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令和6年度予算の編成等に関する建議 本文 (14 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20231120/zaiseia20231120.html
出典情報 令和6年度予算の編成等に関する建議(11/20)《財務省》
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単に現状維持志向の政策を講じるのではなく、将来を見据えた財政措置
を制度改革や規制緩和とあわせて講じるべきである。そうすることで、企
業や個人の行動変容や産業の新陳代謝等を促すとともに、労働生産性の
伸びを確保し、民需主導の自律的・持続的な経済成長を実現できる環境を
整えていくことが政府の重要な役割である。
また、人口減少に歯止めをかけなければ我が国の社会・経済を維持する
ことは困難であり、少子化対策の成否は国家の持続可能性を左右すると
いっても過言ではない。このため、少子化対策は長期的・継続的に実施す
る必要があり、そうである以上、その財源についても、医療・介護分野等
の徹底した歳出改革や支援金制度の構築等を通じ、安定的に確保するこ
とが不可欠である。世代間・世代内の公平性を確保し、将来世代を含む全
ての世代が相互に支え合う全世代型社会保障制度を構築していくことに
よって、あらゆる世代の将来不安を取り除いていく必要がある。
財政や社会保障はもとより国家の運営に当たっては、将来世代の利益
にもつながる対応を選択し、持続可能な社会・経済を未来に残していかね
ばならない。これからの時代を生きる世代に、より良い社会・経済を残し
ていく観点から、足もとの利害を超えた真摯な議論と実践が求められる1。
令和6年度(2024 年度)予算については、こうした基本認識を踏まえ
て編成すべきである。国と地方を合わせた基礎的財政収支2の黒字化目標
の期限は令和7年度(2025 年度)に迫っている。財政健全化目標の達成
に向けた道筋をしっかりと示し、経済・財政運営に対する市場の信認を確
保するとの覚悟を持って編成に臨むことが求められる。物価・金利動向な
ど我が国の経済の現況に鑑みれば、今がまさに財政健全化に軸足を移す
べき時であり、この機会を逃してはならない。

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こうした議論と実践に当たっては、フューチャーデザイン(将来世代は現在の政策決定に意思
を反映できないという問題意識に立ち、現世代が将来可能性(将来世代の利益のために行動しよ
うとする潜在的意欲)を発揮できる社会の仕組みをデザインすること)の取組が重要であり、そ
の考え方を社会に浸透させていくための努力を継続していくことが必要である。
2 基礎的財政収支(プライマリーバランス)とは、その時点で必要とされる政策的経費を、その
時点の税収等でどれだけ賄えているかを示す指標。税収・税外収入と、国債費(国債の元本返済
や利子の支払いに充てられる費用)を除く歳出との収支のことを表す。基礎的財政収支が均衡し
ていれば、その時点で必要とされる政策的経費を、その時点の税収等で賄うことができているこ
ととなる(ただし債務残高の実額は利払費の分だけ増加する)。

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