よむ、つかう、まなぶ。
医療事故情報収集等事業 第83回報告書 (54 ページ)
出典
| 公開元URL | |
| 出典情報 | 医療事故情報収集等事業 第83回報告書(12/25)《日本医療機能評価機構》 |
ページ画像
ダウンロードした画像を利用する際は「出典情報」を明記してください。
低解像度画像をダウンロード
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
2
【2】医師に血液検査のパニック値の連絡をしたが未対応となった事例
■
分析テーマ
No.
事例の詳細
事例の背景・要因
再発防止策
尿膜管がんに対し、8日前から経口抗がん ・当院では検体検査の緊急報告値を定 ・糖尿病の患者は、抗がん剤の治
療前に糖尿病科にコンサルトす
めており、その中でも、特定項目と
剤(S-1)の投与を開始した。患者は糖尿
る。
して「Hb5g/dL以下」「グルコース
病の既往があり、HbA1c9.0%台、グルコー
ス200mg/dL台とコントロール不良である
ことを医師Aは認識していた。入院時の血
40mg/dL以下」
「カリウム1.5mmol/L ・入院時の血液検査の結果を確認
し、パニック値の連絡時には適
以下、7.0mmol/L以上」の運用を別
切に対応する。
途定めている。
パニック値に該当した。入院後の担当医B ・特定項目に該当した場合には、依頼 ・医師だけでなく関わる看護師や
薬剤師、栄養士なども検査値、
医に連絡がつくまで電話し、60分
はグルコースが高値であることを認識して
糖尿病歴などを確認し、チーム
後に検査部でカルテを確認して、処
おらず、CDDPの投与時にはステロイドを使
液検査のグルコースは476mg/dLで当院の
用するため高血糖が予測される状態であっ
置の入力がない場合は、その後の対
医療の強化ができるような体制
たが、血糖測定などの指示入力をしていな
応まで確認している。検査部のマ
を作る。
かった。入院当日、CDDPを投与した。翌
日、予定通り患者は退院した。6日後、患者
ニュアルの「パニック値、特定項 ・本事象を共有し、振り返りを行
う。
目、報告フロー」にも記載されてい
が倦怠感で緊急受診したところ、血液検査
る。
・あらためてパニック値の報告後
にてグルコース1006mg/dL、HbA1c12%、 ・今回のパニック値は特定項目(グル
コ ー ス40mg/dL以 下 ) に は 該 当 せ
UN64mg/dL、カリウム6.5mmol/Lであり、
4
糖尿病性ケトアシドーシス、高浸透圧性高
ず、担当医Bに電話できたため、検
血糖と診断し、糖尿病外来にコンサルトし
査部としては対応を終了していた。
の対応について周知する。
た。ICUに入室して大量輸液と持続インス ・抗がん剤投与時にデカドロンを投与するため、グルコース値の悪化が予
リン療法を行った。
想される状態であったが、血糖管理をしていなかった。
・今回は、コントロール不良の糖尿病患者にステロイドを投与し、さらに
下痢による脱水や体調不良時に清涼飲料水を多飲したことで高血糖が誘
発されたと考えられるが、コントロール不良の血糖への対応が適切にさ
れず悪化を招いた可能性がある。
・抗がん剤治療開始前に糖尿病科にコンサルトすること、入院時の血液検
査の結果を確認することや、パニック値の連絡時に適切な対応をする必
要があったが、行っていなかった。
・担当医Bは、パニック値の電話連絡を検査科より受けたと思われるが、
他の業務も重なり、すぐに対応できなかった。
・担当医Bは、診療記録へ検査結果を記載する際、グルコース値を記載し
ておらず、グルコースを意識していなかった可能性がある。
・3日間の入院中、担当医Bのほか主治医や他レジデントもおり、チーム
で患者を診療していたにもかかわらず、誰も検査結果を確認できておら
ず、パニック値の存在に気付かなかった。
・担当医Bは病棟診療を担っていたが、もともと外科医で、腫瘍内科の内
科的治療を学ぶため、今年度入職したばかりのレジデントであり、上級
医はレジデントの知識や技術の把握を正しく行い、支援する必要があっ
た。
– 49 –
医療事故情報収集等事業
第 83 回 報 告 書
【2】医師に血液検査のパニック値の連絡をしたが未対応となった事例
■
分析テーマ
No.
