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【参考資料2-1】抗微生物薬適正使用の手引き 第四版(案)医科・外来編 (34 ページ)
出典
| 公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64503.html |
| 出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会(第99回 10/21)《厚生労働省》 |
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抗微生物薬適正使用の手引き
第四版
医科・外来編
する治療期間については、アジスロマイシンは初日 500 mg、2 日目以降 250 mg/日
で計 5 日間の投薬、又はアジスロマイシン 1 回 500 mg を 1 日 1 回経口投与、計 3 日
間が標準的とされている 70,71,76。ただし、添付文書では、小児用クラリスロマイシン
とエリスロマイシンについては百日咳が適応症として含まれている一方で、アジス
ロマイシンについては百日咳が適応症には含まれていないが、保険審査上は認めら
れる 77。この時のエリスロマイシンの用法・用量は、「通常、成人にはエリスロマイ
シンとして 1 日 800~1,200 mg(力価)を 4~6 回に分割経口投与する。小児には 1
日体重 1 kg あたり 25~50 mg(力価)を 4~6 回に分割経口投与する。なお、年齢、
症状により適宜増減する。ただし、小児用量は成人量を上限とする。」とされている。
(v) COVID-19
軽症から中等症(中等症 I)の COVID-19 では、細菌感染を特段に疑う所見が
ない限り、抗菌薬の投与を推奨しない。
国内の全国調査によると、COVID-19 患者における市中肺炎の合併は 2.86%と報告
されている 78。国内の単施設研究では、入院中に臨床的に診断された COVID-19 以
外の感染症は全体で 1.2%、軽症例で 0.4%、中等症例(中等症 I)で 0%、重症例
(中等症 II)で 4.9%、重篤例で 14.3%と、軽症から中等症 I では細菌感染症の合併
は少なかった 72。
海外の系統的レビューでは、COVID-19 と細菌の共感染(入院 48 時間以内に診断
されたもの)は 5.62%(95%信頼区間 2.26–10.31%)と報告されているように二次
性細菌感染の合併は多くない 73。にもかかわらず、61.77%(95%信頼区間 50.95%
~70.90%)で入院 48 時間以内に抗菌薬が投与されていた 73。国内の報告でも、外来
COVID-19 患者の 9%に抗菌薬が処方されていた。特に上位 10%の診療所による抗菌
薬処方が全体の約 85%を占め、2022 年 1 月のオミクロン株流行以降でもこれらの診
療所では外来 COVID-19 患者の 26%に抗菌薬が処方されていた。
複数のランダム化比較試験により、軽症から中等症の COVID-19 患者に対するア
ジスロマイシンやドキシサイクリンの投与は臨床的なアウトカムを改善させないこ
とが報告されている 79-81。また、観察研究のデータによると、非重症の COVID-19 患
者に対する早期の抗菌薬投与は重症化リスク増加や入院期間延長、入院リスクの延
長と関連したとも報告されている 82,83。これらのことから、細菌感染症を特段に疑
う所見がない限り、軽症から中等症 I の COVID-19 に対する抗菌薬の投与は推奨され
ない。
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医科・外来編
する治療期間については、アジスロマイシンは初日 500 mg、2 日目以降 250 mg/日
で計 5 日間の投薬、又はアジスロマイシン 1 回 500 mg を 1 日 1 回経口投与、計 3 日
間が標準的とされている 70,71,76。ただし、添付文書では、小児用クラリスロマイシン
とエリスロマイシンについては百日咳が適応症として含まれている一方で、アジス
ロマイシンについては百日咳が適応症には含まれていないが、保険審査上は認めら
れる 77。この時のエリスロマイシンの用法・用量は、「通常、成人にはエリスロマイ
シンとして 1 日 800~1,200 mg(力価)を 4~6 回に分割経口投与する。小児には 1
日体重 1 kg あたり 25~50 mg(力価)を 4~6 回に分割経口投与する。なお、年齢、
症状により適宜増減する。ただし、小児用量は成人量を上限とする。」とされている。
(v) COVID-19
軽症から中等症(中等症 I)の COVID-19 では、細菌感染を特段に疑う所見が
ない限り、抗菌薬の投与を推奨しない。
国内の全国調査によると、COVID-19 患者における市中肺炎の合併は 2.86%と報告
されている 78。国内の単施設研究では、入院中に臨床的に診断された COVID-19 以
外の感染症は全体で 1.2%、軽症例で 0.4%、中等症例(中等症 I)で 0%、重症例
(中等症 II)で 4.9%、重篤例で 14.3%と、軽症から中等症 I では細菌感染症の合併
は少なかった 72。
海外の系統的レビューでは、COVID-19 と細菌の共感染(入院 48 時間以内に診断
されたもの)は 5.62%(95%信頼区間 2.26–10.31%)と報告されているように二次
性細菌感染の合併は多くない 73。にもかかわらず、61.77%(95%信頼区間 50.95%
~70.90%)で入院 48 時間以内に抗菌薬が投与されていた 73。国内の報告でも、外来
COVID-19 患者の 9%に抗菌薬が処方されていた。特に上位 10%の診療所による抗菌
薬処方が全体の約 85%を占め、2022 年 1 月のオミクロン株流行以降でもこれらの診
療所では外来 COVID-19 患者の 26%に抗菌薬が処方されていた。
複数のランダム化比較試験により、軽症から中等症の COVID-19 患者に対するア
ジスロマイシンやドキシサイクリンの投与は臨床的なアウトカムを改善させないこ
とが報告されている 79-81。また、観察研究のデータによると、非重症の COVID-19 患
者に対する早期の抗菌薬投与は重症化リスク増加や入院期間延長、入院リスクの延
長と関連したとも報告されている 82,83。これらのことから、細菌感染症を特段に疑
う所見がない限り、軽症から中等症 I の COVID-19 に対する抗菌薬の投与は推奨され
ない。
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