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提案書21(4001頁~4203頁) (37 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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石綿による健康被害を救済する環境省の石綿健康被害判定小委員会の判定基準である「医学的判定に係る資料に関する留意事項」において、組織
診断を行い得ない場合においては細胞診標本の結果を用いて判定を行うことが明記されている。 International Mesothelioma Interest Group
(IMIG)が2018年に発表した中皮腫病理診断ガイドラインや日本肺癌学会が2022年に発表した肺癌診療ガイドライン(第2部.悪性胸膜中皮腫診療
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 ガイドライン)においても細胞診標本を用いた免疫染色を併用することが推奨されており、細胞診検体を用いた免疫染色によって悪性胸膜中皮腫
後等のアウトカム
の病理診断にたどり着き、適切な治療を受けられるようになる患者は少なくない。また、中皮腫の鑑別診断としてあげられる肺癌は近年分子標的
薬が開発され、薬剤の適応症例を適切に病理検査において判定することで予後が改善されている。このことからもわかるように、中皮腫と肺癌を
鑑別することは治療的にも社会医学的にもニーズがきわめて高いといえる。
③再評価の根
拠・有効性

ガイドライン等での位置づけ

④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

年間対象者数の
変化

年間実施回数の
変化等

1か月の細胞診件数(婦人科材料以外の場合)204,825回/月(令和3年社会医療診療行為別統計)、このうち免疫染色は胸水、腹水、髄液に対して
行われる。病理組織標本作製セルブロック法によるものは319回/月あった。
細胞診材料で免疫染色を実施できる施設はほぼ当学会認定施設に限られると考えられる。
当学会の認定施設年報(令和3年)によると認定施設で行われた体腔液細胞診26,3888件/年のうち擬陽性以上の症例数は、56,027件/年である。
免疫染色の頻度は全体の 1.56%(平成26年度、臨床細胞学会・病理学会、両社会保険委員会合同アンケート)と考えらえる。
材料は胸水、腹水、髄液が大半を占め、具体的には、胃癌、大腸癌、卵巣癌、肺癌、悪性中皮腫など腹腔、胸腔の悪性腫瘍、脳腫瘍、悪性リンパ
腫等の体腔への播種である。(平成26年度、臨床細胞学会・病理学会、両社会保険委員会合同アンケート)
腫瘍細胞が確認できる標本を擬陽性以上の症例と仮定して、このうちセルブロックが作成できた症例を外すと、年間の増加回数は、
(56,027件/年―319回/月×12か月)×1.56%=814回/年となる。

見直し前の症例数(人)

0(人)

見直し後の症例数(人)

814(人)

見直し前の回数(回)

0(回)

見直し後の回数(回)

814(回)

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

①環境省 中央環境審議会 環境保健部会 石綿健康被害判定小委員会 医学的判定に係る
資料に関する留意事項悪性胸膜中皮腫病理診断の手引き(第1.0版、2013年10月1日)、日
本肺癌学会編.
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
②肺癌診療ガイドライン-悪性胸膜中皮腫・胸腺腫瘍含む- 2022年版(日本肺癌学会編).
る。)
③ Guidelines for pathologic diagnosis of malignant mesothelioma 2017 update of
the consensus statement from the International Mesothelioma Interest Group. Arch
Pathol Lab Med. 2018; 142(1): 89-108.

病理専門医・細胞診専門医、臨床検査技師・細胞検査士のもとに実施されるので問題ない。
一般的な病理細胞診施設ならば広く普及している技術である。

施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 免疫染色を実施しうる病理診断実施施設
制等)
人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門 免疫染色を実施しうる病理診断実施施設
性や経験年数等)
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の 特記なし
要件)

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

問題ない

⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

問題ない

⑧点数等見直し
の場合

見直し前
見直し後
その根拠

400
組織標本において定められている点数に倣った。

区分
⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)

なし

区分をリストから選択

番号
技術名

該当しない
該当しない

具体的な内容

該当しない
減(-)

プラスマイナス

⑩予想影響額

予想影響額(円)

7,000,400円/年

減少

その根拠

対象となる患者たちは、現在は免疫染色を行うために入院の上で胸膜生検を行って病理組織標本を作成する、あるいは再度胸腔穿刺を行って胸水
を採取し、セルブロックを作成したうえで、免疫染色を行っている。本技術はすでに作られた標本、採取された検体を用いることから、少なくと
も、新たに病理組織標本を作製する費用(860点)が減少となる。このため少なく見積もっても
860点×814×10円=7,000,400円/年の減少となる。

備考

特記なし

⑪算定要件の見直し等によって、新たに使用される医薬
品、医療機器又は体外診断薬

なし

⑫その他

細胞診標本は、すでに染色され、保管された過去の細胞診標本であっても免疫染色が可能である点が有用である、特に中皮腫の場合にはパパニコ
ロ染色だけでは診断は困難である。胸水貯留から何か月か経って初めて中皮腫が疑われ、振り返って細胞診標本を取りだして、免疫染色を追加し
て最終的に診断にたどり着くことも多い。なお、標本数が少ない場合であっても、分割法、転写法を用いることにより4種類以上の免疫染色を実
施することが可能である。

⑬当該申請団体以外の関係学会、代表的研究者等

特定非営利活動法人
特定非営利活動法人
細胞検査士会 会長

日本石綿・中皮腫学会 理事長 関戸好孝 (愛知県がんセンター研究所 副所長)
病理技術研究会 理事長 青木 裕志 (順天堂大学 人体病理病態学講座)
阿部 仁 (公益財団法人がん研究会有明病院 臨床病理センター・臨床検査センター)

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