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提案書13(2402頁~2600頁) (171 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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③再評価の根
拠・有効性

前立腺肥大症に対するツリウムレーザーを用いた経尿道的前立腺蒸散術は、前述の特徴を活かし、安定したレーザー深達長による安全性の高い蒸
散術として世界的に広く実施され、有効性(文献①)と合併症出現率(文献②,③)が、KTPレーザー、ダイオードレーザー、および経尿道的前立腺切
除術(TUR-P)と同等であることが報告された。ヨーロッパ泌尿器科学会の作成した前立腺肥大症ガイドラインでは、本レーザーを用いた経尿道的
手術は、“TUR-Pと比較して、高い安全性と止血能、短いカテーテル留置期間と入院期間、さらにはTUR-Pと同等の長期有効性が認められる”こと
から、前立腺肥大症に対する治療として、エビデンスレベル1aと高い評価を受けている(文献④)。最近では、国内外で当該技術とTUR-Pの無作為
化比較試験が行われ、TUR-Pと同等の有効性と、優れた低侵襲性が示された。国内におけるTUR-Pとの無作為化比較試験(UMIN000039731)では、当
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 該技術では血中ヘモグロビン濃度の減少が少なく(0.10 g/dL vs 0.69 g/dL, P<0.0001)、カテーテル留置期間が短いこと(2 days vs 3 days,
後等のアウトカム
P<0.0001)、TUR-Pと同等以上の切除効率が得られたこと(切除量/TZ体積, 中央値85% vs. 75%, P<0.0001; 術後血清PSA値, 中央値0.78 ng/mL vs.
1.56 ng/mL, P<0.0001)が示された(文献⑤)。また、勃起機能への影響として、術前に勃起が認められた症例における術後12ケ月目の勃起不全率
は、当該技術が14%、TUR-Pが44%と有意差(P=0.009)が認められ、ツリウムレーザーの勃起機能への低侵襲性が示唆された(文献④)。当該技術は、
2022年度診療報酬改定で保険収載となり、国内での普及が進むとともに、さらにはレーザー出力を増加させた機器の普及により、従来よりも大き
な前立腺肥大症に対する手術が、TUR-Pから当該術式に移行し、安全に実施されるようになった。われわれは、国内16施設を対象とした実態調査
を行った結果、前回要望時よりも手術時間は増加しており、この点を考慮し、保険点数の再評価を要望するに至った。

ガイドライン等での位置づけ

④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

年間対象者数の
変化

年間実施回数の
変化等

厚生労働省NDBオープンデータでは、2020年度に経尿道的レーザー前立腺切除・蒸散術 (ツリウムレーザーを用いるもの)は、1,547例実施されて
いる。近年、ツリウムレーザーの出力が増加し、安全に大きな前立腺肥大症の治療が可能となった。さらに、機器の普及が進んでいることをふま
えると、現在、経尿道的前立腺切除術(経尿道的前立腺手術)(2020年度実績: 11,704人)のうち、10%(1,170人)が経尿道的レーザー前立腺切除・蒸
散術 (ツリウムレーザーを用いるもの)に移行すると考えられる。このため、見直し後は、2,717人に増加すると推定した。

見直し前の症例数(人)

1,547

見直し後の症例数(人)

2,717

見直し前の回数(回)

1,547

見直し後の回数(回)

2,717

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

ガイドライン等での記載なし(右欄にガイドライン等
本要望は、実態調査に基づくものであり、ガイドラインへの記載の見込みはない。
の改訂の見込み等を記載する。)

・経尿道的レーザー前立腺切除・蒸散術 (ツリウムレーザーを用いるもの)は、男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン(2017年, 日本
泌尿器科学会編)において、“B”(行うことを勧める術式)とされ、ヨーロッパ泌尿器科学会では、エビデンスレベル1aと高い成熟度の手術して評
価されている。・難易度は、外保連試案の技術度Dであり、ホルミウムレーザー、倍周波数レーザー、およびネオジウム・ヤグ倍周波数レーザ
(グリーンレーザー)を用いた経尿道的レーザー前立腺切除術・蒸散術と同等の技術習得期間を要する。

