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医療事故情報収集等事業 第83回報告書 (86 ページ)
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| 出典情報 | 医療事故情報収集等事業 第83回報告書(12/25)《日本医療機能評価機構》 |
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事業の現況
■
(3)英国The Guardian紙記者 Merope Mills氏から寄せられた取材依頼への対応
The Guardian紙の記者であり、医療事故被害者の家族であるMerope Mills氏より、日本の医療安
全について取材の申し込みがあり、2025年2月19日にインタビューを受けた。
Merope Mills氏は、2021年に英国Kings College Hospitalで当時13歳であった娘のMartha Mills
さんを敗血症で亡くした経験を有する。休日に自転車で遊んでいた際に転倒し、ハンドルで腹部を
打撲したが、膵損傷をきたしており、その後の治療の中で感染症、敗血症を発症し、死亡した。
Merope Mills氏や家族は娘の死亡原因について、病院における医師を中心とした組織内のヒエラル
キーが、必要な医療の提供を阻害したとの問題意識を抱くに至った。英国の医師資格を管理する
General Medical Council(GMC) は、 家 族 か ら の 訴 え を 受 け て 事 件 をMedical Practitioners
Tribunal(MPT)に送付したところ、悪化しつつあった病状は担当医師の診療能力の範囲を超えて
いたが、必要な専門医への紹介による診察や、院内の小児ICUへの転棟が行われておらず、十分な
医療が提供されたとは言えないと結論された。
その後、NHS Englandでは、患者、家族、看護者、スタッフが患者の病状の悪化について懸念を
抱いた場合に、迅速に専門診療科の診察を受ける取り組みを強化することとし、これを“Martha’s
rule”と称して2024年4月にNHS Englandの医療施設において運用が開始された。その後、導入す
る施設が増えて、140施設程度に拡大している。
2023年12月に、英国Imperial College Londonが作成した患者安全の年報の公表にあたって開催
されたレセプションへの招待に応じて出席した際に、Merope Mills氏に面会する機会があったこと
から(第80回報告書85-88頁)
、取材の依頼があったものである。
日本の医療安全対策について、医療安全に社会の関心が高まった歴史やその後の各層における対
応、本事業や薬局ヒヤリ・ハット事例収集事業・分析事業などの報告・学習制度、産科医療補償制
度などの資料を提供した。またインタビューでは、次の質問があった。
・日本の医療現場の文化について質問したい。医師が傲慢になりすぎて問題となることはあるか。
数名の医師の傲慢さが、娘が死亡した原因の一つである。そのため、英国以外の国々で、このこ
とがどの程度問題視されているのか知りたいと考えている。
・医療現場におけるヒエラルキーについて、看護師や若い医師は、ベテランの医師に対して率直に
意見を述べることができるか。それともベテランの医師を恐れて発言できないか。ベテランの医
師に対して意見することができないという文献を読んだことがあるので、日本の状況について知
りたい。
Martha’s rule(NHS England ホームページより)
1.患者には少なくとも毎日、気分はどうであるか、体調は良くなっているかそれとも悪
くなっているか質問する。これらの情報に基づいて体系的に対応する。
2.すべてのスタッフは、患者の病状が悪化していることに懸念があるが、そのことに対して
何も対応がなされていない場合は、いつでも別のチームの意見を求めることができる。
3.この診察依頼のルートは、患者、家族、ケア提供者も利用でき、そのことが病院内で
周知されている。
– 81 –
医療事故情報収集等事業
第 83 回 報 告 書
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(3)英国The Guardian紙記者 Merope Mills氏から寄せられた取材依頼への対応
The Guardian紙の記者であり、医療事故被害者の家族であるMerope Mills氏より、日本の医療安
全について取材の申し込みがあり、2025年2月19日にインタビューを受けた。
Merope Mills氏は、2021年に英国Kings College Hospitalで当時13歳であった娘のMartha Mills
さんを敗血症で亡くした経験を有する。休日に自転車で遊んでいた際に転倒し、ハンドルで腹部を
打撲したが、膵損傷をきたしており、その後の治療の中で感染症、敗血症を発症し、死亡した。
Merope Mills氏や家族は娘の死亡原因について、病院における医師を中心とした組織内のヒエラル
キーが、必要な医療の提供を阻害したとの問題意識を抱くに至った。英国の医師資格を管理する
General Medical Council(GMC) は、 家 族 か ら の 訴 え を 受 け て 事 件 をMedical Practitioners
Tribunal(MPT)に送付したところ、悪化しつつあった病状は担当医師の診療能力の範囲を超えて
いたが、必要な専門医への紹介による診察や、院内の小児ICUへの転棟が行われておらず、十分な
医療が提供されたとは言えないと結論された。
その後、NHS Englandでは、患者、家族、看護者、スタッフが患者の病状の悪化について懸念を
抱いた場合に、迅速に専門診療科の診察を受ける取り組みを強化することとし、これを“Martha’s
rule”と称して2024年4月にNHS Englandの医療施設において運用が開始された。その後、導入す
る施設が増えて、140施設程度に拡大している。
2023年12月に、英国Imperial College Londonが作成した患者安全の年報の公表にあたって開催
されたレセプションへの招待に応じて出席した際に、Merope Mills氏に面会する機会があったこと
から(第80回報告書85-88頁)
、取材の依頼があったものである。
日本の医療安全対策について、医療安全に社会の関心が高まった歴史やその後の各層における対
応、本事業や薬局ヒヤリ・ハット事例収集事業・分析事業などの報告・学習制度、産科医療補償制
度などの資料を提供した。またインタビューでは、次の質問があった。
・日本の医療現場の文化について質問したい。医師が傲慢になりすぎて問題となることはあるか。
数名の医師の傲慢さが、娘が死亡した原因の一つである。そのため、英国以外の国々で、このこ
とがどの程度問題視されているのか知りたいと考えている。
・医療現場におけるヒエラルキーについて、看護師や若い医師は、ベテランの医師に対して率直に
意見を述べることができるか。それともベテランの医師を恐れて発言できないか。ベテランの医
師に対して意見することができないという文献を読んだことがあるので、日本の状況について知
りたい。
Martha’s rule(NHS England ホームページより)
1.患者には少なくとも毎日、気分はどうであるか、体調は良くなっているかそれとも悪
くなっているか質問する。これらの情報に基づいて体系的に対応する。
2.すべてのスタッフは、患者の病状が悪化していることに懸念があるが、そのことに対して
何も対応がなされていない場合は、いつでも別のチームの意見を求めることができる。
3.この診察依頼のルートは、患者、家族、ケア提供者も利用でき、そのことが病院内で
周知されている。
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医療事故情報収集等事業
第 83 回 報 告 書