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医療事故情報収集等事業 第84回報告書(2025年10月-12月) (12 ページ)

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出典情報 医療事故情報収集等事業 第84回報告書(2025年10月-12月)(3/27)《日本医療機能評価機構》
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第84回報告書について

2)消化器手術時に胃管等を巻き込んで吻合・縫合した事例
消化器手術の際、胃の減圧や胃内容物の性状の把握などを目的に、胃管が挿入される。また、
患者の状態から、術前に胃管やEDチューブ、イレウス管(以降、胃管等とする)が挿入されて
いる場合もある。消化器手術では、消化管を吻合する際や食道や胃、腸管などを切離して縫合す
る際、執刀医は挿入されている胃管等を手術操作に干渉しない位置まで麻酔科医に引き抜いても
らう必要がある。
2015年5月に提供した医療安全情報No.102「口頭指示の解釈間違い」で対象となった事例に
は、執刀医が麻酔科医に胃管を抜いてほしいという意味で「抜いてください」と依頼したとこ
ろ、麻酔科医は胃の空気を抜くと誤って解釈した事例が含まれていた。
今回、本報告書の分析対象期間(2025年7月~12月)に、ロボット支援食道がん手術の際、
通常は食道の切離時に執刀医が麻酔科医に胃管の挿入を浅くするよう声をかけるが、その声かけ
を失念し、胃管を巻き込んで自動吻合器を使用した事例など、複数の事例が報告された。そこ
で、消化器手術時に胃管等を巻き込んで吻合・縫合した事例を過去に遡って検索し、分析した。
事例の概要では、実施した手術や誤って吻合・縫合したチューブの種類、患者への影響などを
示した。事例の分析では、執刀医から麻酔科医への依頼の状況を示し、執刀医から麻酔科医へ胃
管等の引き抜きを依頼した事例では執刀医からの依頼内容と麻酔科医の対応を整理した。また、
胃管等を巻き込んで吻合・縫合したことに気付いた時期と契機や、気付いた後の対応を示した。
さらに、主な事例を紹介し、医療機関から報告された背景・要因と再発防止策を整理して示した。
報告された事例は、鏡視下手術の事例が多かった。鏡視下手術では、執刀医が用手的に胃管等
を巻き込んでいないか確認することができず、確認が不十分となる可能性がある。さらに、ロ
ボット支援手術の事例では、触覚のフィードバックがないため確認が難しかったと記載されてい
た。鏡視下手術においては、吻合・縫合前の胃管等の位置の確認はより慎重に行う必要がある。
一方、開腹手術では、用手的に胃管等がないことを確認できるため、触って確認することは必須
であるが、触って確認していなかった事例や、確認していても不十分であった事例が報告されて
いた。また、自動吻合器または自動縫合器を使用した事例が多く、これらの製品は組織損傷を軽
減するための鋭利なカッターが内蔵されており、胃管等も抵抗なく切断して吻合・縫合できた可
能性がある。
胃管等を巻き込んで吻合・縫合したことに気付いた時期は、自動縫合器の作動直後が多かった
が、術後数日を経て気付いた事例も報告されていた。手術中に気付いた場合でも、胃管等を取り
出して再度縫合するなどの追加処置が必要となり、手術時間の延長につながる。また、術後に気
付いた場合は、再度全身麻酔下に胃管等を取り出す手術が必要となり、本来不要な処置を追加す
ることになるため患者への侵襲が増大する。消化管の吻合・縫合直後に麻酔科医とともに胃管に
可動性があるかを確認して、胃管の巻き込みに早期に気付くことは重要である。
執刀医から麻酔科医へ胃管等の引き抜きを依頼したと記載された事例12件については、依頼
後に麻酔科医が胃管を抜く長さを誤認した事例や依頼そのものに気付いていなかった事例などが
あった。多くの事例で執刀医と麻酔科医の間の情報伝達にエラーが生じていたことから、胃管の
引き抜きの依頼は、患者の安全に直結する重要なコミュニケーションの場面であることを認識す
る必要がある。そのため、執刀医から麻酔科医へ依頼する際は、胃管等を抜く長さを具体的な数

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医療事故情報収集等事業

第 84 回 報 告 書