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医療事故情報収集等事業 第84回報告書(2025年10月-12月) (37 ページ)
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| 出典情報 | 医療事故情報収集等事業 第84回報告書(2025年10月-12月)(3/27)《日本医療機能評価機構》 |
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2
【1】クリニカルパス/クリティカルパスに関連した事例
■
分析テーマ
3)その他の事例
パスの内容に関する事例の中から、
「観察・モニタリング」と「安静度・リハビリテーション」
に関する事例の内容を専門分析班の議論とともに紹介する。
図表Ⅲ-1-6
その他の事例の内容
No. 区分
事例の詳細
事例の背景・要因
再発防止策
観察・モニタリング
【パスに掲載する術後観察指示の見
縦隔内甲状腺腫に対し、甲状腺全摘術 【患者要因】
を実施した。閉創前に昇圧薬を投与 ・高血圧症があり、降圧薬を内 直し】
・本事例はパス適用事例であった
服していた。
し、入院時血圧と同程度までの昇圧を
行い、術野での止血を確認した。手術 ・普段は収縮期血圧110mmHg
が、術後観察指示は血圧やSpO2な
時間は3時間43分、出血量は178mLで
台にコントロールされていた
どバイタルサイン基準値をもとに
あった。17時30分頃病棟へ帰室した。
が、入院直後は140mmHg台
した定型的な数値の指示のみで
翌日1時30分頃から痰の出しづらさで
を示すなど、容易に変動する
ナースコールがあり、15分程度毎に吸
傾向があった。
引を繰り返し実施した。SpO2は90%台 ・術中の止血確認では昇圧薬を
息事例においては、SpO2は窒息直
後半を維持していたが、頸部全体の腫
投与して140mmHg以上に昇
前まで保たれることが知られてお
脹を認め、吸引が頻回でもあることか
圧を行ったが、術後、病棟で
り、気道狭窄の徴候(呼吸回数増
ら、看護師は2時37分に当直医師に診
は最大160mmHg前後まで血
加、頸部腫脹、息苦しさなど)の
察を依頼した。医師到着を待っていた
圧上昇が見られた。
早期把握が重要となることから、
ところ、SpO2が30%台まで低下したた 【出血リスクの予想】
め、2時41分、院内緊急コールを行う ・術中所見としては易出血性を
と同時に、看護師は胸骨圧迫を開始し
た。2時44分、到着した麻酔科医師が
経口気管挿管を行い、バッグバルブマ
スクによる換気を開始した。アドレナ
医療事故情報
1
あった。
・頸部手術に起因する気道狭窄・窒
を追加した。
確認され、主治医は術後出血 【頸部手術に起因する気道狭窄時へ
のリスクが高いとは予想して の対応の院内教育】
いなかった。
・全職員を対象とした医療安全研修
加していなかった。
止血術を実施した。
(e-learning)において、医療事故
調査・支援センターの医療事故の
再発防止に向けた提言第16号「頸
た。術後血腫による気道閉塞と診断 【気道狭窄の徴候の把握】
し、集中治療室(ICU)へ入室となっ ・ドクターコールとなる1時間
た。4時8分、手術室入室となり、開創
症状・所見に関する観察指示項目
認めず、創部閉鎖前に止血が
リ ン0.1mgを 投 与 後、2時47分 に は ・通常の術後観察指示の他に観
察を強化するような指示は追
SpO2は94%まで上昇し、2時50分には
自発呼吸および大腿動脈触知を確認し
本事例適用パスの術後観察指示に
部手術に起因した気道閉塞に係る
死亡事例の分析」の内容を取り上
ほど前から、痰の出しづらさ
げた。
の訴えが繰り返しあり、15分 ・気道閉塞の危険性、術後の呼吸の
毎に吸引を行っていた。
観察、術後の症状と頸部の観察を
・大柄な体格の患者であり、頸
中心に解説を行い、病棟で不安を
部腫脹を認識するまでにやや
感じた際には早期にラピッドレス
時間を要した。
ポンスチームに相談することを周
知した。
専門分析班の議論
○再発防止策にあるように、医療事故の再発防止に向けた提言
第16号「頸部手術に起因した気道閉塞に係る
死亡事例の分析」3)が公表されている。提言3【術後の症状と頸部の観察】では、
「頸部術後は『頸部腫脹』
の有無とともに、気道狭窄の徴候として『息苦しさ』
、
『痰のからみ』
、
『飲み込みにくさ』
、
『創部痛の増強』
などの訴えや、
『頻繁な体位変換』や『不穏状態ともとられる体動』などを観察する。
」と記載されている。
提言4【術後の報告基準の明示と対応】では、
「医師は、頸部術後の気道狭窄の徴候について、観察項目と報
告基準を明確に指示する。医療機関は、頸部術後を担う医療チームが気道狭窄の徴候に迅速な対応ができる
体制を作る。
」と記載されている。
○頸部の手術後は気道狭窄の徴候の早期把握が重要であり、提言3の観察項目をクリティカルインディケーター
としてパスに組み込んでおくとよい。
