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資料9 評価シート様式2(案)(令和4月2月28日暫定版) (55 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24115.html
出典情報 健康日本21(第二次)推進専門委員会(第17回 2/25)《厚生労働省》
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脂質異常症(高コレステロール血症)及び糖尿病の有病率という主要な4つの危険因子を改善
させることによる効果として設定されており、これらの危険因子と脳血管疾患・虚血性心疾患の死亡と
の関連は、厚生労働科学研究※におけるコホート研究における危険因子と循環器系疾患死亡の
関連から算出されている。実際の4つの危険因子のうち、最終評価時点である程度改善を認めた
因子は収縮期血圧の平均値と喫煙率であり、高コレステロール血症は増加もしくは横ばいである。こ
れらの危険因子の今回評価時の値を元の回帰式に入れてみると、年齢調整死亡率は減少傾向には
なるものの実際の死亡率の改善は予測値を上回っていた。死亡率の減少には危険因子の管理だけ
でなく急性期治療の進歩等も貢献していることが推測された。
② 高血圧の改善
収縮期血圧の平均値については男女とも 10 年の推移でみた場合は減少基調だが、直近の 2 年
間(平成 29(2017)年と平成 30(2018)年)は男性で少し上昇基調を認めた。これは 60
~69 歳と 70 歳以上の群で特に観察されたが、層化した年齢区分内の年齢構成がさらに高齢に偏
ること等の影響も受けるため、このサンプル数で増加しているかどうかを判断することは難しい。女性でも
70 歳以上は同じような動きを示しており、今後の計画で引き続き推移をみていく必要がある。
③ 脂質異常症の減少
複数ある脂質異常症の検査項目のうち、病態生理学的に動脈硬化の成因として最も重要で、か
つ発症予測や予防治療介入の効果で最もエビデンスが蓄積されている LDL コレステロールを指標とし
て用いることは妥当であると考えられる。総コレステロールには動脈硬化性疾患の発症と負の関連を示
す HDL コレステロールも含まれるため、LDL コレステロールの測定が正確であるという前提を置けば、
本項目の評価指標としては LDL コレステロールの結果が優先されることが望ましい。
今回の最終評価では、4 つの指標の評価を総括し、項目全体としては「C 変わらない」と評価され
たが、これは、LDL コレステロールの測定が正確であるという前提の下、評価指標として LDL コレステロ
ールの結果を優先して評価した場合と同じ結果(「C 変わらない」)である。上記の理由 から、測定
精度上平成 28(2016)年までの LDL コレステロールの測定結果を見る際には注意が必要である
が、総コレステロールを用いた場合の評価も、性別、年齢区分で層化しても同様の傾向を示し、どの
層でも「変わらない」という解釈で問題ないと考えられる。
現行の特定健診・特定保健指導では、メタボリックシンドロームに着目し、内臓脂肪と関連が強いト
リグリセライドと HDL コレステロールを特定保健指導の階層化に用いているが、もともとメタボリックシンド
ロームという概念が、スタチンで LDL コレステロールを下げても動脈硬化性疾患を発症しやすい状態の
探索から生まれた「残余リスク」に由来するものであるため、階層化基準となっているトリグリセライドとH
DLコレステロールとは別に LDL コレステロールのコントロールに関する対策も必要である。
LDL コレステロールの重要性に関しては、改めて「標準的な健診・保健指導プログラム(平成 30
年度版)」にも記載されたが、今後対策を強化するため、循環器疾患の対策に関わる者等への理解
を促していく必要がある。
※ 「大規模コホート共同研究の発展による危険因子管理の優先順位の把握と個人リスク評価に
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