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【参考資料2-1】抗微生物薬適正使用の手引き 第四版(案)医科・外来編 (82 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64503.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会(第99回 10/21)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第四版

医科・外来編

11. 急性中耳炎
 小児の急性中耳炎を診断するためには、耳痛や耳漏の訴えだけに頼らず、発
熱、不機嫌、風邪症状等の全身症状を訴える患者の鼓膜所見をとることが重
要である。
 鼓膜発赤のみで膨隆がない場合は、原則として急性中耳炎と診断しない。
 鼓膜所見を認める場合でも、体表感染症である急性中耳炎は自然軽快するこ
との多い感染症であり、年齢、基礎疾患等の患者リスク、中耳の局所炎症所
見、発熱、不機嫌、耳痛等の全身状態等を総合的に見極め、抗菌薬投与を考
慮する。特に重症化のリスクが低いものは抗菌薬を投与せず 2~3 日の経過観
察を検討する。
【抗菌薬に関する推奨】
 急性中耳炎の第一選択薬はアモキシシリンである。
 耳鼻咽喉科医との連携が重要な疾患である。


本稿は中耳炎の疑われる小児に対して、一般診療医が抗菌薬投与の必要性を判断するための基準と初期選択薬
を記した。難治例や耐性菌による感染症等複雑な症例については学会のガイドライン等を参照されたい。

(1) 急性中耳炎とは
耳痛、発熱、耳漏を伴うことがある急性に発症した中耳の感染症と定義される 89。
急性中耳炎は、耳管経由で中耳腔にまで炎症、感染が波及して生じる。主たる原因
菌は、肺炎球菌と無莢膜型インフルエンザ菌 Non-typable H. influenzae(NTHi)で
ある。
なお、滲出性中耳炎とは、急性炎症症状(耳痛や発熱)を伴わず、鼓膜穿孔もな
く、中耳腔に液体貯留液を認める難聴の原因になるものと定義 90 され、急性中耳炎
とは異なる。また、滲出性中耳炎自体に対する抗菌薬投与の適応はない。

(2) 急性中耳炎の疫学
急性中耳炎は 1 歳までに 75%が罹患、7 歳までに 40%が 4 回以上罹患する頻度の
高い感染症である 91,92。
周囲の喫煙や非母乳栄養等が発症のリスクを上げるとされる。

(3) 診断
急性中耳炎の診断は、耳鏡を用いた鼓膜診察で局所所見を正確に取ることによる。
国内の中耳炎ガイドラインは局所所見を重要視し、詳細な所見に基づく診断を推奨
している 89。米国小児科学会ガイドライン 93 でも、急性中耳炎の診断は鼓膜所見に
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