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【参考資料2-1】抗微生物薬適正使用の手引き 第四版(案)医科・外来編 (62 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64503.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会(第99回 10/21)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第四版

医科・外来編

(2) 急性咽頭炎
 急性咽頭炎は、感染性、非感染性要因による咽頭の急性炎症である。
 急性咽頭炎では、その原因が A 群 β 溶血性レンサ球菌(Group A β-hemolytic
Streptococcus spp.:GAS)による感染症か否かを、臨床所見(全身症状と局
所所見)と検査結果(迅速抗原検査又は培養検査)を合わせて診断すること
が重要である。
 迅速抗原検査又は培養検査で GAS が検出されていない急性咽頭炎に対して
は、抗菌薬投与を行わないことを推奨する。
 迅速抗原検査又は培養検査で GAS が検出された急性咽頭炎に対して、抗菌薬
投与する場合には、以下の抗菌薬投与を推奨する。
【抗菌薬に関する推奨】
 アモキシシリン 10 日間経口投与

(i) 急性咽頭炎とは
急性咽頭炎とは、咽頭の発赤、腫脹、滲出物、潰瘍、水疱を伴う急性炎症である。
咽頭の炎症の要因として、非感染性要因と感染性要因がある。非感染性の要因には、
環境要因(たばこ、環境汚染物質、アレルゲン等)、食事要因(熱い食べ物や刺激物
等)がある。感染性要因と非感染性要因を鑑別するのは、病歴聴取や身体診察であ
る。感染性要因の中で最も多いものは、成人と同様にウイルスである 26,27。また、
細菌性では A 群 β 溶血性レンサ球菌(Group A β-hemolytic Streptococcus spp.:GAS)
によるものが重要である。
急性咽頭炎診療で重要なことは、急性喉頭蓋炎、頸部膿瘍、扁桃周囲膿瘍等の急
性上気道閉塞性疾患を見逃さないことと、自然治癒するウイルス性咽頭炎と治療が
必要な疾患(例えば GAS 咽頭炎等)とを鑑別し、適切にフォローアップすることで
ある。

(ii) 急性咽頭炎の疫学
急性咽頭炎と診断された小児患者のうち、GAS 陽性例は日本における報告では
16.3%27、海外における報告では 27%とされている 26。一方で咽頭培養から検出され
る GAS のすべてが急性咽頭炎の原因微生物ではなく、無症状の児の 10%~30%に
GAS 保菌が認められる 28。GAS による急性咽頭炎は、5 歳から 12 歳で頻度が高く、
3 歳未満児においては稀である。

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