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提案書13(2402頁~2600頁) (43 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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直腸癌に対するロボット支援手術件数上位31施設を対象としたROSEMARY studyの結果では、2019年と2020年の2年間で3 超低位前方切除術は887
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 例、4 経肛門吻合を伴う切除術は322例施行されており、手術時間の平均値はそれぞれ364分、443分、出血量平均値は53mlであった。開腹移行は1
後等のアウトカム
例(0.1%)のみであり、術後30日以内のClavien-Dindo分類3以上の合併症は全体で116例(9.6%)に生じ、死亡症例は認めなかった。
③再評価の根
拠・有効性
ガイドライン等での位置づけ

④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

大腸癌ガイドライン2022年版において、「大腸癌に対するロボット支援手術は、従来式の
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
腹腔鏡下手術と比べて開腹移行率の減少、泌尿生殖器機能障害の減少を認める」との記載
る。)
されている。

現在ロボット支援直腸癌手術は1切除術 2低位前方切除術 3切断術の3つの区分になっており、経肛門吻合に関する診療報酬上の規定は、低位
前方切除術に含まれる形になっている。実際の手術においては、経肛門吻合は会陰操作を伴う術式であり、手術時間の延長や高度な技術が要求さ
れるため、新たに定義して、腹腔鏡下手術、開腹手術と同様の分類とすることが望ましいと考える。
直腸癌の手術治療では永久人工肛門を回避した、括約筋間直腸切除術(ISR)に代表される肛門温存手術(経肛門手縫い吻合を伴う)が普及し
てきた。永久人工肛門を回避することができ、患者さんのQOLの向上と、ストーマ管理に関する医療費抑制に貢献している術式である。このISRに
関する腫瘍学的予後は(観察期間中央値:78ヶ月)7年の全生存率(OS)は78%、無再発生存率(DFS)は67%、局所無再発生存率(LFS)は80%
と、直腸切断術に劣らない結果であり、許容される術式として論文報告されており、国際・国内学会を通じてメインセッションで取り上げられる
術式となっている。大腸癌研究会から発行されている大腸癌治療ガイドラインにおいても、ISRに関して記載されており、大腸癌研究会が実施し
た全国175施設のアンケート調査では、73.7%の施設で導入されている結果であり、全国的に認知・実施させている術式と考えられる。また、腹
腔鏡下直腸切除・切断術(K740-2)が普及してきたことは、日本内視鏡外科学会が継続的に実施している「内視鏡外科手術に関するアンケート調
査 第15回集計結果報告」においても報告があり、さらには今回内視鏡外科学会で実施した「ROSEMARY試験」においてロボット支援直腸癌手術が
安全に実施できている結果であり、ロボット支援直腸癌手術の件数が増加している状況である。
このISRでは、直腸を切除した後に経肛門的に手縫い吻合をする必要があり、この吻合は新肛門を再建する手技にあたる。令和4年度の診療報酬
改訂において、腹腔鏡下手術における経肛門吻合を伴う切除術の新設(K740-2 4)があったように、ロボット支援直腸癌手術に伴う経肛門吻合に
関しても、診療報酬上に規定して、腹腔鏡下直腸癌手術と同様の分類改定をお願いしたい。

見直し前の症例数(人)

ロボット支援直腸癌手術

見直し後の症例数(人)

ロボット支援直腸癌手術 1 切除術 2 低位前方切除術 3 超低位前方切除術 4 経肛門吻合を伴う切除術 5 切断術において、1と5の人数に変
化はない。2と3と4の合計が約3,000症例となる。予測される内訳は、2 1,500例、3 1,000例、4、500例と考えられる。

見直し前の回数(回)

回数の変化はなし

見直し後の回数(回)

回数の変化はなし

年間対象者数の
変化

1 切除術

2 低位前方切除術

3 切断術において、1と3の人数に変化はない。2が年間約3,000症例。

年間実施回数の
変化等

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

令和4年度の診療報酬改定で腹腔鏡下手術における直腸切除・切断術において、K-740-2 2 低位前方切除 3 超低位前方切除術がそれぞれ加点さ
れ、4 経肛門吻合を伴う切除術(肛門温存手術)が新設された。ロボット支援直腸癌手術が普及してきたことは、日本内視鏡外科学会が実施した
「ROSEMARY試験」においても明らかであり、医療技術として成熟し日本内視鏡外科学会においても直腸癌に対するロボット支援手術は認められた
手技となっている。腫瘍の局在(肛門縁から腫瘍までの距離が短い)や肛門温存手術については高度な技術が要求されるため、術式に応じた適切
な評価が必要と考える。実施に当たっては日本消化器外科学会専門医、日本大腸肛門病学会専門医、日本内視鏡外科学会技術認定医、ロボット手
術のサーティフィケートを取得し、肛門管から骨盤の解剖に習熟した医師が行うことが望ましい。技術度はDと考えられる。

