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提案書16(3000頁~3199頁) (97 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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医療技術評価提案書(保険未収載技術用)
整理番号

※事務処理用

提案される医療技術名
申請団体名

432102
結合組織移植術
特定非営利活動法人日本歯周病学会
37歯科・歯科口腔外科

主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科

リストから選択
関連する診療科(2つまで)
リストから選択

提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した医
療技術の提案実績の有無



過去に提案した年度
(複数回提案した場合は、直近の年度)
「実績あり」の
場合、右欄も記
該当無し
載する
提案当時の医療技術名

リストから選択

有無をリストから選択

追加のエビデンスの有無
提案される医療技術の概要
(200字以内)
文字数: 197
対象疾患名
保険収載が必要な理由
(300字以内)

文字数: 299

口蓋側の上皮下から結合組織を採取し根面露出部の被覆し角化歯肉幅の拡大を目的として行う手術法。口蓋から採取した上皮
下結合組織を受給側の歯肉弁に挟み込むため歯肉弁と骨膜との二方向から血液供給を得ることができ成功率の高い手術法であ
る。供給側である口蓋は閉鎖創となるため術後の出血、疼痛が少ない。歯根露出を改善することでプラーク沈着の抑制、歯ブ
ラシ時の疼痛の緩和、歯周ポケットの深化を防ぐことができる。
歯肉退縮
限局した歯根露出が存在すると歯ブラシ時の疼痛や知覚過敏、プラーク沈着の増加、歯周ポケットの深化および根面う蝕が生
じやすくなる。これを防ぐために歯肉の有茎弁移動術や遊離歯肉移植術が行われている。現在では口蓋から上皮下結合組織の
みを採取し、剥離した歯肉弁と根面の間に挟み込み移植する結合組織移植術が広く実施されている。本法では歯肉弁と骨膜と
の二方向から血液供給が得られることから組織正着の成功率が高く、また供給側の口蓋が閉鎖創となるため術後の出血、疼痛
が少ないだけでなく審美性にも優れている。しかし、本法は未だ保険収載されておらず、遊離歯肉移植術より難易度が高いた
め、本法を別に保険収載する必要がある。

【評価項目】
①提案される医療技術の対象
・疾患、病態、症状、年齢等

限局的な歯根露出を生じた患者を対象とする。疾患名としては部分的歯肉退縮に伴う歯根露出であり、症状としてはプラーク
の沈着の増加、歯ブラシ時の疼痛、知覚過敏、歯周ポケットの深化、根面う蝕の発生、審美性の低下などがあり、これにより
歯周病や根面う蝕の進行に影響し、患者のQOLの低下や歯に寿命に関与する。発症する年齢には特に差は認められていない。

②提案される医療技術の内容
・方法、実施頻度、期間等
(具体的に記載する)

口蓋側の上皮下から結合組織を採取し、これを対象部位に形成した粘膜弁と骨膜と間に挟み込み縫合する手術法。粘膜弁の形
成には歯肉弁歯冠側移動術による形成法、あるいは歯頚部から封筒状に粘膜弁を形成するエンベロープ形成法、近遠心的に粘
膜をトンネル状に剥離するトンネル形成法などにより形成する。移植された結合組織移植組織は骨膜と粘膜の両方から血液供
給されることから生着率が高い。また、露出した結合組織部は周囲の上皮が一体となって覆うことから審美性にも優れた治癒
形態となる。

③対象疾患に対
して現在行われ
ている医療技術
(当該医療技術
が検査等であっ
て、複数ある場
合は全て列挙す
ること)

区分
番号
医療技術名


J063-6-ロ,ハ,ニ
歯肉弁歯冠側移動術,歯肉弁側方移動術,遊離歯肉移植術

既存の治療法・検査法等の内容

これまで行われていた根面露出に対する手術法には有茎弁移動術や遊離歯肉移植術がある。有茎弁移動術は患歯に近接する歯
肉を粘膜弁で剥離し側方、あるいは歯冠側に移動させることで露出歯根を被覆する。この場合、十分な歯肉の厚みがないと成
功率が落ちる。遊離歯肉移植術は口蓋から上皮を含む歯肉を採取し、これを露出歯根上に移植する方法である。供給側の口蓋
が開放創となることから出血が多く、疼痛も持続することから術後のQOLが損なわれる。また、移植した上皮の血液供給は骨
膜からとなり、結合組織移植術と比較すると生着率が低い。また、移植した歯肉は周囲の歯肉と形態的、色調的にマッチせず
いわゆるグラフトアイランドとなり審美的に問題がある。結合組織移植術と比べて遊離歯肉移植術や歯肉弁側方移動術では根
面被覆率は低い。

④有効性・効率性
・新規性、効果等について③との比較
・長期予後等のアウトカム

研究結果
⑤ ④の根拠と
なる研究結果等

・結合組織移植術は1980年代から行われるようになった手術法であり移植片の生着率が遊離歯肉移植術と比較して高く確実性
の高い方法であるばかりでなく術後の供給側の出血、疼痛が少なく、審美性にも優れる患者に優しい手術法である。しかし、
結合組織の採取は歯肉上皮の採取より難易度が高く、結合組織を挟み込む粘膜弁の形成は歯肉弁歯冠側移動術の応用となる。
・結合組織移植術の予後についてはBarootchi S.らのRCT研究(J Clin Periodontol. 2019;46:1124-1133)の研究などによって
長期にわたり歯根露出の改善が認められることが示されている。

・遊離歯肉移植術の根面被覆率はJahnkeらの43%(J. Periodontol., 64: 315-322, 1993.),Ibbottらの56%(J. Periodontol.,
56: 662-665, 1985.),BertrandとDunlapの70%(8: 64-77, 1988.)である。
・歯肉弁側方移動術の根面被覆率はGuinardとCaffesse(J. Periodontol., 49: 351-358, 1978.)によると69.16%である
・結合組織移植術の根面被覆率は極めて高くNelsonら(J. Periodontol., 58: 95-102, 1987.)は88%、Raetzkeら
(J.Periodontol., 56: 397-402, 1985.)は79%、Jahnkeら(J. Periodontol., 64: 315-322, 1993. 18)は78%およびHarrisら
(J. Periodontol., 73: 1054-1059. 2002.)は13週で97.1%、27.5カ月で98.4%を示している。
このように結合組織移植術は既存の手術法より良好な成績が望めるだけでなく、疼痛の緩和、審美性の改善につながる極めて
優れた手術法であることがすでに示されている。
1b

ガイドライン等での位置づけ

⑥普及性

年間対象患者数(人)
国内年間実施回数(回)

歯周治療のガイドライン2022において、上皮下結合組織移植術は,
受容側における移植片が骨膜側と上皮側の両面より血液供給を受け
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載する。) るため、遊離歯肉移植術より生着しやすい。また、遊離歯肉移植術
と比較して審美性に優れた方法で、現在では最もよく用いられてい
る。と記載されている。
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