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【参考資料2-1】抗微生物薬適正使用の手引き 第四版(案)医科・外来編 (27 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64503.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会(第99回 10/21)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第四版

医科・外来編

の異常(体温 38°C 以上、脈拍 100 回/分以上、呼吸数 24 回/分以上)及び胸部聴診所
見の異常がなければ、通常、胸部レントゲン撮影は不要と指摘されている 19。
百日咳については、特異的な臨床症状はないことから、臨床症状のみで診断する
ことは困難とされる 57 が、咳の後の嘔吐や吸気時の笛声(inspiratory whoop)があれ
ば百日咳の可能性が若干高くなることが報告されている 57。また、百日咳の血清診
断(抗 PT 抗体)は、迅速性に欠けるため、臨床現場では使いにくいとされる 58,59 が、
後鼻腔ぬぐい液の LAMP(Loop−mediated isothermal amplification)法による百日咳
菌の核酸検出法では、リアルタイム PCR 法を参照基準にした場合の感度は 76.2~
96.6%、特異度は 94.1~99.5%であることが報告されている 60,61。これらのことから、
流行状況に応じて、強い咳が長引く場合や、百日咳の患者への接触後に感冒症状が
生じた場合には、百日咳に対する臨床検査を考慮する必要がある。保険適用は新型
コロナウイルス感染症が疑われる患者のみに限られるが、最近ではマルチプレック
ス PCR 法により百日咳菌、マイコプラズマ、クラミジア・ニューモニエ等が検出可
能になっている。
その他に鑑別が必要な疾患としては、結核が挙げられる。咳が 2~3 週間以上続く
場合、日本では未だ罹患率の高い結核の可能性を考慮する必要がある。
なお、小児の場合、2 週間以上湿性咳が遷延し改善しない症例については、抗菌薬
の適応のある急性鼻副鼻腔炎の可能性があること 28、また、マイコプラズマに感染
した学童期の小児のうち 10%は肺炎に移行する可能性があることが指摘されている
16。さらに、日本小児呼吸器学会・日本小児感染症学会の指針では、1 歳以上の小児

において 1 週間以上続く咳の鑑別として、特徴的な「吸気性笛声」「発作性の連続性
の咳こみ」「咳こみ後の嘔吐」「息詰まり感、呼吸困難」のうち 1 つ以上を有する症
例を臨床的百日咳と定義されており 62、患者を経時的に診るという視点が重要であ
る。
以上の急性気道感染症の診断の流れをまとめると図 3 のようになる。

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