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医療事故情報収集等事業 第83回報告書 (40 ページ)

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出典情報 医療事故情報収集等事業 第83回報告書(12/25)《日本医療機能評価機構》
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【1】クリニカルパス/クリティカルパスに関連した事例


分析テーマ

②事例の内容
主な事例の内容と専門分析班の議論を紹介する。
図表Ⅲ-1-15

事例の内容(腎機能障害がある患者に適さない薬剤の投与)

No. 区分

事例の詳細

事例の背景・要因

再発防止策

患者は虫垂腫瘍に対して手術の方針と ・長年、処置や術前の腸洗浄の ・診療科・部署内において、診療
科長・師長が、マグコロール散
目的でマグコロール散を投与
は腎機能障害患者には禁忌であ
しており、パスに組み込まれ
インスリン療法が導入された。HbA1c

なったが、血糖コントロールが不良で

ることを速やかに周知する。
ていた。
が改善したため、7日前に術前血糖コン
トロール目的で入院した(当日採血結 ・医師・看護師はマグコロール ・医療安全部門がリスクマネジメ
ントニュースで全職員に向けて
散が腎機能障害患者に禁忌で
果:尿素窒素64.8mg/dL、クレアチニ
注意喚起を行う。
あることを知らなかった。
ン1.99mg/dL、eGFR19mL/min)。2日
前、術前腸洗浄の一部としてマグミッ ・パスの除外基準に腎機能障害 ・診療科内で術前の腸洗浄につい
て再検討し、下剤を変更する。
患者の記載はなかった。
ト錠330mg 6錠分3とガスコン40mg 6
錠分3が開始となった。1日前の朝食 ・入院時に病棟薬剤師は、患者 ・薬剤部が院内で使用されている
後、患者は腸洗浄目的でマグコロール

に腎機能障害があるが血中マ

パスでマグコロール散が組み込

散50g、ピコスルファートナトリウム

グネシウム値が高値を示して

まれているものを抽出し、該当

内用液1本を服用した。夕方までに排

いないため、マグコロール散

診療科が下剤の変更を検討する。

便が不十分であったため、医師の指示

の単回使用であれば問題ない ・パス委員会より、本事例の注意
喚起を行う。
と考えて、
「マグコロール単

でマグコロール散50g 1包が追加で処
23時頃になっても排便はなく、患者は

回、マグミット投与継続時注 ・パス作成時に、組み込まれてい
る薬剤を含めて確認し、パスの
意」とカルテに記載した。し

嘔吐した。夜間も患者は腹痛と嘔吐が

かし医師はその記載に気付か

適用基準・除外基準に薬剤の禁

続き、看護師は当直医師に報告した。

ず、気付いたとしても意図が

忌に関する内容を設定するな

X線撮影を行い、酸素飽和度の低下に

伝わりにくい表現であった。

ど、対策を行う。

方され、同日18時頃に服用した。同日
医療事故情報



対して酸素3L/分を投与した。嘔吐に ・パスに組み込まれている薬剤 ・多職種で共有すべき情報はわか
りやすい表現とし、カルテ記載
の妥当性を評価する体制がな
よる誤嚥防止のため胃管を挿入した。
だけでなく対話による情報共有
かった。
胸腹部CT撮影を施行した結果、両側下
を行う。

肺野のすりガラス影の増悪と、硬便を
閉塞起点とした腸閉塞と診断された。

翌朝、患者の経過について主治医に報告し、手術は中止となった。主治医の診察時に軽度意識障害が認めら
れ、血液検査を施行したところ、血中マグネシウム値が15.0mg/dLであり、高マグネシウム血症による意識
障害と診断され、緊急の血液透析と腸閉塞解除目的で手術の方針となった。呼吸状態の悪化がみられたため
気管挿管を行った後に持続緩徐式血液濾過透析(CHDF)を開始した。血中マグネシウム値が5.9mg/dLまで
低下したため、21:00にS状結腸人工肛門造設術、虫垂切除術を施行した。術後CHDFを再開し、事例発生翌
日8:00頃には患者の意識状態は改善し、血中マグネシウム値は3.4mg/dLに改善した。
専門分析班の議論
○対策の一つとして、パスを作成する時点でリスクのある薬剤は組み込まないようにすることが挙げられ
る。パス作成時に多職種でパスを審査する体制があるとよい。薬剤師が、パスに組み込む薬剤をチェック
し、必要に応じて禁忌の疾患を除外基準にするなど、介入することが望まれる。
○パスを作成した後も、定期的に、あるいは一定数の症例を適用した時点で内容の見直しを行い、改善して
いくことが重要である。
○医療機関において、医療安全の担当者とパスの担当者は異なることが多いが、本事例のように医療安全部
門とパス委員会が連携し、取り組みにつながったことはよかった。

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医療事故情報収集等事業

第 83 回 報 告 書