よむ、つかう、まなぶ。
【参考資料2】精神疾患を有する患者に対する腎代替療法等に関する調査研究報告書 (80 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58633.html |
出典情報 | 精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会(第7回 6/9)《厚生労働省》 |
ページ画像
ダウンロードした画像を利用する際は「出典情報」を明記してください。
低解像度画像をダウンロード
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
令和6年度 障害者総合支援事業費補助金(障害者総合福祉推進事業)
精神疾患を有する患者に対する腎代替療法等に関する調査研究 報告書
8.6. おわりに
本報告書では、精神疾患を有する患者に対する RRT、特に血液透析の提供体制に焦点を
当て、現状の課題と今後の対応について検討した。調査結果から、精神科医療機関と透析医
との連携不足、意思決定支援の困難さ、診療報酬や医療計画上の課題など、多くの問題点が
浮き彫りとなった。特に、維持透析を提供できる医療機関が極めて限られていることや、精
神病床の割合が高い病院では透析導入の判断や腎臓医との連携が困難であることにより、
透析治療の提供が制約されていることがうかがえた。
精神疾患患者の身体合併症への対応には、RRT にとどまらず、より広範な課題を内包し
ている。腎不全に限らず、悪性腫瘍や心血管疾患など高度な医療を必要とする身体疾患をも
つ精神疾患患者が適切な身体科治療を受けられない事例は少なくない。特に、近年の有床総
合病院精神科の減少により、精神疾患と身体疾患の双方が重症である患者に対する治療の
選択肢がますます狭まっていることは深刻な問題である。
現行の医療提供体制では、精神疾患を理由として適切な身体疾患治療を受けられない状
況が発生していると言わざるを得ず、これは決して許容されるべきものではない。診療報酬
上の課題や、精神科医療と身体科医療の連携の不十分さ等により、結果として患者の生命予
後や生活の質(QOL)に悪影響を及ぼしていることが危惧される状況であり、急性期のみな
らず、慢性期の医療提供体制についても抜本的な見直しが必要であろう。
また、精神疾患患者における身体疾患管理の改善に向けては、医療計画および精神障害に
も対応した地域包括ケアシステムの中で精神医療と一般医療の連携を強化すること、遠隔
医療や訪問診療の活用を推進すること、公的医療機関の役割を明確化し、行政が積極的に関
与することなどが求められる。
本報告書が、精神疾患患者が適切な腎代替療法を受けられる環境を整える一助となるこ
とを願うとともに、今後も精神疾患患者の身体合併症対応に関する課題について、多職種・
多機関が協力しながら検討を進めていくことが強く望まれる。
79/83
精神疾患を有する患者に対する腎代替療法等に関する調査研究 報告書
8.6. おわりに
本報告書では、精神疾患を有する患者に対する RRT、特に血液透析の提供体制に焦点を
当て、現状の課題と今後の対応について検討した。調査結果から、精神科医療機関と透析医
との連携不足、意思決定支援の困難さ、診療報酬や医療計画上の課題など、多くの問題点が
浮き彫りとなった。特に、維持透析を提供できる医療機関が極めて限られていることや、精
神病床の割合が高い病院では透析導入の判断や腎臓医との連携が困難であることにより、
透析治療の提供が制約されていることがうかがえた。
精神疾患患者の身体合併症への対応には、RRT にとどまらず、より広範な課題を内包し
ている。腎不全に限らず、悪性腫瘍や心血管疾患など高度な医療を必要とする身体疾患をも
つ精神疾患患者が適切な身体科治療を受けられない事例は少なくない。特に、近年の有床総
合病院精神科の減少により、精神疾患と身体疾患の双方が重症である患者に対する治療の
選択肢がますます狭まっていることは深刻な問題である。
現行の医療提供体制では、精神疾患を理由として適切な身体疾患治療を受けられない状
況が発生していると言わざるを得ず、これは決して許容されるべきものではない。診療報酬
上の課題や、精神科医療と身体科医療の連携の不十分さ等により、結果として患者の生命予
後や生活の質(QOL)に悪影響を及ぼしていることが危惧される状況であり、急性期のみな
らず、慢性期の医療提供体制についても抜本的な見直しが必要であろう。
また、精神疾患患者における身体疾患管理の改善に向けては、医療計画および精神障害に
も対応した地域包括ケアシステムの中で精神医療と一般医療の連携を強化すること、遠隔
医療や訪問診療の活用を推進すること、公的医療機関の役割を明確化し、行政が積極的に関
与することなどが求められる。
本報告書が、精神疾患患者が適切な腎代替療法を受けられる環境を整える一助となるこ
とを願うとともに、今後も精神疾患患者の身体合併症対応に関する課題について、多職種・
多機関が協力しながら検討を進めていくことが強く望まれる。
79/83