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医療事故情報収集等事業 第84回報告書(2025年10月-12月) (54 ページ)

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出典情報 医療事故情報収集等事業 第84回報告書(2025年10月-12月)(3/27)《日本医療機能評価機構》
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【2】消化器手術時に胃管等を巻き込んで吻合・縫合した事例


分析テーマ

(5)事例の背景・要因
報告された事例の背景・要因を整理して示す。
図表Ⅲ-2-13

事例の背景・要因

○胃管等の留置状況
・執刀医は胃管が胃に挿入されていると思っていたが、十二指腸まで挿入されていた。
・患者は小柄であったため、胃管の挿入の長さを35cmにしていたが、体格を考慮すると35cmでも深すぎた。
・患者は幽門側胃切除術の既往があり、通常の膵頭十二指腸切除術に比べて残胃が小さかったため、胃空
腸吻合部は胃体上部側に近づき、胃管との距離が近くなった可能性があった。
・胃空腸吻合術の際、通常であれば胃切離直前に胃管を引き抜くが、今回は大量の胃内残渣があったため、
吻合直前まで胃管を胃内に留置したままにしていた。
・患者は小腸の癒着が強く、自動吻合器に干渉しない位置までイレウス管を引き抜くと再度進めることは
困難と考えられたため、イレウス管を留置したまま縫合した。
・術中所見で小腸に高度な浮腫を伴っていたため、イレウス管を抜かず、留置したまま自動吻合器を使用
した。
○執刀医と麻酔科医のコミュニケーションエラー
・執刀医は引き抜く長さを伝えたが、麻酔科医が同じ認識であることを確認できていなかった。
・外科医の「20cmまで抜く」という指示内容が正確に伝わらず、麻酔科医は「20cm抜く」と認識した。
・執刀医から「胃管を抜いてください」と依頼があった際、麻酔科医は胃管から脱気すると誤認した。
・麻酔科医は、依頼内容の確認や実施後の報告をする習慣がなかった。
・麻酔科医は、執刀医から胃内容物の吸引のみ指示されたと思っており、吸引後、執刀医に対応したこと
を伝えたが、執刀医から返答はなかった。執刀医が応答して胃管の位置を確認していれば、発生を未然
に防止できた可能性があった。
○麻酔科医の確認・認識不足
・麻酔科医は、胃管を引き抜く長さを執刀医に確認しなかった。
・麻酔科医は麻酔に集中していたため、執刀医から声を掛けられたことに気付かなかった。
・胃管は術前に挿入されていたため、麻酔科医は胃管の存在を認識しておらず、執刀医から指示があった
際に確認しなかった。
○執刀医の確認不足
・執刀医は、麻酔科医から胃管を抜いたと聞いた後、適切な長さまで抜かれたかを確認しなかった。
・術後のX線画像では、ドレーンの位置確認しかしておらず、胃管の異常には気付かなかった。
・術直後の腹部X線撮影は異物残存の確認、術後1日目の腹部X線撮影は腸閉塞の所見がないかの確認が目
的であったため、イレウス管に注目していなかった。後から確認すると、それぞれのX線画像でイレウス
管の屈曲・断裂を認めていた。
○執刀医・助手の状況
・執刀医は、癒着剥離に時間を要したため注意力が不足していた。
・手術助手の医師は、開腹の胃切除術の経験が少なくアシストが十分でなかった。
・自動縫合時、助手の医師が徒手的にイレウス管を自動縫合器から遠ざける必要があったが実施せず、腸
管壁のつり上げも不十分であった。

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医療事故情報収集等事業

第 84 回 報 告 書