対象
本手引きの医科外来編は外来診療を行う医療従事者の中でも、特に診察や処方、
保健指導を行う医師を対象として作成した。また、第三版においては、入院患者に
おける抗微生物薬適正使用に関する項(入院編)も追加し、内容のさらなる充実を
図った。今回の第四版においては、既存版の内容の改訂及び、歯科領域に関する抗
菌薬適正使用に関する項を追加した。推奨事項の内容は、抗微生物薬の適正使用の
概念の普及、推進を遂行するために欠かせない、医師や歯科医師だけでなく、処方
を行わない医療従事者や患者も対象とした内容としていることから、各医療機関で
実際に入院患者の感染症の治療にあたる医療従事者(感染症診療を専門とする医療
注2
DDD:Defined Daily Dose の略称。成人患者(体重 70 kg)においてその薬剤が主な適応として使用される時
の平均的な投与量のことであり、世界保健機関は各薬剤の DDD の値を提供している。
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第四版
医科・外来編
対策アクションプラン(2016-2020)を策定し、2023 年 4 月に薬剤耐性(AMR)対
策アクションプラン(2023-2027)を更新した 1。その中でも、抗微生物薬の適正使
用は、薬剤耐性対策として、日頃の臨床の現場で医療従事者及び患者を含む医療に
関わるすべての者が対応すべき最重要の分野の一つとしている 1。
日本における抗微生物薬使用量については、処方販売量を基にした研究において、
2020 年 の 人 口 千 人 あ た り の 抗 菌 薬 の 1 日 使 用 量 が 10.22 DID(DDDs/1,000
inhabitants/day)注2との試算が示されており、そのうち 90.1%が経口抗菌薬と報告さ
れている 7。また、諸外国との比較から、日本では、経口の第 3 世代セファロスポリ
ン系抗菌薬、フルオロキノロン系抗菌薬、マクロライド系抗菌薬の使用量が多いこ
とが指摘されている 1。日本の医療現場における抗微生物薬の不適正使用の頻度・割
合は現状として判然としないものの、米国では処方された抗微生物薬の少なくとも
30%程度は不適正使用であることが示されており 8、日本においても、65 歳以下の患
者の下痢症で過剰に抗菌薬が処方され 9、小児の肺炎でガイドラインを遵守して抗菌
薬を処方している病院は 4 分の 1 しかない 10。一方で、小児抗菌薬適正使用加算導
入により対象年齢の抗菌薬処方が減少し、加えて医療提供者に対する教育効果によ
り全年齢で抗菌薬処方を減少させていた 11,12。そのため、日本でも引き続き抗微生物
薬の適正使用を推進していくことが必要である。
(2) 策定の目的
本手引きの策定の主たる目的は、抗微生物薬の適正使用の概念の普及・啓発、教
育を推進し、適正な感染症診療が広がることで、患者に有害事象をもたらすことな
く、抗微生物薬の不適正使用を減少させることにある。
(3) 手引きの対象
本手引きの医科外来編は外来診療を行う医療従事者の中でも、特に診察や処方、
保健指導を行う医師を対象として作成した。また、第三版においては、入院患者に
おける抗微生物薬適正使用に関する項(入院編)も追加し、内容のさらなる充実を
図った。今回の第四版においては、既存版の内容の改訂及び、歯科領域に関する抗
菌薬適正使用に関する項を追加した。推奨事項の内容は、抗微生物薬の適正使用の
概念の普及、推進を遂行するために欠かせない、医師や歯科医師だけでなく、処方
を行わない医療従事者や患者も対象とした内容としていることから、各医療機関で
実際に入院患者の感染症の治療にあたる医療従事者(感染症診療を専門とする医療
注2
DDD:Defined Daily Dose の略称。成人患者(体重 70 kg)においてその薬剤が主な適応として使用される時
の平均的な投与量のことであり、世界保健機関は各薬剤の DDD の値を提供している。
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