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提案書13(2402頁~2600頁) (131 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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医療技術評価提案書(保険未収載技術用)
整理番号

※事務処理用

提案される医療技術名
申請団体名

365101
尿失禁手術・再生幹細胞移植(経尿道)
一般社団法人

24泌尿器科

主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科

日本排尿機能学会

33形成外科
関連する診療科(2つまで)
00なし

提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した医
療技術の提案実績の有無



過去に提案した年度
(複数回提案した場合は、直近の年度)
「実績あり」の
場合、右欄も記 提案当時の医療技術名
載する

令和2年度
脂肪組織由来再生(幹)細胞採取・経尿道的移植術

追加のエビデンスの有無



提案される医療技術の概要
(200字以内)

前立腺全摘除・切除術後の男性腹圧性尿失禁の患者に対し、麻酔下で皮下脂肪組織を採取し、閉鎖式回路と酵素を用いて全自
動細胞用遠心機により非培養脂肪組織由来再生(幹)細胞を分離する。尿道より内視鏡を挿入し、外尿道括約筋の機能改善目的
に再生(幹)細胞を注入し再生を促し、また尿道内腔閉鎖をするために膜様部尿道粘膜下へ脂肪組織と再生(幹)細胞を混和した
ものを注入する。この新規治療で当該疾患の改善が期待できる。

対象疾患名

保険収載が必要な理由
(300字以内)

腹圧性尿失禁
前立腺全摘除又は切除後の合併症に腹圧性尿失禁がある。初期治療には、行動療法・薬物療法が選択されるが奏功しないこと
がある。外科治療の人工尿道括約筋植込・置換術は、重度の患者に用いられ、高確率で再発が知られている。本術式は、行動
療法及び薬物治療が無効又は効果不十分な1日平均尿失禁量が軽度から中等度の腹圧性尿失禁症の患者に対して、長期的な尿
失禁量・回数の改善、QOLの改善が期待される。また、脂肪吸引術と尿失禁手術(脂肪組織由来再生(幹)細胞注入)を一連と
する新規の術式で、現行の診療報酬上、類似の手技がないことから、保険収載が必要と考える。なお、本術式による治験で被
験機器の有効性・安全性が確認された。

文字数: 300
【評価項目】
①提案される医療技術の対象
・疾患、病態、症状、年齢等

前立腺全摘除術又は前立腺切除術後に腹圧性尿失禁を生じ、行動療法及び薬物治療が無効又は効果不十分、あるいは薬物療法
が実施困難で、かつ、以下のいずれかの基準を満たす術後1年以上継続する軽度から中等度の腹圧性尿失禁に罹患している男
性患者。

②提案される医療技術の内容
・方法、実施頻度、期間等
(具体的に記載する)

①全身麻酔又は4時間以上持続可能な下半身麻酔下で、患者の腹部等から皮下脂肪組織を約300 mL採取する。②「セルーショ
ン セルセラピーキット SUI」(30400BZX00029000)及び「セルーション 遠心分離器」(13B1X10155000001)を用いて非
培養脂肪組織由来再生(幹)細胞を分離濃縮する。③経尿道内視鏡下で尿道括約筋部を同定後、外尿道括約筋内(5時、7時の方
向)に分離して得られた細胞0.5 mLずつを投与する。また、膜様部尿道粘膜下(4時、8時の方向、必要であれば6時にも追
加)に、注入用として予め洗浄した脂肪組織16 mLと分離して得られた細胞4 mLを混和したものを尿道内腔の閉鎖が内視鏡的
に確認できる程度にそれぞれ10 mLずつ注入する。概ね単回治療であり、手術は約4時間(細胞の分離に要する時間を含む)で
終了する。

区分
③対象疾患に対
して現在行われ
ている医療技術
(当該医療技術
が検査等であっ
て、複数ある場
合は全て列挙す
ること)


823-5
人工尿道括約筋植込・置換術

番号
医療技術名

既存の治療法・検査法等の内容

④有効性・効率性
・新規性、効果等について③との比較
・長期予後等のアウトカム

研究結果

人工尿道括約筋植込・置換術は、外尿道括約筋機能低下を有する中等度から重度の腹圧性尿失禁を対象に、人工尿道括約筋を
植込む外科的療法である。人工尿道括約筋は、尿道に巻きつけた括約筋機能を代替するカフを用いて、陰嚢内のコントロール
ポンプを押すことでカフを弛緩させて排尿を制御する。手術は原則として全身麻酔で行われ、手術時間の目安は2時間程度で
ある。圧力バルーン、カフ、コントロールポンプ等複数の部品を体内に埋植する埋植手術は、侵襲性が高い手技となる。場合
によっては感染症等の併発リスクや構成品の摩耗等による再植え込みの可能性もあり、長期的には故障、合併症の問題により
約25%が置換、抜去されるという報告(Med Devices, 2016; 9: 175-183)もある。

本術式の有効性は、国内における臨床試験で確認されている。2015年7月-2019年3月に男性腹圧性尿失禁を対象とした多施設
共同非盲検非対照試験が実施された。主要評価項目である投与52週後の尿失禁量の減少率が50%以上であった患者の割合は閾
値レスポンダー割合を上回っており、尿失禁量や副次評価項目のQOLスコアの改善が認められた(参考文献1)。尿失禁回数及
び尿パッド枚数は経時的な改善が大きくなる傾向が認められ、本術式がQOL改善につながることが示唆された。また、投与後4
年以上経過後も尿失禁の改善は維持されており、本術式の長期的な有効性が確認されている(参考文献2)。「男性下部尿路
症状・前立腺肥大症診療ガイドライン」(2017日本泌尿器科学会編)において、前立腺手術後などの尿失禁に対する手術療法
(外科的治療法)として挙げられている手術は、人工尿道括約筋植込・置換術のみであり、当該手術は、重度の患者に使用さ
れることがある。また、「K823-2尿失禁又は膀胱尿管逆流現象コラーゲン注入手術」に用いるコラーゲンは安全性の問題から
販売中止となっており、軽度から中等度の腹圧性尿失禁に対して人工尿道括約筋を使用しない場合には、他の治療方法の選択
肢が現状ない。そのため、本術式は人工尿道括約筋植込・置換術の適応にはならないが、他の治療方法が奏功しないあるいは
実施困難な腹圧性尿失禁患者にとってアンメットメディカルニーズを満たす臨床的に意義のある外科的治療法である。
参考文献1:Gotoh M, et al. International Journal of Urology (2020) 27, 859-865
参考文献2:Gotoh M, et al. International Journal of Urology (2019) 26, 400-405
2a

⑤ ④の根拠と
なる研究結果等
ガイドライン等での位置づけ

「男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン」の改訂時に
ガイドライン等での記載なし(右欄にガイドライン等の 本術式について掲載予定。学会は、本技術の適正使用指針を策定
改訂の見込み等を記載する。)
し、施設基準・実施医基準を設けて、指針に沿った講習会修了を条
件とする予定。

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