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【参考資料2-1】抗微生物薬適正使用の手引き 第四版(案)医科・外来編 (63 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64503.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会(第99回 10/21)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第四版

医科・外来編

(iii) 診断と鑑別
急性咽頭炎の診断の目的は、GAS が原因微生物かどうかを判断することである。
咽頭痛や嚥下痛を小児が正確に訴えることは困難で、頭痛や嘔吐を伴う発熱等の非
特異的症状で咽頭炎を疑うことが重要である。小児(3~18 歳)を対象とした GAS
咽頭炎の症状の尤度比を評価した臨床研究によると、猩紅熱様皮疹や軟口蓋の点状
出血斑の陽性尤度比が比較的高い 27。ウイルス性咽頭炎と GAS 咽頭炎の鑑別点を以
下の表に記す。
表 3.

A 群 β 溶血性レンサ球菌咽頭炎とウイルス性咽頭炎

GAS 咽頭炎

・突然発症
・発熱
・頭痛
・嘔気・嘔吐
・腹痛
・圧痛を伴う前頸部リンパ節腫脹
・猩紅熱様皮疹

ウイルス性咽頭炎

・結膜炎
・咳嗽
・嗄声
・鼻汁
・筋肉痛
・下痢

小児においても Centor の基準が用いられるが、最も高いスコア(4 点)の最高得
点での陽性率は 68%である 29。スコア値のみで急性咽頭炎の原因が GAS であると判
断することは、過剰診断と治療につながる。そのことから、より正確な診断のため
に、検査診断が有用となる。
表 4.

Centor の基準

発熱 38°C 以上

1点

咳がない

1点

圧痛を伴う前頸部リンパ節腫脹

1点

白苔を伴う扁桃炎

1点

避けるべきことは、検査過剰による GAS 保菌者や臨床像が類似するウイルスが原
因である非 GAS 咽頭炎に対する抗菌薬治療である。そのためには、総合的に診断す
ること、すなわち患者を診察し、GAS 咽頭炎の事前確率が高いと判断した症例に限
り、適切に検査を行うことが重要である。また 3 歳未満では、GAS 咽頭炎がそもそ
も少ないこと、続発する急性リウマチ熱(Acute rheumatic fever:ARF)の合併が少
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