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【参考資料2-1】抗微生物薬適正使用の手引き 第四版(案)医科・外来編 (35 ページ)
出典
| 公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64503.html |
| 出典情報 | 厚生科学審議会 感染症部会(第99回 10/21)《厚生労働省》 |
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抗微生物薬適正使用の手引き
第四版
医科・外来編
5. 急性下痢症
(1) 急性下痢症とは
急性下痢症は、急性発症(発症から 14 日間以内)で、普段の排便回数よりも軟便
又は水様便が 1 日 3 回以上増加している状態と定義されているエラー! 参照元が見つかりません。,
エラー! 参照元が見つかりません。
。急性下痢症の 90%以上は感染性、残りの 10%程度は薬剤性、
中毒性、虚血性、その他非感染性であり、全身性疾患の一症状として下痢を伴うこ
ともあると指摘されている 86。感染性の急性下痢症は、吐き気や嘔吐、腹痛、腹部
膨満、発熱、血便、テネスムス(しぶり腹。便意が頻回に生じること)等を伴うこ
とがあるエラー! 参照元が見つかりません。が、急性感染性下痢症は、「胃腸炎」や「腸炎」等とも
呼ばれることがあり、中には嘔吐症状が際立ち、下痢の症状が目立たない場合もあ
ることが指摘されているエラー! 参照元が見つかりません。。
(2) 急性下痢症の疫学
感染性胃腸炎の非流行期(2023 年 10 月)に行った厚生労働省の患者調査では、
腸管感染症注11の 1 日あたりの外来受療率は 21(人口 10 万対)と報告している 55。
急性下痢症の大部分はウイルス性であり 87、冬季に流行するノロウイルスやロタ
ウイルス等が代表例とされているが、日本では 2011 年よりロタウイルスワクチンの
任意接種が始まり、2020 年には定期接種となった。ワクチンの任意接種開始後、基
幹定点からの届出によるサーベイランスではロタウイルスによる下痢症は減少傾向
にある 88。
急性下痢症の原因となりうる細菌としては、非チフス性サルモネラ属菌、カンピ
ロバクター、腸管出血性大腸菌、ビブリオ属菌が代表的であるとされる 87 が、海外
からの帰国者の下痢症では腸管毒素原性大腸菌やカンピロバクターも多く、稀に赤
痢菌やコレラ菌が検出されることもあること、また、最近の抗菌薬投与歴がある場
合にはクロストリディオイデス・ディフィシル腸炎を考慮する必要があること 89 も
指摘されている。なお、腸チフス、パラチフスに関しては下痢を伴わないことが多
いとされている 90。
(3) 急性下痢症の診断方法及び鑑別疾患
急性下痢症の原因推定のための重要な情報としては、発症時期、随伴症状(発熱、
腹痛、血便の有無)、疑わしい摂食歴、最近の海外渡航歴、抗菌薬投与歴、免疫不全
注11
ICD10 コードにおいて A00~A09 をまとめたもの。
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第四版
医科・外来編
5. 急性下痢症
(1) 急性下痢症とは
急性下痢症は、急性発症(発症から 14 日間以内)で、普段の排便回数よりも軟便
又は水様便が 1 日 3 回以上増加している状態と定義されているエラー! 参照元が見つかりません。,
エラー! 参照元が見つかりません。
。急性下痢症の 90%以上は感染性、残りの 10%程度は薬剤性、
中毒性、虚血性、その他非感染性であり、全身性疾患の一症状として下痢を伴うこ
ともあると指摘されている 86。感染性の急性下痢症は、吐き気や嘔吐、腹痛、腹部
膨満、発熱、血便、テネスムス(しぶり腹。便意が頻回に生じること)等を伴うこ
とがあるエラー! 参照元が見つかりません。が、急性感染性下痢症は、「胃腸炎」や「腸炎」等とも
呼ばれることがあり、中には嘔吐症状が際立ち、下痢の症状が目立たない場合もあ
ることが指摘されているエラー! 参照元が見つかりません。。
(2) 急性下痢症の疫学
感染性胃腸炎の非流行期(2023 年 10 月)に行った厚生労働省の患者調査では、
腸管感染症注11の 1 日あたりの外来受療率は 21(人口 10 万対)と報告している 55。
急性下痢症の大部分はウイルス性であり 87、冬季に流行するノロウイルスやロタ
ウイルス等が代表例とされているが、日本では 2011 年よりロタウイルスワクチンの
任意接種が始まり、2020 年には定期接種となった。ワクチンの任意接種開始後、基
幹定点からの届出によるサーベイランスではロタウイルスによる下痢症は減少傾向
にある 88。
急性下痢症の原因となりうる細菌としては、非チフス性サルモネラ属菌、カンピ
ロバクター、腸管出血性大腸菌、ビブリオ属菌が代表的であるとされる 87 が、海外
からの帰国者の下痢症では腸管毒素原性大腸菌やカンピロバクターも多く、稀に赤
痢菌やコレラ菌が検出されることもあること、また、最近の抗菌薬投与歴がある場
合にはクロストリディオイデス・ディフィシル腸炎を考慮する必要があること 89 も
指摘されている。なお、腸チフス、パラチフスに関しては下痢を伴わないことが多
いとされている 90。
(3) 急性下痢症の診断方法及び鑑別疾患
急性下痢症の原因推定のための重要な情報としては、発症時期、随伴症状(発熱、
腹痛、血便の有無)、疑わしい摂食歴、最近の海外渡航歴、抗菌薬投与歴、免疫不全
注11
ICD10 コードにおいて A00~A09 をまとめたもの。
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