よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


【参考資料2-1】抗微生物薬適正使用の手引き 第四版(案)医科・外来編 (42 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64503.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会(第99回 10/21)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

抗微生物薬適正使用の手引き

第四版

医科・外来編

場合には、クラリスロマイシン 1 回 200 mg 1 日 2 回 3~5 日間経口投与、アジスロ
マイシン 1 回 500 mg 1 日 1 回 3 日間経口投与が推奨されている 112。(アジスロマイ
シンは添付文書上の適応菌種ではない)

(iv) 腸管出血性大腸菌(EHEC)腸炎
EHEC 腸炎に罹患した患者では血便を伴うことが多いが、典型的には高熱を伴う
ことは少ないと指摘されている 111。EHEC 腸炎の原因微生物としては、血清型 O157
によるものが最も多いが、血清型 O26、血清型 O111 等による症例も報告されている
112。EHEC

腸 炎 全 体 の う ち 5~10%が 溶 血 性 尿 毒 症 症 候 群 (Hemolytic Uremic

Syndrome:HUS)を起こすと報告されている 87。
検査の結果、原因微生物が EHEC と判明した場合であっても、海外の総説では、
抗菌薬使用により菌からの毒素放出が促進され、HUS 発症の危険性が高くなること
から、EHEC 腸炎に対する抗菌薬投与は推奨されていない 91。統合解析では、抗菌
薬投与は HUS 発症増加とは関連しないと報告されている(オッズ比 1.33 倍、95%信
頼区間 0.89~1.99 倍)114 が、より厳密な HUS の定義を用いている研究のみに限定
するとオッズ比は 2.24 倍(95%信頼区間 1.45~3.46 倍)になり、抗菌薬投与が HUS
発症増加と関連することが示唆されている 114。一方で、日本の小児を中心にした研
究では、EHEC 腸炎に対して発症早期にホスホマイシンを内服した者では、その後
の HUS 発症率が低いことも報告されており 115,116、これらのことも踏まえて、
JAID/JSC の指針では、「抗菌薬については賛否両論があり、現在でも統一的な見解
は得られていない。」とされている 112。
なお、これらの指針では、EHEC 腸炎に対する止痢薬に関しては、HUS 発症の危
険性を高くするため使用しないことが推奨されている 87,106,117。

42