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【参考資料2-1】抗微生物薬適正使用の手引き 第四版(案)医科・外来編 (36 ページ)
出典
| 公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64503.html |
| 出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会(第99回 10/21)《厚生労働省》 |
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抗微生物薬適正使用の手引き
第四版
医科・外来編
の有無、同じような症状の者との接触歴等が挙げられており 87、特に嘔吐が目立つ
場合には、ウイルス性の感染症や毒素による食中毒の可能性が高いと指摘されてい
る 91。集団発生の場合、ウイルス性では潜伏期間が 14 時間以上(通常 24~48 時間)、
食中毒では 2~7 時間のことが多く、両者の鑑別に役立つと指摘されている 91。
吐き気や嘔吐は、必ずしも臓器特異的な症状ではなく、消化器疾患以外(急性心
筋梗塞、頭蓋内病変、敗血症、電解質異常、薬剤性等)でも伴うことがあるとされ
ており 92,93、急性胃腸炎の診断で入院した患者のうち約 3 割が腸管感染症以外の疾患
であったとする報告もある 94 ことから、症状のみをもって「急性胃腸炎」と決めつ
けることは控える必要がある。
鑑別に際しては、下痢の性状(水様下痢と血性下痢のどちらであるか)及び下痢
の重症度注12を考慮することが重要と指摘されている エラー! 参照元が見つかりません。。特に、日
常生活に大きな支障のある重症の血性下痢で体温が 38°C 以上の場合や、動くことは
できるが下痢のために活動が制限される中等症以上の水様下痢で海外(主に発展途
上国)から帰国して約 1 週間以内の場合には、細菌性腸炎(腸チフス、サルモネラ
腸炎、カンピロバクター腸炎、腸管毒素原性大腸菌等)やアメーバ赤痢である可能
性を考慮エラー! 参照元が見つかりません。,95 して、渡航医学や感染症の専門家に相談の上、検査
と抗菌薬投与を含む治療を検討することが重要と指摘されている。
小児の場合でも、急性下痢症のほとんどがウイルスに起因すると指摘されている
96。嘔吐で始まり、臍周囲の軽度から中等度の腹痛や圧痛がある、血便がなく水様下
痢である、発熱がない(ないし微熱である)、激しい腹痛がない、家族や周囲の集団
に同様の症状がある、といった場合には、ウイルス性の急性下痢症らしい症候であ
ると指摘されている。一方で、血便が存在する場合には、腸管出血性大腸菌感染症
等の細菌性腸炎の他、腸重積、メッケル憩室、上部消化管潰瘍等多くの疾患の鑑別
が必要と指摘されている 97,98。
(i) ウイルスに起因する急性下痢症
ウイルスに起因する急性下痢症については、ロタウイルスの他に、成人ではノロ
ウイルスが急性下痢症の代表的な原因微生物であると指摘されている 87,91。汚染さ
れた加熱不十分な二枚貝の摂食により感染することが有名であるが、ヒトからヒト
への感染も少なくないことが報告されている 99。ノロウイルス感染症の潜伏期間は
通常、半日~2 日程度であり、急な吐き気と嘔吐から始まることが多く、水様下痢の
出現はそれよりもやや遅れると指摘されている 100。嘔吐はほとんどの場合、約 1 日
で治まり、下痢は多くの場合、2~3 日間で軽快するが、長い人では 7~10 日間続く
注12
下痢の重症度:軽症は、日常生活に支障のないもの、中等症は、動くことはできるが日常生活に制限のある
もの、重症は日常生活に大きな支障のあるもの。
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第四版
医科・外来編
の有無、同じような症状の者との接触歴等が挙げられており 87、特に嘔吐が目立つ
場合には、ウイルス性の感染症や毒素による食中毒の可能性が高いと指摘されてい
る 91。集団発生の場合、ウイルス性では潜伏期間が 14 時間以上(通常 24~48 時間)、
食中毒では 2~7 時間のことが多く、両者の鑑別に役立つと指摘されている 91。
吐き気や嘔吐は、必ずしも臓器特異的な症状ではなく、消化器疾患以外(急性心
筋梗塞、頭蓋内病変、敗血症、電解質異常、薬剤性等)でも伴うことがあるとされ
ており 92,93、急性胃腸炎の診断で入院した患者のうち約 3 割が腸管感染症以外の疾患
であったとする報告もある 94 ことから、症状のみをもって「急性胃腸炎」と決めつ
けることは控える必要がある。
鑑別に際しては、下痢の性状(水様下痢と血性下痢のどちらであるか)及び下痢
の重症度注12を考慮することが重要と指摘されている エラー! 参照元が見つかりません。。特に、日
常生活に大きな支障のある重症の血性下痢で体温が 38°C 以上の場合や、動くことは
できるが下痢のために活動が制限される中等症以上の水様下痢で海外(主に発展途
上国)から帰国して約 1 週間以内の場合には、細菌性腸炎(腸チフス、サルモネラ
腸炎、カンピロバクター腸炎、腸管毒素原性大腸菌等)やアメーバ赤痢である可能
性を考慮エラー! 参照元が見つかりません。,95 して、渡航医学や感染症の専門家に相談の上、検査
と抗菌薬投与を含む治療を検討することが重要と指摘されている。
小児の場合でも、急性下痢症のほとんどがウイルスに起因すると指摘されている
96。嘔吐で始まり、臍周囲の軽度から中等度の腹痛や圧痛がある、血便がなく水様下
痢である、発熱がない(ないし微熱である)、激しい腹痛がない、家族や周囲の集団
に同様の症状がある、といった場合には、ウイルス性の急性下痢症らしい症候であ
ると指摘されている。一方で、血便が存在する場合には、腸管出血性大腸菌感染症
等の細菌性腸炎の他、腸重積、メッケル憩室、上部消化管潰瘍等多くの疾患の鑑別
が必要と指摘されている 97,98。
(i) ウイルスに起因する急性下痢症
ウイルスに起因する急性下痢症については、ロタウイルスの他に、成人ではノロ
ウイルスが急性下痢症の代表的な原因微生物であると指摘されている 87,91。汚染さ
れた加熱不十分な二枚貝の摂食により感染することが有名であるが、ヒトからヒト
への感染も少なくないことが報告されている 99。ノロウイルス感染症の潜伏期間は
通常、半日~2 日程度であり、急な吐き気と嘔吐から始まることが多く、水様下痢の
出現はそれよりもやや遅れると指摘されている 100。嘔吐はほとんどの場合、約 1 日
で治まり、下痢は多くの場合、2~3 日間で軽快するが、長い人では 7~10 日間続く
注12
下痢の重症度:軽症は、日常生活に支障のないもの、中等症は、動くことはできるが日常生活に制限のある
もの、重症は日常生活に大きな支障のあるもの。
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