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【参考資料2-1】抗微生物薬適正使用の手引き 第四版(案)医科・外来編 (33 ページ)
出典
| 公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64503.html |
| 出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会(第99回 10/21)《厚生労働省》 |
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抗微生物薬適正使用の手引き
第四版
医科・外来編
小児についても、日本小児呼吸器学会・日本小児感染症学会の指針では、GAS に
よる急性咽頭炎に対してはアモキシシリンが第一選択抗菌薬とされており、10 日間
の治療期間が推奨されている 65。小児の GAS 咽頭炎に対する抗菌薬として、ペニシ
リン系抗菌薬 10 日間(対照群)とペニシリン系抗菌薬以外の抗菌薬 4~6 日(短期
治療群)の治療を比較した研究によると、短期治療群で症状消失は有意に早いもの
の再燃率は高かったことが報告されている 72。また、この研究では、副作用につい
てはペニシリン系抗菌薬群の方が少なく、リウマチ熱・腎炎の合併率については有
意な差はなかったと報告されている 72。アモキシシリン 10 日間及びセファロスポリ
ン系抗菌薬 5 日間を用いた、GAS による急性咽頭炎後の除菌率及び再発率を比較し
た日本における研究によると、除菌率は有意にアモキシシリン治療群で高く(アモ
キシシリン治療群 91.7%、セファロスポリン系抗菌薬治療群 82.0%、p=0.01)、再発
率に差はなかったことが報告されている 73。
このようなことから、本手引きでは、小児においても、迅速抗原検査又は培養検
査で GAS が検出された急性咽頭炎に対して抗菌薬投与を検討することを推奨するこ
ととし、その際には、アモキシシリンを 10 日間経口投与することとする。
(iv) 急性気管支炎
慢性呼吸器疾患等の基礎疾患や合併症のない成人の急性気管支炎(百日咳を
除く)に対しては、抗菌薬投与を行わないことを推奨する。
急性気管支炎に関しては、一律の抗菌薬使用には利点が少なく、利点よりも副作
用の危険性が上回ることが報告されており 74、JAID/JSC 及び ACP/CDC の指針でも、
慢性呼吸器疾患等の基礎疾患や合併症のない急性気管支炎の患者に対する抗菌薬投
与は基本的には推奨されていない 19,75。また、成人の肺炎を伴わないマイコプラズ
マによる急性気管支炎に対する抗菌薬治療については、その必要性を支持する根拠
に乏しいと指摘されている 21,71。
このようなことから、本手引きでは、成人の百日咳を除く急性気管支炎に対して
は、抗菌薬投与を行わないことを推奨する。ただし、慢性呼吸器疾患や合併症のあ
る成人で、発熱、膿性痰を認める場合は、喀痰のグラム染色を実施して細菌感染の
有無を確認し、グラム染色所見で細菌感染が疑われる場合には抗菌薬を投与するこ
とが望ましい。
百日咳については、カタル期(発症から 2 週間程度)を過ぎてからの治療は自覚
症状の改善には寄与しないが、1 歳以上では発症から 3 週間以内の治療は周囲への感
染の防止には寄与しうることが指摘されている 70,75。JAID/JSC 及び CDC の指針で
は、百日咳に対してはマクロライド系抗菌薬が第一選択薬とされており、成人に対
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第四版
医科・外来編
小児についても、日本小児呼吸器学会・日本小児感染症学会の指針では、GAS に
よる急性咽頭炎に対してはアモキシシリンが第一選択抗菌薬とされており、10 日間
の治療期間が推奨されている 65。小児の GAS 咽頭炎に対する抗菌薬として、ペニシ
リン系抗菌薬 10 日間(対照群)とペニシリン系抗菌薬以外の抗菌薬 4~6 日(短期
治療群)の治療を比較した研究によると、短期治療群で症状消失は有意に早いもの
の再燃率は高かったことが報告されている 72。また、この研究では、副作用につい
てはペニシリン系抗菌薬群の方が少なく、リウマチ熱・腎炎の合併率については有
意な差はなかったと報告されている 72。アモキシシリン 10 日間及びセファロスポリ
ン系抗菌薬 5 日間を用いた、GAS による急性咽頭炎後の除菌率及び再発率を比較し
た日本における研究によると、除菌率は有意にアモキシシリン治療群で高く(アモ
キシシリン治療群 91.7%、セファロスポリン系抗菌薬治療群 82.0%、p=0.01)、再発
率に差はなかったことが報告されている 73。
このようなことから、本手引きでは、小児においても、迅速抗原検査又は培養検
査で GAS が検出された急性咽頭炎に対して抗菌薬投与を検討することを推奨するこ
ととし、その際には、アモキシシリンを 10 日間経口投与することとする。
(iv) 急性気管支炎
慢性呼吸器疾患等の基礎疾患や合併症のない成人の急性気管支炎(百日咳を
除く)に対しては、抗菌薬投与を行わないことを推奨する。
急性気管支炎に関しては、一律の抗菌薬使用には利点が少なく、利点よりも副作
用の危険性が上回ることが報告されており 74、JAID/JSC 及び ACP/CDC の指針でも、
慢性呼吸器疾患等の基礎疾患や合併症のない急性気管支炎の患者に対する抗菌薬投
与は基本的には推奨されていない 19,75。また、成人の肺炎を伴わないマイコプラズ
マによる急性気管支炎に対する抗菌薬治療については、その必要性を支持する根拠
に乏しいと指摘されている 21,71。
このようなことから、本手引きでは、成人の百日咳を除く急性気管支炎に対して
は、抗菌薬投与を行わないことを推奨する。ただし、慢性呼吸器疾患や合併症のあ
る成人で、発熱、膿性痰を認める場合は、喀痰のグラム染色を実施して細菌感染の
有無を確認し、グラム染色所見で細菌感染が疑われる場合には抗菌薬を投与するこ
とが望ましい。
百日咳については、カタル期(発症から 2 週間程度)を過ぎてからの治療は自覚
症状の改善には寄与しないが、1 歳以上では発症から 3 週間以内の治療は周囲への感
染の防止には寄与しうることが指摘されている 70,75。JAID/JSC 及び CDC の指針で
は、百日咳に対してはマクロライド系抗菌薬が第一選択薬とされており、成人に対
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