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提案書21(4001頁~4203頁) (59 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

⑧点数等見直し
の場合
⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)

見直し前
見直し後
その根拠

がん遺伝子パネル検査は、複数のCDxを含む多くの遺伝子変異を一度に検出できるため、初回治療開始前に限られた組織検体から効果の期待でき
る薬剤を効率的に患者に提供できるメリットや増悪時の速やかな治療法変更の計画が立てられるメリットがある。しかし、現在の保険適用条件
(標準治療後、CGP検査とCDxを分けて算定など)では、それらのメリットを生かせず、患者の治療の機会を逸しまうことから、倫理的・社会的に
も重大な問題がある。初回治療開始前からがん遺伝子パネル検査ができるようになることで、患者の治療の機会を早い段階で適切に提供できるよ
うになる。一方、初回治療開始前からがん遺伝子パネル検査ができることで、エキスパートパネルの負担が増加することが懸念される。そのた
め、エキスパートパネルが実施できる医療機関をがんゲノム医療連携病院にも拡大することでその負担が軽減できる。
【根拠】
①先進医療B制度下で行われた臨床試験(FIRST-Dx試験)では、標準治療開始前にがん遺伝子パネル検査を行うことで、全体の61.0%の患者にエ
キスパートパネルが推奨する治療が呈示され、19.8%の患者において実際に効果が期待出来る治療が実施できた(第146回先進医療技術審査部会
資料)。この結果は、初回治療選択時にがん遺伝子パネル検査を実施することにより、約20%の患者において実際に遺伝子変異に基づく治療への
到達が可能であっただけでなく、まだ治療を受けていない約40%の患者においては、将来的に最適な薬剤へのアクセスの機会を確保できたことを
示している。一方、現在のがん遺伝子パネル検査の適用である標準治療終了後の場合、エキスパートパネルで推奨治療が呈示された割合が44.5%
であるのに対し、実際に治療を受けた割合は9.4%(2,888/30,826)にとどまる(厚生労働省、R5年2月13日 第4回がんゲノム医療中核拠点病院
等の指定に関する検討会資料)。また、がん遺伝子パネル検査から治療が提案されたものの治療を受けられなかった割合が30.4%あり、適切なタ
イミングでがん遺伝子パネル検査を実施していれば受けられた治療の機会の逸したとも考えられる。以上より、初回治療選択時からがん遺伝子パ
ネル検査を実施することで、最適な治療を適切なタイミングで受けられる患者の権利を守ることができる。
②日本臨床腫瘍学会が2022年7月4日に発出した「がんゲノム医療におけるエキスパートパネルを効率的かつ効果的に運用するためのマニュアル」
では、エキスパートパネルを実施するがんゲノム医療中核拠点病院においては、エキスパートパネルの準備のために事前準備や事前検討(プレエ
キスパートパネル)を多くの専門家が時間外や土日に数時間から数十時間をかけて実施しており、働き方改革の面でも早急に改善しなければなら
ない。
特になし
特になし
特になし

区分



番号
技術名

D004-2、D006-18、D006-27
悪性腫瘍組織検査、BRCA1/2遺伝子検査、悪性腫瘍遺伝子検査(血液・血漿)

具体的な内容

がん遺伝子パネル検査を標準治療開始前に実施した場合、これまで同一検査で算定していた悪性腫瘍組織検査、BRCA1/2遺伝子検査、悪性腫瘍遺
伝子検査(血液・血漿)は算定しない。
減(-)

プラスマイナス
予想影響額(円)

6.62億円

その根拠

増額分:約44.8億円
・56万円(診療報酬)x8,000回(対象増加回数)=約44.8億円
減額分:約51.4億円
・現在、医療現場では、初回治療選択時には個別のCDxを実施し、標準治療修了後にがん遺伝子パネル検査を実施し「D006-19 がんゲノムプロ
ファイリング(CGP)検査:44,000点」と「B011-5 がんゲノムプロファイリング評価提供料:12,000点」を算定しているが、初回治療選択時にがん
遺伝子パネル検査が有するCDx機能とCGP検査機能を区別せず[D006-19 がんゲノムプロファイリング(CGP)検査:44,000点」を算定し、標準治療終
了後(見込み含む)に「B011-5 がんゲノムプロファイリング評価提供料(12,000点)」を算定する本提案とを、治療期間全体にかかる検査費用
を同一症例でシミュレーションすると、肺がんの場合は現行のまままのほうが11万円高く、大腸癌においても4.9万円高くなることから、初回治
療選択時にCDxとCGP検査を区別せず[D006-19 がんゲノムプロファイリング検査(44,000点)」とするほうが医療費削減に貢献する。C-CATのデータ
から、CGP検査を受ける肺癌症例が6%とすると1,680人で1億8480万円、大腸癌症例が18%とすると5,040人で2億4696万円が削減できる。同様に、
前立腺癌患者および卵巣癌患者がすべてBRCAのコンパニオン診断(20万2000円)をがん遺伝子パネル検査で実施した場合、増加人数の2万4千人のう
ち前立腺癌・卵巣癌症例が12%(C-CATデータより)とすると3,360人、合計6億7872万円が削減できる。これらの癌種だけでも総額約11億1千万の
削減が期待出来る。さらに、がんゲノムプロファイリング検査により効果の期待出来る治療が提供されれば、対象患者は働きながら治療をうけら
れる。例えば、50歳、月収50万、東京勤務での平均社会保険料(健康保険料)支払いは、約6万円であり、働きながら治療を行えば、年間72万円
の社会保険料が国に入ることになる。これまで休職しなければならなかった患者が、対象患者の2割とした場合、5,600人で、合計40.32億円が保
険料として確保できる。

備考

米国では、進行・転移性大腸において、一次治療前の従来の遺伝子検査の20%をがん遺伝子パネル検査に置き換わると想定した場合、検査費用は
微増(月額最大 0.003 ドル/人)だが、より多くのactionableな変異を検出することで15.5 人の患者にゲノム情報に基づく治療機会が提供され
たと報告されている(J Medical Economics. 2022, 25:1, 817-825.)。さらに、進行非小細胞肺癌において、一次治療前のがん遺伝子パネル検
査の実施割合が10%増加した場合、医療費は微増する(0.01 ドル/人)が、より有効な治療実施によって3.11年追加の生存期間の延長が報告され
ている(JCO Precision Oncology (ASCO). 2021 :5, 1611-1624)。転移性非小細胞肺癌において、sequentialなPCRベースの検査戦略に比べ、初
回治療選択時のがん遺伝子パネル検査戦略は、最も検査関連費用を節約する検査戦略であると報告されている(J Medical Economics. 2022,
25:1, 457-468)。さらに、BRAF遺伝子変異陽性非小細胞肺癌において、個別遺伝子検査に比べ、早期からのがん遺伝子パネル検査はより検査費
用を節約できると報告されている(J Medical Economics. 2018; 21:7, 649-655)。

⑩予想影響額

⑪算定要件の見直し等によって、新たに使用される医薬
品、医療機器又は体外診断薬

特になし

⑫その他

特になし

⑬当該申請団体以外の関係学会、代表的研究者等

特になし

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