提案書14(2601頁~2800頁) (73 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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整理番号
※事務処理用
提案される医療技術名
申請団体名
371101
センチネルリンパ節生検術(子宮悪性腫瘍手術)
日本婦人科腫瘍学会
主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科
25産婦人科・産科
34病理診断科
関連する診療科(2つまで)
28放射線科
提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した医
療技術の提案実績の有無
有
過去に提案した年度
(複数回提案した場合は、直近の年
「実績あり」の 度)
場合、右欄も記
提案当時の医療技術名
載する
令和4年度
センチネルリンパ節生検術(子宮悪性腫瘍手術)
追加のエビデンスの有無
無
提案される医療技術の概要
(200字以内)
ラジオアイソトープ、蛍光色素、青色素などのトレーサーを用いて子宮頸がんや体がんのセンチネルリンパ節(SN)を同定・
生検する。術前に子宮頸部や体部にトレーサーを局注後、それぞれの検出器でSNを同定し摘出する。転移の有無を病理診断
し、術式や術後治療選択の参考にする。本技術は国内のガイドラインだけでなく、NCCNやESMOなどの海外のガイドラインで
もすでに推奨されている。
文字数: 184
対象疾患名
保険収載が必要な理由
(300字以内)
文字数: 277
子宮悪性腫瘍(子宮頸がんおよび子宮体がん)
子宮頸がんおよび体がんにおけるリンパ節転移は重要な予後因子でリンパ節郭清による正確な転移診断は重要であるが、下
肢リンパ浮腫やリンパ嚢胞につながるリスクがある。特に女性患者にとって下肢リンパ浮腫は整容性の面でもQOLを著しく
低下させ、それに要する治療費負担とともに大きな社会問題となっている。SN生検は微小転移も含めたリンパ節転移の術中
診断を可能とし、転移陰性を確認のうえ郭清を省略すればリンパ浮腫やリンパ嚢胞がほぼ発生しなくなる。よって、本技術
は転移診断の向上のみでなく、術後合併症の軽減による医療費抑制にも貢献するため、早急に保険収載されるべきである。
【評価項目】
①提案される医療技術の対象
・疾患、病態、症状、年齢等
早期子宮悪性腫瘍(子宮頸がん:脈管侵襲を伴うⅠA1期、ⅠA2期、ⅠB1期、ⅠB2期、ⅡA1期、子宮体がん:Ⅰ期およびⅡ
期)
②提案される医療技術の内容
・方法、実施頻度、期間等
(具体的に記載する)
術前に38-111MBqのフィチン酸テクネチウム(99mTc)注射液を、子宮腟部または腫瘍近傍の粘膜下(子宮体癌の場合は腫瘍近
傍の子宮内膜下)に分割して投与する。手術直前にインジゴカルミン(4mg/ml)、インドシアニングリー(1,25mg/ml) を経腟
的に子宮腟部に局所注射する。子宮体がんの場合は、術中に子宮体部にも局所注射する場合もある。注入した色素や蛍光の
視認とγプローブによるSNの検索を術中に行い、Radioisotopeが集積しバックグラウンドの10倍以上のカウントを示すリン
パ節および色素により青変または蛍光を発したリンパ節をSNとして同定する。同定したSNを術中迅速病理診に提出し、転移
の有無を検証する。転移が無い場合は、系統的リンパ節郭清を省略することが可能である。
③対象疾患に対
して現在行われ
ている医療技術
(当該医療技術
が検査等であっ
て、複数ある場
合は全て列挙す
ること)
区分
K
番号
医療技術名
879
子宮悪性腫瘍手術
既存の治療法・検査法等の内容
子宮悪性腫瘍手術では通常、領域リンパ節郭清(骨盤リンパ節、傍大動脈リンパ節)が行われるが、リンパ節転移頻度が低い
早期がん患者にも郭清を行っているのが現状である。結果的には不要のリンパ節郭清が行われ、術後の下肢リンパ浮腫やリ
ンパ嚢胞という患者QOL低下をもたらす合併症が生じている。また術中出血量の増加、多臓器損傷、術後癒着による腸閉塞
なども郭清により生じやすくなる。
④有効性・効率性
・新規性、効果等について③との比較
・長期予後等のアウトカム
研究結果
SN生検の術中病理診断で転移がないことを確認しリンパ節郭清を省略した場合、術後の下肢リンパ浮腫やリンパ嚢胞は激減
し患者QOLは改善する。加えて、手術時間の短縮、出血量の軽減、手術侵襲の低減により入院期間が短縮することも期待さ
れる。SNの病理診断は2mm間隔の連続切片で行なわれることが多いが、その場合、微小転移の検出も可能となり転移診断の
向上にもつながる。
早期子宮頸がんにおいて、通常のリンパ郭清を行った67例とSN生検のみを行った139症例を比較すると、前者の下肢リンパ
浮腫発生率は22%であるのに対して、後者は0%であった。加えてリンパ嚢胞やリンパ管炎、腸閉塞などの出現率も後者では
有意に低かった。他の頸がんに関する論文も、体がんに関する論文も、すべてSN生検のみでは有意に下肢リンパ浮腫などの
合併症が低減した。
⑤ ④の根拠と
なる研究結果等
3
ガイドライン等での位置づけ
⑥普及性
年間対象患者数(人)
国内年間実施回数(回)
※患者数及び実施回数の推定根拠等
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
る。)
国内のガイドラインだけでなく、NCCNやESMOなどの海外のガイド
ラインでもすでに推奨されている。トレーサーの局注や、術中の
SN同定は容易な手技であり、短期のラーニングカーブで習得でき
る。RIが使用できない施設ではICGや青色素で代用できる。
11,366例
7,400例
日本産科婦人科学会婦人科腫瘍登録2018年患者年報によると、本治療法の対象となる子宮頸癌IA2、IB1期、IIA1期
(FIGO2008)は計2,561例。子宮体癌IA期‐II期は8,805例であった。そのうち、手術を選択された症例数は、子宮頸癌では
2,235例、子宮体癌では8,641例である。子宮頸癌ではほとんどの症例が骨盤リンパ節郭清を施行するが、子宮体癌では約
60%でリンパ節郭清が施行されているという報告があること考えると、約5,100例がリンパ節郭清を行ったと推測される。以
上より、約7,400件のリンパ節郭清が本治療法に転換される可能性がある。
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