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【参考資料2-1】抗微生物薬適正使用の手引き 第四版(案)医科・外来編 (25 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64503.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会(第99回 10/21)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第四版

医科・外来編

(iii) 急性咽頭炎
喉の痛みを主症状とする病態を有する急性気道感染症を、本手引きでは、急性咽
頭炎に分類する。なお、本手引きでは、急性扁桃炎は、急性咽頭炎に含まれること
とする。このような病態を有する症例の大部分の原因微生物はウイルスであり、抗
菌薬の適応のある A 群 β 溶血性レンサ球菌(GAS)による症例は成人においては全
体の 10%程度と報告されている 17,29,30 が、その一方で、日本で行われた研究では、
20~59 歳の急性扁桃炎患者の約 30%31、小児の急性咽頭炎患者の約 17%32 が GAS
陽性であったとも報告されている。一般的に GAS による急性咽頭炎は、学童期の小
児で頻度が高く、乳幼児では比較的稀であるとされる 17,29 が、咽頭培養から検出さ
れる GAS のすべてが急性咽頭炎の原因微生物ではなく、無症状の小児の 20%以上に
GAS 保菌が認められうるとも報告されている 33。近年、GAS 以外の C 群や G 群 β 溶
血性レンサ球菌やフソバクテリウム属菌も急性咽頭炎・扁桃炎の原因になる可能性
が欧米の調査では指摘されているが、日本での疫学的な調査は少ないとされている
34-42。

GAS による咽頭炎の可能性を判断する基準としては、Centor の基準又はその基準
に年齢補正を追加した McIsaac の基準(表 2)が知られている 43,44。Centor の基準
及び McIsaac の基準の点数に応じた迅速抗原検査や抗菌薬投与の推奨は様々17,19,45,46
であるが、ACP/CDC 及び ESCMID の指針では、Centor の基準 2 点以下では GAS 迅
速抗原検査は不要と指摘されている 19,45。ただし、GAS を原因とする咽頭炎患者へ
の最近の曝露歴がある 47 等、他に GAS による感染を疑う根拠があれば、合計点が 2
点以下でも迅速抗原検査を考慮してもよいと考えられている。抗菌薬処方を迅速抗
原検査又は培養検査で GAS が検出された場合のみに限ると、不要な抗菌薬使用を減
らすことができ 44、費用対効果も高いこと 48 が報告されている。
一方、小児では Centor の基準で最も高い 4 点の陽性率ですら 68%であったと報告
されており 49、Centor の基準や McIsaac の基準の点数のみで小児の急性咽頭炎の原
因微生物が GAS であると判断した場合には過剰診断につながる可能性があることか
ら、より正確な診断のために検査診断が必要になる。
表 2.

McIsaac の基準

文献 43,44 より作成

発熱 38°C 以上

1点

咳がない

1点

圧痛を伴う前頚部リンパ節腫脹

1点

白苔を伴う扁桃腺炎

1点

年齢

3~14 歳

1点

15~44 歳

0点

25