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【参考資料2-1】抗微生物薬適正使用の手引き 第四版(案)医科・外来編 (71 ページ)
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| 公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64503.html |
| 出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会(第99回 10/21)《厚生労働省》 |
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抗微生物薬適正使用の手引き
第四版
医科・外来編
(4) 急性気管支炎
急性気管支炎とは咳を主症状とする下気道の炎症で、その多くはウイルス性
で自然軽快する
診断のための検査は基本的には不要だが、流行状況や所見から臨床的に肺炎
や百日咳が疑われる場合は除外診断のための検査を施行する。
【抗菌薬に関する推奨】
急性気管支炎に対して抗菌薬を投与しないことを推奨する。
(i) 急性気管支炎とは
急性気管支炎とは咳を主症状とする下気道の炎症であり、発熱や痰の有無は問わ
ない。上気道炎や急性鼻副鼻腔炎との明確な区別は困難なことが多いが、本手引き
では急性気道感染症のうち咳を主症状とするものを急性気管支炎として扱う。
(ii) 急性気管支炎の疫学
原因微生物のほとんどはウイルス性であるとされている 52 が、他にもマイコプラ
ズマやクラミジア、百日咳菌に注意が必要である。また、乳幼児で 3 週間以上にわ
たって咳を呈する場合には、肺炎球菌やインフルエンザ菌等の細菌感染が関与する
遷延性細菌性気管支炎という疾患概念が提唱されている 38,53,54。その一方で、同様の
症状を呈することがある小児の鼻副鼻腔炎との区別は困難なことが多い。
(iii) 診断と鑑別
急性気管支炎の明確な診断基準はなく、急性気道感染症のうち咳嗽を中心とした
下気道の症状や聴診上のラ音等の所見があり、呼吸状態や画像所見から肺炎が除外
されたものをいうことが多い 20。小児呼吸器学会・小児感染症学会における指針で
は、聴診上、下気道副雑音があるが、胸部 X 線上明らかな異常陰影を認めない状態
と定義されている 20。
臨床診断が主なため一般的に急性気管支炎を診断する目的での検査は不要である
ことから、検査は他の鑑別診断を除外する目的で行われる 55。
10 日以上咳が遷延する症例については、湿性咳嗽を伴う場合は、鼻副鼻腔炎、遷
延性細菌性気管支炎、非定型肺炎が考慮される。稀ではあるが結核にも留意が必要
である。その他、気管支喘息、気道異物、胃食道逆流等鑑別は広い。
なお、小児呼吸器感染症診療ガイドライン 2022(小児呼吸器感染症診療ガイドラ
イン作成委員会)では 1 歳未満の小児における咳の鑑別として、特徴的な「吸気性
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第四版
医科・外来編
(4) 急性気管支炎
急性気管支炎とは咳を主症状とする下気道の炎症で、その多くはウイルス性
で自然軽快する
診断のための検査は基本的には不要だが、流行状況や所見から臨床的に肺炎
や百日咳が疑われる場合は除外診断のための検査を施行する。
【抗菌薬に関する推奨】
急性気管支炎に対して抗菌薬を投与しないことを推奨する。
(i) 急性気管支炎とは
急性気管支炎とは咳を主症状とする下気道の炎症であり、発熱や痰の有無は問わ
ない。上気道炎や急性鼻副鼻腔炎との明確な区別は困難なことが多いが、本手引き
では急性気道感染症のうち咳を主症状とするものを急性気管支炎として扱う。
(ii) 急性気管支炎の疫学
原因微生物のほとんどはウイルス性であるとされている 52 が、他にもマイコプラ
ズマやクラミジア、百日咳菌に注意が必要である。また、乳幼児で 3 週間以上にわ
たって咳を呈する場合には、肺炎球菌やインフルエンザ菌等の細菌感染が関与する
遷延性細菌性気管支炎という疾患概念が提唱されている 38,53,54。その一方で、同様の
症状を呈することがある小児の鼻副鼻腔炎との区別は困難なことが多い。
(iii) 診断と鑑別
急性気管支炎の明確な診断基準はなく、急性気道感染症のうち咳嗽を中心とした
下気道の症状や聴診上のラ音等の所見があり、呼吸状態や画像所見から肺炎が除外
されたものをいうことが多い 20。小児呼吸器学会・小児感染症学会における指針で
は、聴診上、下気道副雑音があるが、胸部 X 線上明らかな異常陰影を認めない状態
と定義されている 20。
臨床診断が主なため一般的に急性気管支炎を診断する目的での検査は不要である
ことから、検査は他の鑑別診断を除外する目的で行われる 55。
10 日以上咳が遷延する症例については、湿性咳嗽を伴う場合は、鼻副鼻腔炎、遷
延性細菌性気管支炎、非定型肺炎が考慮される。稀ではあるが結核にも留意が必要
である。その他、気管支喘息、気道異物、胃食道逆流等鑑別は広い。
なお、小児呼吸器感染症診療ガイドライン 2022(小児呼吸器感染症診療ガイドラ
イン作成委員会)では 1 歳未満の小児における咳の鑑別として、特徴的な「吸気性
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