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【参考資料2-1】抗微生物薬適正使用の手引き 第四版(案)医科・外来編 (77 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64503.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会(第99回 10/21)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第四版

医科・外来編

10. 急性下痢症
 急性下痢症は、便性と便量の異常のことである。嘔吐腹痛等の腹部症状や発
熱を伴うことがある。
 小児急性下痢症の原因となる微生物は、本邦ではウイルスが大半である
 小児急性下痢症では、原因診断より重症度の判断が重要である。迅速に緊急
度判断を行い、脱水と判断したならば、早期に経口補水療法を開始する。
【抗菌薬に関する推奨】
 急性下痢症の原因がウイルス性の場合、抗菌薬は不要である。
 健常者における軽症の細菌性腸炎疑い症例には、抗菌薬を投与しないことを
推奨する。
 生後 3 か月未満の細菌性腸炎、免疫不全者、重症で敗血症合併が懸念される
場合は、抗菌薬投与を検討する。

(1) 急性下痢症とは
急性下痢症は、軟便もしくは水様便といった便性の異常が、24 時間以内に 3 回以
上の回数 76 や、通常の倍以上の回数 77、通常の倍以上の量(乳児では 10 mL/kg/日以
上、乳児以降では 200 g/24 時間以上)78 認められるものと定義される。多くは嘔吐
が下痢に先行するが、下痢のみの場合や、特に年少児では嘔吐のみの場合もある。
腹痛、発熱の合併を認めることがある。年少児の方が症状の進行は早いが、症状の
程度には個人差がある。感染性の要因としてウイルス性と細菌性があるが、日本を
始め先進国では、圧倒的にウイルス性が多い。

(2) 急性下痢症の疫学
日本では、冬季に流行し、その大半はノロウイルス等のウイルス感染が原因と推
測される 79。ノロウイルスは、小児の感染性胃腸炎原因の 1 位(ないし 2 位)を占
める(12%)80。ワクチンの導入前では、ロタウイルスは先進国、発展途上国関係な
く 3 歳までに 90%が罹患する疾患で、ロタウイルスワクチンは先進国では約 90%の
ロタウイルスによる重症下痢症の予防効果がある。日本では、2011 年 1 月よりロタ
ワクチンの任意接種が始まり、2020 年より定期接種化され、稀な疾患となった 81。

(3) 診断と鑑別
小児の急性下痢症では、原因がウイルス性かどうかを判断することが必要である。
嘔吐で始まり、臍周囲の軽度から中等度の腹痛や圧痛がある、血便がなく水様性下
77