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【参考資料2-1】抗微生物薬適正使用の手引き 第四版(案)医科・外来編 (30 ページ)
出典
| 公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64503.html |
| 出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会(第99回 10/21)《厚生労働省》 |
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抗微生物薬適正使用の手引き
第四版
医科・外来編
ACP/CDC の指針では、急性鼻副鼻腔炎に対する抗菌薬の適応は、症状が 10 日間
を超える場合や重症例の場合(39°C 以上の発熱がある場合、膿性鼻汁や顔面痛が 3
日間以上続く場合)、典型的なウイルス性疾患で症状が 5 日間以上続き、一度軽快し
てから悪化した場合に限定されている 19。日本鼻科学会や JAID/JSC の指針でも、表
2 に示す軽症例(1~3 点の症例)では抗菌薬を投与せずに 5 日間経過観察すること
が推奨されている 49,56,65,68,69。
このようなことから、本手引きでは、成人では、軽症の急性鼻副鼻腔炎に対して
は、5 日間抗菌薬投与を行わずに経過観察することを推奨する。
また、米国小児科学会の指針では、小児の急性鼻副鼻腔炎に対する抗菌薬の適応
を、表 4 に示す①10 日間以上続く鼻汁・後鼻漏や日中の咳を認めるもの、②39°C 以
上の発熱と膿性鼻汁が少なくとも 3 日以上続き重症感のあるもの、③感冒に引き続
き、約 1 週間後に再度の発熱や日中の鼻汁・咳の増悪が見られるものと定められて
おり、それ以外の状況では抗菌薬投与を行わずに経過観察することが推奨されてい
る 66。
このことから、本手引きでは、小児では、急性鼻副鼻腔炎に対しては、原則抗菌
薬投与を行わないことを推奨する。
急性鼻副鼻腔炎の抗菌薬治療において、アモキシシリン及びクラブラン酸/アモキ
シシリンより、セファロスポリン系抗菌薬、マクロライド系抗菌薬の方が、治療効
果が上回ることを示した系統的レビューや無作為化比較試験は存在しないとされる
67,68 が、米国耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会や ACP/CDC の指針では、中等症以上の急
性鼻副鼻腔炎で抗菌薬の適応がある場合には、安全性や有効性、費用、対象とする
細菌の種類の狭さからアモキシシリンが第一選択薬として推奨されており 19,21,68,70、
同指針では、その時の用量等は、アモキシシリン 1 回 500 mg 注8を 1 日 3 回 5~7 日
間経口投与とされている 19。
抗菌薬を用いる治療期間については、従来は 10~14 日間が推奨されてきた 69 が、
近年の研究では、短期間(3~7 日間)の治療は長期間(6~10 日間)の治療に対し
て有効性は劣らず、さらに、5 日間治療と 10 日間治療を比較した場合、有効性は同
等で、副作用は 5 日間治療の方が少ないことが報告されている 69,71。
日本では、アモキシシリンの鼻副鼻腔炎に対する効能・効果は薬事承認されてい
ないが、社会保険診療報酬支払基金の審査情報提供事例において、原則として、「ア
モキシシリン水和物【経口】を「急性副鼻腔炎」に対して処方した場合、当該使用
事例を審査上認める」ことが示されている。また、添付文書では、急性副鼻腔炎に
対して設定されたものではないが、アモキシシリンの用法・用量は、ヘリコバクタ
注8
本手引きでは、薬剤の用量について、製剤量ではなく成分量(力価)で示した。
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第四版
医科・外来編
ACP/CDC の指針では、急性鼻副鼻腔炎に対する抗菌薬の適応は、症状が 10 日間
を超える場合や重症例の場合(39°C 以上の発熱がある場合、膿性鼻汁や顔面痛が 3
日間以上続く場合)、典型的なウイルス性疾患で症状が 5 日間以上続き、一度軽快し
てから悪化した場合に限定されている 19。日本鼻科学会や JAID/JSC の指針でも、表
2 に示す軽症例(1~3 点の症例)では抗菌薬を投与せずに 5 日間経過観察すること
が推奨されている 49,56,65,68,69。
このようなことから、本手引きでは、成人では、軽症の急性鼻副鼻腔炎に対して
は、5 日間抗菌薬投与を行わずに経過観察することを推奨する。
また、米国小児科学会の指針では、小児の急性鼻副鼻腔炎に対する抗菌薬の適応
を、表 4 に示す①10 日間以上続く鼻汁・後鼻漏や日中の咳を認めるもの、②39°C 以
上の発熱と膿性鼻汁が少なくとも 3 日以上続き重症感のあるもの、③感冒に引き続
き、約 1 週間後に再度の発熱や日中の鼻汁・咳の増悪が見られるものと定められて
おり、それ以外の状況では抗菌薬投与を行わずに経過観察することが推奨されてい
る 66。
このことから、本手引きでは、小児では、急性鼻副鼻腔炎に対しては、原則抗菌
薬投与を行わないことを推奨する。
急性鼻副鼻腔炎の抗菌薬治療において、アモキシシリン及びクラブラン酸/アモキ
シシリンより、セファロスポリン系抗菌薬、マクロライド系抗菌薬の方が、治療効
果が上回ることを示した系統的レビューや無作為化比較試験は存在しないとされる
67,68 が、米国耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会や ACP/CDC の指針では、中等症以上の急
性鼻副鼻腔炎で抗菌薬の適応がある場合には、安全性や有効性、費用、対象とする
細菌の種類の狭さからアモキシシリンが第一選択薬として推奨されており 19,21,68,70、
同指針では、その時の用量等は、アモキシシリン 1 回 500 mg 注8を 1 日 3 回 5~7 日
間経口投与とされている 19。
抗菌薬を用いる治療期間については、従来は 10~14 日間が推奨されてきた 69 が、
近年の研究では、短期間(3~7 日間)の治療は長期間(6~10 日間)の治療に対し
て有効性は劣らず、さらに、5 日間治療と 10 日間治療を比較した場合、有効性は同
等で、副作用は 5 日間治療の方が少ないことが報告されている 69,71。
日本では、アモキシシリンの鼻副鼻腔炎に対する効能・効果は薬事承認されてい
ないが、社会保険診療報酬支払基金の審査情報提供事例において、原則として、「ア
モキシシリン水和物【経口】を「急性副鼻腔炎」に対して処方した場合、当該使用
事例を審査上認める」ことが示されている。また、添付文書では、急性副鼻腔炎に
対して設定されたものではないが、アモキシシリンの用法・用量は、ヘリコバクタ
注8
本手引きでは、薬剤の用量について、製剤量ではなく成分量(力価)で示した。
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