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提案書16(3000頁~3199頁) (92 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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医療技術評価提案書(保険未収載技術用)
整理番号

※事務処理用

提案される医療技術名
申請団体名

432101
PISA(Periodontal Inflamed Surface Area:歯周炎症表面積)検査
特定非営利活動法人日本歯周病学会
37歯科・歯科口腔外科

主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科

03循環器内科
関連する診療科(2つまで)
01内科

提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した医
療技術の提案実績の有無
過去に提案した年度
「実績あり」の (複数回提案した場合は、直近の年度)
場合、右欄も記 提案当時の医療技術名
載する
追加のエビデンスの有無
提案される医療技術の概要
(200字以内)
文字数: 198
対象疾患名

保険収載が必要な理由
(300字以内)

文字数: 300


リストから選択
該当無し
有無をリストから選択
歯周組織に生じた炎症状態を歯周ポケット深さとBOPから歯周炎症表面積を算出する検査がPISA検査であり、全身疾患との関
2
連リスクを評価できる医療技術である。生活習慣病を有しPISA値が300mm 以上である場合、全身に与える影響が大きいことか
ら生活習慣性歯周病と診断する。本疾患では歯周基本治療時における抗菌薬投与(局所、経口)を可能とし適切な管理を行う
ことで炎症の早期改善を図ることを目的とする。
生活習慣性歯周病
これまで歯科から医科への情報は歯周ポケット深さや重症度であり、口腔内の炎症の状態を明確に示しておらず、また治療効
果も医師には理解し難い指標であった。PISAは歯周ポケット内の炎症表面積を客観的に示し糖尿病、冠動脈疾患、腎疾患、脳
梗塞、リューマチ等の全身疾患と相関関係が高いことが報告されている。また、検査数値が大きく治療効果を理解しやすい指
標である。生活習慣病を有する歯周病患者にPISA検査を行い、生活習慣性歯周病を診断し抗菌薬を併用した歯周基本治療によ
る早期の炎症改善および医科歯科連携を行うことで歯周病のみならず生活習慣病など全身疾患の改善、重症化予防に貢献でき
ることから保険収載が必要である。

【評価項目】
2

①提案される医療技術の対象
・疾患、病態、症状、年齢等

医科より紹介を受けた生活習慣病を有する歯周病患者を対象とする。PISA検査によりPISA値300mm 以上の場合に生活習慣性歯
周病と診断し対象疾患とする。歯周組織に生じた慢性炎症をPISA検査値により評価し、抗菌薬(局所、経口)投与を併用した
処置を行うことにより早期の炎症改善を目指す。さらにPISAを用いて医科との情報共有を行うことで医科歯科の連携を深め生
活習慣病などの全身疾患の重症化予防に寄与する。

②提案される医療技術の内容
・方法、実施頻度、期間等
(具体的に記載する)

PISA検査は練度を必要とする検査技術である歯周ポケットおよびBOP測定を1歯6点法にて実施し、Nesseらの報告(参考文献
1)に従い歯周ポケット内表面積のうち、炎症のある歯周ポケット内表面積(PISA値)を算出する検査であり、その値から生
2
活習慣病との関連リスクを評価できる医療技術である。糖尿病患者とPISAの関連ではPISAが333mm 以上であると大きくHbA1cに
2
影響するという報告から、生活習慣病患者においてPISA値300mm 以上の場合に生活習慣性歯周病と診断し、抗菌薬を併用した
歯周基本治療を行うことで早期の炎症改善を目的とする。歯周病治療の効果、慢性炎症の状態を評価するために月に1回程度
の検査となる。

③対象疾患に対
して現在行われ
ている医療技術
(当該医療技術
が検査等であっ
て、複数ある場
合は全て列挙す
ること)

区分
番号
医療技術名

002-2
歯周精密検査



既存の治療法・検査法等の内容

1歯4点以上の歯周ポケット測定、BOPの有無、歯の動揺度、PCRにより歯周病の重症度を評価する。

④有効性・効率性
・新規性、効果等について③との比較
・長期予後等のアウトカム

研究結果
⑤ ④の根拠と
なる研究結果等

現在、歯周組織の破壊状態や重症度を歯周組織検査で評価し歯周病治療を行っている。しかし、歯周病により生じた持続性炎
症が全身に種々の影響を与えることが明らかとなり歯周組織における炎症状態を示す検査が必要となってきたが、これまでの
歯周組織検査では炎症状態を定量的に示すことはできない。PISA検査は口腔内の炎症状態を定量的に示すことができることか
ら全身に与えるリスクを評価しやすい。また数値化することで医科との連携がこれまで以上に容易となるところにその意義と
新規性がある。PISA検査と全身疾患との間に相関関係が認められており、特に糖尿病ではPISAを減少させることでHbA1cの有
意な改善が認められている。糖尿病患者ではPISAが333mm2以上であるとHbA1cを大きく増加させることが報告(参考文献2)さ
れていることから、生活習慣病を有する患者においてPISA値300mm2以上の場合に生活習慣性歯周病と診断し口腔の慢性炎症を
評価し歯周基本治療時に抗菌薬の投与(局所、経口)を併用した処置を行い、炎症を早期にコントロールする。これにより生
活習慣病などの全身疾患の抑制、重症化予防、改善が行われ国民の健康の維持・増進と医療費削減に寄与できる。また、日本
の研究でPISAの上昇に伴い、入院患者と総医療費が増加する傾向が認められている(参考文献5)。

・PISAは歯周病の臨床パラメーターのみならずHbA1c、hs-CRPおよびTNF-αとの強い相関関係を示すことから糖尿病および歯
周病患者の糖尿病状態と歯周病の状態を評価するための有用な指標となる。Antibiotics 2022, 11, 1266.
doi.org/10.3390/antibiotics11091266
・2型糖尿病患者ではPISAが高いほどHbA1cレベルが高く333 mm2のPISAの増加は、他の要因とは独立しHbA1cを1.0パーセントポ
イント増加させることが示された。J Clin Periodontol 36: 295-300, 2009.
・PISAとhs-CRPとの間に強い相関があり、PISA ≥ 500と<500のグループ間でhs-CRPレベルに有意差が認めた。Scientific
Reports 11: 1-8, 2021
・動脈硬化とPISAとの関連を調べると、動脈硬化の有病率と重症度のオッズ比は PISAが10mm2上がるごとに1.06であり、重度
の歯周炎に対しては2.12であった。J Periodontal Res 56: 423-431, 2021.
・高齢日本人女性のPISAは腎機能不良を表す血清シスタチンCレベルと有意に関連している。J Clin Periodontol. 43: 720726, 2016.
・リウマチとPISAとの関係を調べるとPISA>550mm2の患者はPISA≦550mm2の患者と比較しSteinbrocker class Ⅲ-Ⅳと stage
Ⅲ-Ⅳのオッズ比(OR:各々20.24,12.42)が有意に高かった。Int Dent J. 71: 429-437, 2021.
・ラクナ梗塞患者においてPISAが727mm2 以上では脳梗塞の予後不良が予想される。J Clin Periodontol. 46: 20-30, 2019.

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