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医療事故情報収集等事業 第84回報告書(2025年10月-12月) (52 ページ)
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| 出典情報 | 医療事故情報収集等事業 第84回報告書(2025年10月-12月)(3/27)《日本医療機能評価機構》 |
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2
【2】消化器手術時に胃管等を巻き込んで吻合・縫合した事例
■
分析テーマ
(4)事例の詳細
主な事例を示す。
図表Ⅲ-2-12
事例の内容
No.
事例の詳細
事例の背景・要因
再発防止策
鏡視下手術
大動脈食道瘻に対する胸腔鏡下食道亜全摘術を ・経鼻栄養チューブは術前から挿入さ ・麻酔科医は、確認を依頼さ
れた時点で改めて患者に挿
れており、麻酔科医は自分で挿入し
行っていた。消化器外科医師は「胃管を抜いて
ください」と麻酔科医に依頼したが、麻酔科医
ていなかったため、経鼻栄養チュー
入されているチューブ類を
は胃管が挿入されていないと誤認していたた
ブの存在を認識していなかった。
確認する。
め、その指示を了承したうえで実施しなかっ ・麻酔科医は目視で経鼻栄養チューブ ・可能な限り、チューブ類が
医療者の目につくように覆
を確認することなく抜けていると返
た。消化器外科医師は、手術中に2回、食道切
1
布をかける。
離直前に1回、
「胃管は抜けていますか」と問い
答した。その返答を受け、消化器外
合わせたが、麻酔科医は確認せずに「抜けてい
科医師も抜けているものと判断した。 ・経鼻栄養チューブを抜いた
る」と回答した。自動縫合器で食道を切離した
ら術中麻酔記録に記載する。
ところ、経鼻栄養チューブが挿入されたままで
・胃管の引き抜きの指示を出
あったため一緒に縫合してしまった。食道口側
す際は、現在挿入されてい
断端を一部開放し、縫い込まれた胃管周囲を剥
る 長 さ と そ れ を 何cm抜 く
離したうえで、経鼻栄養チューブを抜去した。
かを伝える。
口側の断端も同日術中に抜去した。数日間にわ
たる手術であり、肛門側断端に関しては2日後
の胃瘻造設時に抜去する方針にした。
食道浸潤のある進行胃がんの患者に対してロ ・吻合操作の際に胃管を引き抜くた ・執刀医は、実際にどのくら
いまで経鼻胃管を引き抜い
め、執刀医は「(挿入長)20cmくら
ボット支援胃全摘術を行っていた。食道空腸吻
たか具体的な状況を確認す
いまで引き抜いてください」と麻酔
合には自動縫合器を使用するが、その際、特に
る。
科医に声をかけた。
胃管を小孔より腹腔内に出しておいて、これに ・麻酔科医は、胃管を20cm分引き抜 ・経鼻胃管を問題なく動かす
ことができ、巻き込まれて
いたため、43cm程度挿入されてい
沿わせるように自動縫合器を食道内に挿入して
いないことを確認した後に
る状況であった。
いた。今回も同様に経鼻胃管に沿わせるように
食道側は誤挿入を予防するために、通常は経鼻
2
吻合操作を行う。
自動縫合器を食道内に挿入し、麻酔科医が胃管 ・執刀医の依頼と麻酔科医の認識がず
れていたことから、依頼内容が正確 ・ロボット支援手術では触覚
を引いて食道内に戻し、吻合操作を行った。そ
のフィードバックがないこ
に伝わらなかった可能性がある。
の後、小孔は手縫いで縫合閉鎖して吻合操作を
終了した。しかし、胃管を抜去しようとしたと ・ロボット支援手術であったため、吻
合操作の際に自動縫合器で先端に何
ころ抜去できなかった。術中内視鏡で確認した
ところ、経鼻胃管の先端が吻合部のステープ
か異物を巻き込んでいないか、知覚
ラーに巻き込まれていることが判明した。
することは困難であった。
とに注意する。
食道がんの患者に対して鏡視下手術を行うこと ・消化器外科医師は胃管から胃内容物 ・手術中に発生したコミュニ
ケーションエラーとして医
を吸引し、かつ胃管を引き抜くこと
になった。麻酔導入後、消化器外科医師により
療安全と手術部の委員会で
を麻酔科医に伝えたつもりであった
手術が開始された。食道切離前に経鼻胃管を引
3
き抜く場面で、消化器外科医師は麻酔科医に声
が、麻酔科医は胃管からの胃内容物
をかけたところ、麻酔科医は胃管から胃内容物
の吸引しか聞こえていなかった。
報告した。
・手術チームとして円滑なコ
の吸引処置を実施した。麻酔科医は吸引処置を ・麻酔科医は消化器外科医師から依頼
された胃内容物の吸引を実施したこ
実施したことを消化器外科医師に伝えたが応答
ミュニケーションを図るこ
はなかった。その後、消化器外科医師は胃管が
とを伝えたが、消化器外科医師から
は重要な場面では一旦手を
抜かれていない状態のまま食道を切離した。胃
返答はなかった。
止めてコミュニケーション
管を巻き込んでいたことに気付き、それぞれの ・消化器外科医師が麻酔科医からの返
答に応答し、胃管から胃内容物の吸
断端から遺残した胃管を摘出して手術を終了し
た。
とを日頃から意識し、術者
エラーの防止に努める体制
とした。
引は行われたが胃管を引き抜いてい
ないことを確認していれば、発生を
未然に防止できた可能性があった。
– 47 –
医療事故情報収集等事業
第 84 回 報 告 書
【2】消化器手術時に胃管等を巻き込んで吻合・縫合した事例
■
分析テーマ
(4)事例の詳細
主な事例を示す。
図表Ⅲ-2-12
事例の内容
No.
