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【参考資料2-1】抗微生物薬適正使用の手引き 第四版(案)医科・外来編 (64 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64503.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会(第99回 10/21)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第四版

医科・外来編

ないために、GAS 咽頭炎患者と濃厚接触がある時を除いて、原則的には検査しない
ことが推奨されている 30。
GAS 検査の基本原則は、適応外の児に行うと保菌者を拾い上げ、過剰な抗菌薬使
用につながるため、①検査適応(表 5)を吟味すること、②適応のある児に対して検
査を行い、③迅速検査が陽性であれば培養は不要、の 3 点である。また臨床的にウ
イルス感染症の可能性が高い場合(すなわち GAS 咽頭炎の事前確率の低い咳や鼻汁
を認める場合等)は、検査しないことを推奨する。
表 5.

GAS 迅速抗原検査の適応

以下の 1)、2)、3) を満たすもの
1)

急性咽頭炎の症状と症候があり、急性 GAS 咽頭炎が疑われる

2)

急性 GAS 咽頭炎の身体所見を有する

3)

原則、3 歳以上(周囲で流行していている場合はその限りではない)

GAS 迅速抗原検査の検査特性は、感度は 70%~90%、特異度 95%である 31。感度
は研究ごとに幅あり、特異度はほぼ一定である。特異度は優れているため、検査陽
性であれば、追加の培養検査は不要と言える。その一方で、検査陰性の場合は、二
度繰り返しても陽性率は向上しないので、検査を繰り返す意味は少ない 32。
培養検査は、GAS 咽頭炎の診断において標準的な検査法である 31。しかしながら、
流行期においては GAS の保菌者は 20%ほど見られ、その状況が 6 か月以上持続する
ため、GAS 保菌者のウイルス性咽頭炎では、鑑別が困難になる。このようなことか
ら、培養検査の実施については、実際に臨床的に GAS の可能性が高いが迅速抗原検
査陰性の場合の追加に留めるべきである。
重要な鑑別疾患(レッドフラッグ)
【急性喉頭蓋炎、頸部膿瘍、扁桃周囲膿瘍等の急性上気道閉塞性疾患】
急激に全身状態が悪化し、喘鳴、姿勢の異常(sniffing position や tripod position)
や流涎が目立つ。これらの疾患においては、短時間で窒息にいたる可能性があり、
口腔内の診察はもとより採血やレントゲン検査等の、患児にストレスを与えること
は避けて、患児の楽な姿勢のままで、安全に気道確保できる施設への転院を速やか
に決断することが重要である。

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