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【参考資料2-1】抗微生物薬適正使用の手引き 第四版(案)医科・外来編 (43 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_64503.html
出典情報 厚生科学審議会 感染症部会(第99回 10/21)《厚生労働省》
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抗微生物薬適正使用の手引き

第四版

医科・外来編

6. 参考資料
(1)

抗菌薬の延期処方とは

近年、急性気道感染症における抗菌薬使用削減のための戦略として、抗菌薬の延
期処方(Delayed Antibiotics Prescription:DAP)に関する科学的知見が集まってき
ているエラー! 参照元が見つかりません。。DAP は、初診時に抗菌薬投与の明らかな適応がない患
者に対して、その場で抗菌薬を投与するのではなく、その後の経過が思わしくない
場合にのみに抗菌薬を投与する手法であり、不必要な処方を減らすためにも有効で
あることから、英国では急性気道感染症に関する国の指針において DAP が推奨され
ている 108,118。日本において DAP を行う場合は、初診時は抗菌薬を処方せず、症状
が悪化した場合や遷延する場合に再度受診をしてもらい、改めて抗菌薬処方の必要
性を再評価するという方法が考えられる。
以上のようなことを踏まえ、DAP を行うことで、合併症や副作用、予期しない受
診等の好ましくない転帰を増やすことなく抗菌薬処方を減らすことができると考え
られているエラー! 参照元が見つかりません。。

(2) 在宅における抗微生物薬適正使用について
日本では超高齢化に伴い、在宅医療の需要が年々増加している。2020 年から 2040
年にかけて、在宅医療の需要は 36%増加し、特に 75 歳以上では 43%、85 歳以上で
は 62%の増加が予測されている 119。このような背景のもと、在宅医療の現場では慢
性期や終末期のみならず、急性期医療を担う機会が今後ますます増加すると考えら
れている。
近年では、急性期病院と同等レベルの医療を在宅で提供する「在宅入院(Hospital
at Home:HAH)」が注目されている。HAH の導入により、入院を回避しつつ、死亡
率や再入院率を増加させることなく、施設入所のリスクを低減し、患者満足度の向
上や医療費削減に寄与することが報告されており 120、早期退院についてもほぼ同様
のことが示されている 121。
このような医療モデルを支えるためには、在宅における標準的な感染症診療の実
践と、抗微生物薬の適正使用が不可欠である。新型コロナウイルス感染症の流行以
前の報告によれば、在宅患者の約 3 分の 1 が 1 年以内に少なくとも 1 回の発熱を経
験しており、その原因は肺炎・気管支炎(45%)、尿路感染症(10%)、皮膚・軟部
組織感染症(11%)、及び感冒(6%)であった 8。発熱患者の約 3 分の 2 が在宅で抗
菌薬治療を受け、その 9 割が治癒に至っており、適切な介入が行われれば、在宅に
おいても感染症治療を完遂しうることが示唆されている。

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