事例の詳細
事例の背景・要因
再発防止策
尿膜管がんに対し、8日前から経口抗がん ・当院では検体検査の緊急報告値を定 ・糖尿病の患者は、抗がん剤の治
療前に糖尿病科にコンサルトす
めており、その中でも、特定項目と
剤(S-1)の投与を開始した。患者は糖尿
る。
して「Hb5g/dL以下」「グルコース
病の既往があり、HbA1c9.0%台、グルコー
ス200mg/dL台とコントロール不良である
ことを医師Aは認識していた。入院時の血
40mg/dL以下」
「カリウム1.5mmol/L ・入院時の血液検査の結果を確認
し、パニック値の連絡時には適
以下、7.0mmol/L以上」の運用を別
切に対応する。
途定めている。
パニック値に該当した。入院後の担当医B ・特定項目に該当した場合には、依頼 ・医師だけでなく関わる看護師や
薬剤師、栄養士なども検査値、
医に連絡がつくまで電話し、60分
はグルコースが高値であることを認識して
糖尿病歴などを確認し、チーム
後に検査部でカルテを確認して、処
おらず、CDDPの投与時にはステロイドを使
液検査のグルコースは476mg/dLで当院の
用するため高血糖が予測される状態であっ
置の入力がない場合は、その後の対
医療の強化ができるような体制
たが、血糖測定などの指示入力をしていな
応まで確認している。検査部のマ
を作る。
かった。入院当日、CDDPを投与した。翌
日、予定通り患者は退院した。6日後、患者
ニュアルの「パニック値、特定項 ・本事象を共有し、振り返りを行
う。
目、報告フロー」にも記載されてい
が倦怠感で緊急受診したところ、血液検査
る。
・あらためてパニック値の報告後
にてグルコース1006mg/dL、HbA1c12%、 ・今回のパニック値は特定項目(グル
コ ー ス40mg/dL以 下 ) に は 該 当 せ
UN64mg/dL、カリウム6.5mmol/Lであり、
4
糖尿病性ケトアシドーシス、高浸透圧性高
ず、担当医Bに電話できたため、検
血糖と診断し、糖尿病外来にコンサルトし
査部としては対応を終了していた。
の対応について周知する。
た。ICUに入室して大量輸液と持続インス ・抗がん剤投与時にデカドロンを投与するため、グルコース値の悪化が予
リン療法を行った。
想される状態であったが、血糖管理をしていなかった。
・今回は、コントロール不良の糖尿病患者にステロイドを投与し、さらに
下痢による脱水や体調不良時に清涼飲料水を多飲したことで高血糖が誘
発されたと考えられるが、コントロール不良の血糖への対応が適切にさ
れず悪化を招いた可能性がある。
・抗がん剤治療開始前に糖尿病科にコンサルトすること、入院時の血液検
査の結果を確認することや、パニック値の連絡時に適切な対応をする必
要があったが、行っていなかった。
・担当医Bは、パニック値の電話連絡を検査科より受けたと思われるが、
他の業務も重なり、すぐに対応できなかった。
・担当医Bは、診療記録へ検査結果を記載する際、グルコース値を記載し
ておらず、グルコースを意識していなかった可能性がある。
・3日間の入院中、担当医Bのほか主治医や他レジデントもおり、チーム
で患者を診療していたにもかかわらず、誰も検査結果を確認できておら
ず、パニック値の存在に気付かなかった。
・担当医Bは病棟診療を担っていたが、もともと外科医で、腫瘍内科の内
科的治療を学ぶため、今年度入職したばかりのレジデントであり、上級
医はレジデントの知識や技術の把握を正しく行い、支援する必要があっ
た。
– 49 –
医療事故情報収集等事業
第 83 回 報 告 書