施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 日本内視鏡外科学会、日本外科学会、日本消化器外科学会、日本大腸肛門病学会の定める基準を満たした施設
制等)
・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

日本消化器外科学会専門医や日本大腸肛門病学会専門医、また日本内視鏡外科学会技術認定医の資格を持ち、なおかつロボット手術のサーティ
人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門 フィケートを有する肛門管や骨盤内解剖に習熟した常勤の医師が2名以上、直腸癌手術の十分な経験をもつ看護師が2名以上いる体制が必要であ
る。
性や経験年数等)
当該技術の適応判断および実施に当たっては、大腸癌研究会編の大腸癌治療ガイドラインを参考にし、肛門管近傍の下部直腸癌が適応となる。
その他
また、K740-2 4経肛門吻合を伴う切除術では「経腹的操作及び経肛門的操作による内外括約筋間直腸切除と経肛門的操作による肛門再建による自
(遵守すべきガイドライン等その他の 然肛門温存を行った場合に算定する」と定義され、診療報酬明細書に手術記録を添付するとされていることから、ロボット支援手術における経肛
要件)
門吻合を伴う切除術においても、同様の算定基準とするなどの対処があってもよいと考える。

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

日本内視鏡外科学会においては、内視鏡手術の技術認定医制度があり、各手術領域ごとに厳しいビデオ審査も含まれた認定試験があり、本邦にお
ける消化器外科領域における内視鏡外科手術技術は大変向上し、安全性を担保するとともに普及した背景がある。文献的な報告として、直腸癌手
術におけるロボット支援手術の妥当性を評価する報告が多くなってきた事に加えて、本邦における内視鏡外科手術の技術の高さを担保する、日本
内視鏡外科学会の取り組みから、今回実施したROSEMARY試験の結果から安全性については問題ないと考えられる。

⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

直腸癌に対するロボット支援手術はガイドラインや内視鏡外科学会のアンケート調査、ROSEMARY試験の結果からも普及した手術と位置づけられる
ことから、倫理性や社会的妥当性に問題はないと考える。むしろ、直腸癌手術において開腹手術、内視鏡手術とロボット支援手術の分類に違いが
あることは、手術手技に対する不適切な評価につながる事から、同様の分類と点数評価をしていただく事は社会的に重要である。

見直し前
⑧点数等見直し
の場合

⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)

見直し後
その根拠
区分
番号
技術名
具体的な内容

K740-2 ロボット支援直腸癌手術 1 切除術(75,460点)2 低位前方切除術(83,930点)3 切断術(83,930点)
K740-2 ロボット支援直腸癌手術 1 切除術(75,460点)2 低位前方切除術(83,930点) 3 超低位前方切除術(91,470点)
除術(100,470点) 5 切断術( 83,930点)
腹腔鏡下直腸切除・切断術に準ずる

740-2
腹腔鏡下直腸切除・切断術

直腸癌手術患者の総数に大きな差は無いことから、腹腔鏡下手術であるK740-2の総数とロボット支援直腸癌手術の総数を合わせた数は変わりな
い。減点、削除の項目はないが、新たな分類として提案するロボット支援手術の件数が増えれば、K740-2の腹腔鏡下直腸切除・切断術の件数が減
ることになる。またロボット支援直腸癌手術の件数は増加傾向であるが、総数としては大きな変化はなく、適切に5分類されていることになる。
増(+)

プラスマイナス

⑩予想影響額

4 経肛門吻合を伴う切

予想影響額(円)

158,100,000円

その根拠

提案するロボット支援直腸癌手術における術式区分の 3 超低位前方切除術(91,470点) 4 経肛門吻合を伴う切除術(100,470点)
(83,930点)について、現在のロボット支援直腸癌手術で設定されている点数との差額分が増額となる

備考

3の増加分
4の増加分

1000×(91,470-83,930)=7,540,000点
500×(100,470-83,930)=8,270,000点

⑪算定要件の見直し等によって、新たに使用される医薬
品、医療機器又は体外診断薬

手術支援ロボット

⑫その他

特になし

⑬当該申請団体以外の関係学会、代表的研究者等

日本消化器外科学会、日本大腸肛門病学会

ダビンチサージカルシステム(米国Intuitive Surgical社)

2444

5 切断術