事例の詳細
事例の背景・要因
再発防止策
鏡視下手術
大動脈食道瘻に対する胸腔鏡下食道亜全摘術を ・経鼻栄養チューブは術前から挿入さ ・麻酔科医は、確認を依頼さ
れた時点で改めて患者に挿
れており、麻酔科医は自分で挿入し
行っていた。消化器外科医師は「胃管を抜いて
ください」と麻酔科医に依頼したが、麻酔科医
ていなかったため、経鼻栄養チュー
入されているチューブ類を
は胃管が挿入されていないと誤認していたた
ブの存在を認識していなかった。
確認する。
め、その指示を了承したうえで実施しなかっ ・麻酔科医は目視で経鼻栄養チューブ ・可能な限り、チューブ類が
医療者の目につくように覆
を確認することなく抜けていると返
た。消化器外科医師は、手術中に2回、食道切
1
布をかける。
離直前に1回、
「胃管は抜けていますか」と問い
答した。その返答を受け、消化器外
合わせたが、麻酔科医は確認せずに「抜けてい
科医師も抜けているものと判断した。 ・経鼻栄養チューブを抜いた
る」と回答した。自動縫合器で食道を切離した
ら術中麻酔記録に記載する。
ところ、経鼻栄養チューブが挿入されたままで
・胃管の引き抜きの指示を出
あったため一緒に縫合してしまった。食道口側
す際は、現在挿入されてい
断端を一部開放し、縫い込まれた胃管周囲を剥
る 長 さ と そ れ を 何cm抜 く
離したうえで、経鼻栄養チューブを抜去した。
かを伝える。
口側の断端も同日術中に抜去した。数日間にわ
たる手術であり、肛門側断端に関しては2日後
の胃瘻造設時に抜去する方針にした。
食道浸潤のある進行胃がんの患者に対してロ ・吻合操作の際に胃管を引き抜くた ・執刀医は、実際にどのくら
いまで経鼻胃管を引き抜い
め、執刀医は「(挿入長)20cmくら
ボット支援胃全摘術を行っていた。食道空腸吻
たか具体的な状況を確認す
いまで引き抜いてください」と麻酔
合には自動縫合器を使用するが、その際、特に
る。
科医に声をかけた。
胃管を小孔より腹腔内に出しておいて、これに ・麻酔科医は、胃管を20cm分引き抜 ・経鼻胃管を問題なく動かす
ことができ、巻き込まれて
いたため、43cm程度挿入されてい
沿わせるように自動縫合器を食道内に挿入して
いないことを確認した後に
る状況であった。
いた。今回も同様に経鼻胃管に沿わせるように
食道側は誤挿入を予防するために、通常は経鼻
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吻合操作を行う。
自動縫合器を食道内に挿入し、麻酔科医が胃管 ・執刀医の依頼と麻酔科医の認識がず
れていたことから、依頼内容が正確 ・ロボット支援手術では触覚
を引いて食道内に戻し、吻合操作を行った。そ
のフィードバックがないこ
に伝わらなかった可能性がある。
の後、小孔は手縫いで縫合閉鎖して吻合操作を
終了した。しかし、胃管を抜去しようとしたと ・ロボット支援手術であったため、吻
合操作の際に自動縫合器で先端に何
ころ抜去できなかった。術中内視鏡で確認した
ところ、経鼻胃管の先端が吻合部のステープ
か異物を巻き込んでいないか、知覚
ラーに巻き込まれていることが判明した。
することは困難であった。
とに注意する。
食道がんの患者に対して鏡視下手術を行うこと ・消化器外科医師は胃管から胃内容物 ・手術中に発生したコミュニ
ケーションエラーとして医
を吸引し、かつ胃管を引き抜くこと
になった。麻酔導入後、消化器外科医師により
療安全と手術部の委員会で
を麻酔科医に伝えたつもりであった
手術が開始された。食道切離前に経鼻胃管を引
3
き抜く場面で、消化器外科医師は麻酔科医に声
が、麻酔科医は胃管からの胃内容物
をかけたところ、麻酔科医は胃管から胃内容物
の吸引しか聞こえていなかった。
報告した。
・手術チームとして円滑なコ
の吸引処置を実施した。麻酔科医は吸引処置を ・麻酔科医は消化器外科医師から依頼
された胃内容物の吸引を実施したこ
実施したことを消化器外科医師に伝えたが応答
ミュニケーションを図るこ
はなかった。その後、消化器外科医師は胃管が
とを伝えたが、消化器外科医師から
は重要な場面では一旦手を
抜かれていない状態のまま食道を切離した。胃
返答はなかった。
止めてコミュニケーション
管を巻き込んでいたことに気付き、それぞれの ・消化器外科医師が麻酔科医からの返
答に応答し、胃管から胃内容物の吸
断端から遺残した胃管を摘出して手術を終了し
た。
とを日頃から意識し、術者
エラーの防止に努める体制
とした。
引は行われたが胃管を引き抜いてい
ないことを確認していれば、発生を
未然に防止できた可能性があった。
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医療事故情報収集等事業
第 84 回 報 告 書