○パスの観察項目でこれらの徴候が「あり」になると、看護師が詳細に記録するため、さらに観察して思考す
ることにつながり、アセスメントや対応がより適切に行えるようになるのではないか。
医療事故情報収集等事業
第 84 回 報 告 書
– 32 –
【1】クリニカルパス/クリティカルパスに関連した事例
■
分析テーマ
3)その他の事例
パスの内容に関する事例の中から、
「観察・モニタリング」と「安静度・リハビリテーション」
に関する事例の内容を専門分析班の議論とともに紹介する。
図表Ⅲ-1-6
その他の事例の内容
No. 区分
事例の詳細
事例の背景・要因
再発防止策
観察・モニタリング
【パスに掲載する術後観察指示の見
縦隔内甲状腺腫に対し、甲状腺全摘術 【患者要因】
を実施した。閉創前に昇圧薬を投与 ・高血圧症があり、降圧薬を内 直し】
・本事例はパス適用事例であった
服していた。
し、入院時血圧と同程度までの昇圧を
行い、術野での止血を確認した。手術 ・普段は収縮期血圧110mmHg
が、術後観察指示は血圧やSpO2な
時間は3時間43分、出血量は178mLで
台にコントロールされていた
どバイタルサイン基準値をもとに
あった。17時30分頃病棟へ帰室した。
が、入院直後は140mmHg台
した定型的な数値の指示のみで
翌日1時30分頃から痰の出しづらさで
を示すなど、容易に変動する
ナースコールがあり、15分程度毎に吸
傾向があった。
引を繰り返し実施した。SpO2は90%台 ・術中の止血確認では昇圧薬を
息事例においては、SpO2は窒息直
後半を維持していたが、頸部全体の腫
投与して140mmHg以上に昇
前まで保たれることが知られてお
脹を認め、吸引が頻回でもあることか
圧を行ったが、術後、病棟で
り、気道狭窄の徴候(呼吸回数増
ら、看護師は2時37分に当直医師に診
は最大160mmHg前後まで血
加、頸部腫脹、息苦しさなど)の
察を依頼した。医師到着を待っていた
圧上昇が見られた。
早期把握が重要となることから、
ところ、SpO2が30%台まで低下したた 【出血リスクの予想】
め、2時41分、院内緊急コールを行う ・術中所見としては易出血性を
と同時に、看護師は胸骨圧迫を開始し
た。2時44分、到着した麻酔科医師が
経口気管挿管を行い、バッグバルブマ
スクによる換気を開始した。アドレナ
医療事故情報
1
あった。
・頸部手術に起因する気道狭窄・窒
を追加した。
確認され、主治医は術後出血 【頸部手術に起因する気道狭窄時へ
のリスクが高いとは予想して の対応の院内教育】
いなかった。
・全職員を対象とした医療安全研修
加していなかった。
止血術を実施した。
(e-learning)において、医療事故
調査・支援センターの医療事故の
再発防止に向けた提言第16号「頸
た。術後血腫による気道閉塞と診断 【気道狭窄の徴候の把握】
し、集中治療室(ICU)へ入室となっ ・ドクターコールとなる1時間
た。4時8分、手術室入室となり、開創
症状・所見に関する観察指示項目
認めず、創部閉鎖前に止血が
リ ン0.1mgを 投 与 後、2時47分 に は ・通常の術後観察指示の他に観
察を強化するような指示は追
SpO2は94%まで上昇し、2時50分には
自発呼吸および大腿動脈触知を確認し
本事例適用パスの術後観察指示に
部手術に起因した気道閉塞に係る
死亡事例の分析」の内容を取り上
ほど前から、痰の出しづらさ
げた。
の訴えが繰り返しあり、15分 ・気道閉塞の危険性、術後の呼吸の
毎に吸引を行っていた。
観察、術後の症状と頸部の観察を
・大柄な体格の患者であり、頸
中心に解説を行い、病棟で不安を
部腫脹を認識するまでにやや
感じた際には早期にラピッドレス
時間を要した。
ポンスチームに相談することを周
知した。
専門分析班の議論
○再発防止策にあるように、医療事故の再発防止に向けた提言
第16号「頸部手術に起因した気道閉塞に係る
死亡事例の分析」3)が公表されている。提言3【術後の症状と頸部の観察】では、
「頸部術後は『頸部腫脹』
の有無とともに、気道狭窄の徴候として『息苦しさ』
、
『痰のからみ』
、
『飲み込みにくさ』
、
『創部痛の増強』
などの訴えや、
『頻繁な体位変換』や『不穏状態ともとられる体動』などを観察する。
」と記載されている。
提言4【術後の報告基準の明示と対応】では、
「医師は、頸部術後の気道狭窄の徴候について、観察項目と報
告基準を明確に指示する。医療機関は、頸部術後を担う医療チームが気道狭窄の徴候に迅速な対応ができる
体制を作る。
」と記載されている。
○頸部の手術後は気道狭窄の徴候の早期把握が重要であり、提言3の観察項目をクリティカルインディケーター
としてパスに組み込んでおくとよい。
○パスの観察項目でこれらの徴候が「あり」になると、看護師が詳細に記録するため、さらに観察して思考す
ることにつながり、アセスメントや対応がより適切に行えるようになるのではないか。
医療事故情報収集等事業
第 84 回 報 告 書
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