施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 泌尿器科
制等)
人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門 技術度D, 医師2 (協力医師数1を含む), 協力看護師数2, 時間2.5時間
性や経験年数等)
その他
男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン(2017年, 日本泌尿器科学会編)“B”, ヨーロッパ泌尿器科学会 前立腺肥大症ガイドライン
(遵守すべきガイドライン等その他の (2019年) (エビデンスレベル1a)
要件)

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

前立腺肥大症に対するツリウムレーザーを用いた経尿道的前立腺蒸散術は、前述の特徴を活かし、安定したレーザー深達長による安全性の高い蒸
散術として世界的に広く実施され、有効性(文献①)と合併症出現率(文献②,③)が、KTPレーザー、ダイオードレーザー、および経尿道的前立腺切
除術(TUR-P)と同等であることが報告された。ヨーロッパ泌尿器科学会の作成した前立腺肥大症ガイドラインでは、本レーザーをもちいた経尿道
的手術は、“TUR-Pと比較して、高い安全性と止血能、短いカテーテル留置期間と入院期間、さらにはTUR-Pと同等の長期有効性が認められる”こ
とから、前立腺肥大症に対する治療として、エビデンスレベル1aと高い評価を受けている(文献④)。最近では、国内外で当該技術とTUR-Pの無作
為化比較試験が行われ、TUR-Pと同等の有効性と、優れた低侵襲性が示された。国内におけるTUR-Pとの無作為化比較試験(UMIN000039731)では、
当該技術では血中ヘモグロビン濃度の減少が少なく(0.10 g/dL vs 0.69 g/dL, P<0.0001)、カテーテル留置期間が短いこと(2 days vs 3 days,
P<0.0001)、TUR-Pと同等以上の切除効率が得られたこと(切除量/TZ体積, 中央値85% vs. 75%, P<0.0001; 術後血清PSA値, 中央値0.78 ng/mL vs.
1.56 ng/mL, P<0.0001)が示された(文献⑤)。

⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

問題なし

⑧点数等見直し
の場合

⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)

見直し前
見直し後

18,190
22,690

その根拠

2022年7月から11月に実施した国内での当該手術に関する実態調査に基づいて、当該手術を評価したところ、ツリウムレーザーの出力エネルギー
の増加に伴い、手術対象となる前立腺肥大症のサイズが増大し、それに伴い、手術時間が当初よりも長くなっている。一方、手術時間は延長して
いるものの、従来の経尿道的前立腺手術と比較して、安全な手術が可能であることから、今後、当該術式への移行が見込まれる。当該術式は、外
保連試案2024に基づいて算定すると、診療報酬額は419,190円になる(手術試案9.4版, 試案ID:S92-0299610)が、経尿道的レーザー前立腺切除・蒸
散術(ホルミウムレーザー又は倍周波数レーザーを用いるもの)(K841-2 1)は外保連試案2024での費用計419,190円に対して診療報酬は20,470点
であり一概に費用と診療報酬は一致していないことから、術者医師人件費0.5時間分の4,500点を加点した22,690点を希望するに至った。

区分

区分をリストから選択

番号
技術名

該当なし
該当なし

具体的な内容

該当なし
減(-)

プラスマイナス

⑩予想影響額

予想影響額(円)

836,550

その根拠

当該術式の症例数は、普及性④をふまえると、2,717人/年(当該手術の2020年度実績と経尿道的前立腺手術の10%の症例数を加えたもの)と予測さ
れる。申請希望する診療報酬額226,900円⑧に基づいた計算では、手技料は96,408,000円の増額になる。ただし、当該術式は、TURPと比較して入
院期間が短い(当該術式:TURP=5.9日:10.3日)ので、入院費は97,244,550円(2022/2023年度 DPC 期間Ⅱ 1,847点×4.5日分×1,170人)の減額
となる。以上から、影響額は、マイナス836,550円と予想された。

備考

特になし

⑪算定要件の見直し等によって、新たに使用される医薬
品、医療機器又は体外診断薬

特になし

⑫その他

特になし

⑬当該申請団体以外の関係学会、代表的研究者等

特になし

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