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【参考資料2-1】抗微生物薬適正使用の手引き 第四版(案)医科・外来編 (21 ページ)
出典
| 公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64503.html |
| 出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会(第99回 10/21)《厚生労働省》 |
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抗微生物薬適正使用の手引き
第四版
医科・外来編
一般外来における成人・学童期以降の小児編
4. 急性気道感染症
(1) 急性気道感染症とは
急性気道感染症は、急性上気道感染症(急性上気道炎)及び急性下気道感染症
(急性気管支炎)を含む概念であり、一般的には「風邪」、「風邪症候群」、「感冒」
等の言葉が用いられている 1,2。
「風邪」は、狭義の「急性上気道感染症」という意味から、「上気道から下気道感
染症」を含めた広義の意味まで、様々な意味で用いられることがあり 3、気道症状だ
けでなく、急性(あるいは時に亜急性)の発熱や倦怠感、種々の体調不良を「風邪」
と認識する患者が少なくないことが報告されている 4。患者が「風邪をひいた」と言
って受診する場合、その病態が急性気道感染症を指しているのかを区別することが
鑑別診断のためには重要である。
(2) 急性気道感染症の疫学
厚生労働省の患者調査(2023 年実施)では、急性上気道感染症注4による 1 日あた
りの外来受療率は 175(人口 10 万対)と報告されている 5。また、1960 年代に米国
で行われた研究では、急性気道感染症の年間平均罹患回数は、10 歳未満で 3~7 回、
10~39 歳で 2~3 回、40 歳以上で 1~2 回 6、2014 年のオーストラリアの報告でも、
気道感染症罹患の予測確率は年齢とほぼ線形の関連があり、年齢が高くなればなる
ほど罹患する確率が低いこと 7 が報告されている。
一方で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行前の報告になるが、在宅医
療を受けている 419 人の 65 歳以上の高齢者を対象とした日本で行われたコホート研
究によると、年間 229 件の発熱例のうち普通感冒はわずかに 13 件であったことが示
されている 8。このことから、高齢者が「風邪をひいた」として受診してきた場合、
「その病態は本当に急性気道感染症を指しているのか?」について疑問に持って診
療にあたる必要がある。
注4
国際疾病分類第 10 版(ICD10)において J00~J06 に分類される疾病。
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第四版
医科・外来編
一般外来における成人・学童期以降の小児編
4. 急性気道感染症
(1) 急性気道感染症とは
急性気道感染症は、急性上気道感染症(急性上気道炎)及び急性下気道感染症
(急性気管支炎)を含む概念であり、一般的には「風邪」、「風邪症候群」、「感冒」
等の言葉が用いられている 1,2。
「風邪」は、狭義の「急性上気道感染症」という意味から、「上気道から下気道感
染症」を含めた広義の意味まで、様々な意味で用いられることがあり 3、気道症状だ
けでなく、急性(あるいは時に亜急性)の発熱や倦怠感、種々の体調不良を「風邪」
と認識する患者が少なくないことが報告されている 4。患者が「風邪をひいた」と言
って受診する場合、その病態が急性気道感染症を指しているのかを区別することが
鑑別診断のためには重要である。
(2) 急性気道感染症の疫学
厚生労働省の患者調査(2023 年実施)では、急性上気道感染症注4による 1 日あた
りの外来受療率は 175(人口 10 万対)と報告されている 5。また、1960 年代に米国
で行われた研究では、急性気道感染症の年間平均罹患回数は、10 歳未満で 3~7 回、
10~39 歳で 2~3 回、40 歳以上で 1~2 回 6、2014 年のオーストラリアの報告でも、
気道感染症罹患の予測確率は年齢とほぼ線形の関連があり、年齢が高くなればなる
ほど罹患する確率が低いこと 7 が報告されている。
一方で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行前の報告になるが、在宅医
療を受けている 419 人の 65 歳以上の高齢者を対象とした日本で行われたコホート研
究によると、年間 229 件の発熱例のうち普通感冒はわずかに 13 件であったことが示
されている 8。このことから、高齢者が「風邪をひいた」として受診してきた場合、
「その病態は本当に急性気道感染症を指しているのか?」について疑問に持って診
療にあたる必要がある。
注4
国際疾病分類第 10 版(ICD10)において J00~J06 に分類される疾病。
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