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医療事故情報収集等事業 第83回報告書 (12 ページ)
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| 出典情報 | 医療事故情報収集等事業 第83回報告書(12/25)《日本医療機能評価機構》 |
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第83回報告書について
2)医師に血液検査のパニック値の連絡をしたが未対応となった事例
臨床検査のパニック値とは、
「
『生命が危ぶまれるほど危険な状態にあることを示唆する異常
値』で、直ちに治療を開始すれば救命しうるが、その把握は臨床的な診察だけでは困難で、検査
によってのみ可能である」と定義されており、パニック値とする検査項目や閾値は各医療機関で
決められ、運用されている。
本事業では、第42回報告書(2015年9月公表)の個別のテーマの検討状況の「パニック値の
緊急連絡に関連した事例」で、パニック値であったが臨床検査部から連絡がなかった事例と、臨
床検査部から連絡したが主治医に伝わらなかった事例を分析した。その後、2016年2月に医療
安全情報No.111「パニック値の緊急連絡の遅れ」を提供し、パニック値の緊急連絡が医師に伝
わらなかったため、患者の治療が遅れた事例を取り上げた。また、第53回報告書(2018年6月
公表)の再発・類似事例の分析では、医療安全情報No.111提供後の再発事例について、改めて
情報提供した。
このように、パニック値であることが医師に伝わらなかったために患者の治療が遅れた事例に
ついて取り上げてきたが、本事業には、パニック値であることを医師に連絡したが、医師が対応
していなかったために患者に影響があった事例も報告されている。今回、本報告書の分析対象期
間(2025年4月~9月)に、患者が化学療法のため入院した際、入院当日の血液検査でグルコー
スが518mg/dLとパニック値であったため、臨床検査技師が医師に報告したが、高血糖に対応し
ないまま予定していた抗がん剤の投与を行い、その後、退院した事例など、2件の報告があっ
た。そこで、血液検査の結果がパニック値であることを医師に連絡したが、医師が対応していな
かった事例を過去に遡って検索し、分析を行った。
事例の概要では、患者の外来/入院の区分や事例で報告されたパニック値の検査項目を示し
た。事例の分析では、検査時の患者の状態と報告されたパニック値や、未対応となった背景、患
者への影響などを示した。さらに、主な事例を紹介し、医療機関から報告された背景・要因と再
発防止策をまとめて示した。患者の区分では、外来の事例が多く、その中には検査のためだけに
来院した事例が報告されていた。診察の予定がない日に実施された血液検査の結果がパニック値
であった場合の対応については、あらかじめ院内で対応方針を整理し、外来のスタッフに周知し
ておく必要がある。
報告された事例はいずれもパニック値に対応しないまま外来診察を終了または退院しており、
生命が危ぶまれるほど危険な状態であるにもかかわらず対応が遅れたことで、患者への影響が大
きくなった可能性がある。患者が入院中であれば、医師だけでなく患者に関わる薬剤師や看護師
なども検査値を把握できるため、パニック値の有無と対応されているかについても確認できると
よい。
電子カルテの検査結果画面において、パニック値が区別して表示されていなかった事例が報告
されていた。他の検査結果と同じ表示では、緊急対応を要する検査値であることに気付くことが
できない可能性もあるため、一目でパニック値であることがわかるような表示にしておくとよ
い。さらに、パニック値である場合は、電子カルテを開いた際に「対応済」ボタンを押すまで
ポップアップが表示されるようなアラート機能を搭載するなどの工夫が考えられる。
未対応となった背景を整理したところ、パニック値の連絡は行われていたが、報告を受けた側
–7–
医療事故情報収集等事業
第 83 回 報 告 書
2)医師に血液検査のパニック値の連絡をしたが未対応となった事例
臨床検査のパニック値とは、
「
『生命が危ぶまれるほど危険な状態にあることを示唆する異常
値』で、直ちに治療を開始すれば救命しうるが、その把握は臨床的な診察だけでは困難で、検査
によってのみ可能である」と定義されており、パニック値とする検査項目や閾値は各医療機関で
決められ、運用されている。
本事業では、第42回報告書(2015年9月公表)の個別のテーマの検討状況の「パニック値の
緊急連絡に関連した事例」で、パニック値であったが臨床検査部から連絡がなかった事例と、臨
床検査部から連絡したが主治医に伝わらなかった事例を分析した。その後、2016年2月に医療
安全情報No.111「パニック値の緊急連絡の遅れ」を提供し、パニック値の緊急連絡が医師に伝
わらなかったため、患者の治療が遅れた事例を取り上げた。また、第53回報告書(2018年6月
公表)の再発・類似事例の分析では、医療安全情報No.111提供後の再発事例について、改めて
情報提供した。
このように、パニック値であることが医師に伝わらなかったために患者の治療が遅れた事例に
ついて取り上げてきたが、本事業には、パニック値であることを医師に連絡したが、医師が対応
していなかったために患者に影響があった事例も報告されている。今回、本報告書の分析対象期
間(2025年4月~9月)に、患者が化学療法のため入院した際、入院当日の血液検査でグルコー
スが518mg/dLとパニック値であったため、臨床検査技師が医師に報告したが、高血糖に対応し
ないまま予定していた抗がん剤の投与を行い、その後、退院した事例など、2件の報告があっ
た。そこで、血液検査の結果がパニック値であることを医師に連絡したが、医師が対応していな
かった事例を過去に遡って検索し、分析を行った。
事例の概要では、患者の外来/入院の区分や事例で報告されたパニック値の検査項目を示し
た。事例の分析では、検査時の患者の状態と報告されたパニック値や、未対応となった背景、患
者への影響などを示した。さらに、主な事例を紹介し、医療機関から報告された背景・要因と再
発防止策をまとめて示した。患者の区分では、外来の事例が多く、その中には検査のためだけに
来院した事例が報告されていた。診察の予定がない日に実施された血液検査の結果がパニック値
であった場合の対応については、あらかじめ院内で対応方針を整理し、外来のスタッフに周知し
ておく必要がある。
報告された事例はいずれもパニック値に対応しないまま外来診察を終了または退院しており、
生命が危ぶまれるほど危険な状態であるにもかかわらず対応が遅れたことで、患者への影響が大
きくなった可能性がある。患者が入院中であれば、医師だけでなく患者に関わる薬剤師や看護師
なども検査値を把握できるため、パニック値の有無と対応されているかについても確認できると
よい。
電子カルテの検査結果画面において、パニック値が区別して表示されていなかった事例が報告
されていた。他の検査結果と同じ表示では、緊急対応を要する検査値であることに気付くことが
できない可能性もあるため、一目でパニック値であることがわかるような表示にしておくとよ
い。さらに、パニック値である場合は、電子カルテを開いた際に「対応済」ボタンを押すまで
ポップアップが表示されるようなアラート機能を搭載するなどの工夫が考えられる。
未対応となった背景を整理したところ、パニック値の連絡は行われていたが、報告を受けた側
–7–
医療事故情報収集等事業
第 83 回 報 告 書