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地方創生2.0基本構想(案) (4 ページ)
出典
公開元URL | https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_chihousousei/yusikishakaigi/dai10/gijisidai.html |
出典情報 | 新しい地方経済・生活環境創生会議(第10回 6/3)《内閣官房》 |
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第1章 はじめに
明治維新以降、日本は約 160 年にわたり、社会構造・産業構造・人口構造の大
きな変化を乗り越えながら、着実に国づくりを進めてきた。近代国家の成立、戦
後復興と高度経済成長、バブル経済の経験、そして成熟社会への移行といった
歴史の転換点において、我が国はその都度、新たな国家像を模索し、国民の知恵
と努力によって進路を切り拓いてきた。
この間、地方は常に国づくりの基盤として重要な役割を担ってきた。明治期
には、地租改正や学制の普及を通じて制度的基盤が地方において整備され、戦
後には農村や地域産業が復興の原動力となった。高度経済成長期には、地方か
ら都市部への労働力の供給が、全国的な経済発展に大きく寄与した。
1980 年代のバブル経済とその崩壊を経て、1990 年代以降の日本は、経済成長
の持続を図りつつ、少子高齢化の進行や多様化する国民ニーズへの対応などの
新たな社会的課題に直面し、さらに 2011 年以降は、総人口が一貫して減少する
という、これまで経験したことのない長期的な課題にも本格的に向き合う局面
を迎えた。
こうした中、2014 年に「地方創生」を開始して以降、まち・ひと・しごと創
生法の制定、政府関係機関の地方移転や地方創生の交付金などにより、全国各
地で地方創生に向けた取組が行われ、様々な好事例が生まれたことは、大きな
成果である。一方、こうした好事例が次々に「普遍化」することはなく、人口減
少や、東京圏への一極集中の流れを変えるまでには至らなかった。
好事例の普遍化は、なぜ進まなかったのか。地方公共団体は、国-都道府県-
市区町村という「縦」のつながりのみならず、他の町といった「横」の関係を改
めて意識することが必要ではないか。各地域において、若者や女性も含め、産官
学金労言士等の地域の多様なステークホルダーが、「女性や若者にも選ばれる」
地域となるため、自ら考え、行動を起こすことが必要ではないか。その際、RE
SAS 1等の情報基盤を活用した客観的なデータの分析も重要ではないか。
明治維新後の中央集権国家体制において、
「富国強兵」のスローガンの下で「強
い国」が目指され、戦後、敗戦からの復興や高度経済成長期の下で「豊かな国」
が目指された。こうした中、効率的に資源を集積する形で、東京圏への一極集中
が進んできた。世界を見渡しても、極端に人口・経済が一極に集中する国は日本
と韓国のみであるとも言われている。
一方、国民の持つ価値観が多様化する中で、多様な地域・コミュニティの存在
こそが、国民の多様な幸せを実現する。そのためには、一人一人が自分の夢を目
指し、「楽しい 2」と思える地方を、民の力を活かしつつ、官民が連携して作り
出していく必要がある。
「都市」対「地方」という二項対立ではなく、都市に住
1
地域経済に関するビッグデータを地図上やグラフで可視化する地域経済分析システム。
2025 年大阪・関西万博の開催を迎える中、1970 年大阪万博に参画された堺屋太一氏の最後の
著書「三度目の日本 幕末、敗戦、平成を越えて (祥伝社新書)」を参考としている。
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明治維新以降、日本は約 160 年にわたり、社会構造・産業構造・人口構造の大
きな変化を乗り越えながら、着実に国づくりを進めてきた。近代国家の成立、戦
後復興と高度経済成長、バブル経済の経験、そして成熟社会への移行といった
歴史の転換点において、我が国はその都度、新たな国家像を模索し、国民の知恵
と努力によって進路を切り拓いてきた。
この間、地方は常に国づくりの基盤として重要な役割を担ってきた。明治期
には、地租改正や学制の普及を通じて制度的基盤が地方において整備され、戦
後には農村や地域産業が復興の原動力となった。高度経済成長期には、地方か
ら都市部への労働力の供給が、全国的な経済発展に大きく寄与した。
1980 年代のバブル経済とその崩壊を経て、1990 年代以降の日本は、経済成長
の持続を図りつつ、少子高齢化の進行や多様化する国民ニーズへの対応などの
新たな社会的課題に直面し、さらに 2011 年以降は、総人口が一貫して減少する
という、これまで経験したことのない長期的な課題にも本格的に向き合う局面
を迎えた。
こうした中、2014 年に「地方創生」を開始して以降、まち・ひと・しごと創
生法の制定、政府関係機関の地方移転や地方創生の交付金などにより、全国各
地で地方創生に向けた取組が行われ、様々な好事例が生まれたことは、大きな
成果である。一方、こうした好事例が次々に「普遍化」することはなく、人口減
少や、東京圏への一極集中の流れを変えるまでには至らなかった。
好事例の普遍化は、なぜ進まなかったのか。地方公共団体は、国-都道府県-
市区町村という「縦」のつながりのみならず、他の町といった「横」の関係を改
めて意識することが必要ではないか。各地域において、若者や女性も含め、産官
学金労言士等の地域の多様なステークホルダーが、「女性や若者にも選ばれる」
地域となるため、自ら考え、行動を起こすことが必要ではないか。その際、RE
SAS 1等の情報基盤を活用した客観的なデータの分析も重要ではないか。
明治維新後の中央集権国家体制において、
「富国強兵」のスローガンの下で「強
い国」が目指され、戦後、敗戦からの復興や高度経済成長期の下で「豊かな国」
が目指された。こうした中、効率的に資源を集積する形で、東京圏への一極集中
が進んできた。世界を見渡しても、極端に人口・経済が一極に集中する国は日本
と韓国のみであるとも言われている。
一方、国民の持つ価値観が多様化する中で、多様な地域・コミュニティの存在
こそが、国民の多様な幸せを実現する。そのためには、一人一人が自分の夢を目
指し、「楽しい 2」と思える地方を、民の力を活かしつつ、官民が連携して作り
出していく必要がある。
「都市」対「地方」という二項対立ではなく、都市に住
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地域経済に関するビッグデータを地図上やグラフで可視化する地域経済分析システム。
2025 年大阪・関西万博の開催を迎える中、1970 年大阪万博に参画された堺屋太一氏の最後の
著書「三度目の日本 幕末、敗戦、平成を越えて (祥伝社新書)」を参考としている。
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