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【参考資料2】精神疾患を有する患者に対する腎代替療法等に関する調査研究報告書 (52 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58633.html
出典情報 精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会(第7回 6/9)《厚生労働省》
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令和6年度 障害者総合支援事業費補助金(障害者総合福祉推進事業)
精神疾患を有する患者に対する腎代替療法等に関する調査研究 報告書

6.4. 血液透析における意思決定
ESRD となり RRT を検討しなければならない状態となった際には、患者自身に意思決定
能力があるのかないのか、RRT を選択するのか保存的腎臓療法(conservative kidney
management: CKM)を選択するのか、RRT を選択するのであればどのような種類の RRT
をいつから開始するのか、どの時点で透析を見合わせるのかといった、意思決定プロセスを
検討する必要がある (日本透析医学会, 2020)。
透析導入の際には、ESRD の自然経過を説明するとともに、RRT についてと CKM につい
ての情報提供を行いながら、話し合いを繰り返して合意形成を行わなければならない。特に
CKM と透析開始の利益と不利益については、理解できるまで話し合う必要がある。この観
点について「透析の開始と継続に関する意思決定プロセスについての提言」 [日本透析医学
会, 2020](以下、開始と継続の提言)より引用する。
医療チームは、患者の生活全体を把握し、患者が抱える不安や諸問題を理解し、患者・
家族等との話し合いを通じて、患者の利益に資する方策を模索し、関係者全員が納得する
ことが重要である。患者が精神的・社会的問題を抱えている場合には、これらの問題を解
決するための介入を検討することも重要である。また、医療チームは専門家として、病状
や正確な情報をわかりやすく説明し、患者がその人らしい人生を生きていくのに必要な方
策を考えて提案し、必要であればそれを受け入れ支援するための話し合いを繰り返したう
えで合意に至るプロセスが求められる。
透析の開始が必要な末期腎不全(end-stage kidney disease: ESKD)に至った時点で、
RRT を選択していない患者は、その選択に直面する。RRT を開始するかどうか、開始す
るとしたらいつ、どの治療法(腎移植、腹膜透析、血液透析)を選択するか、RRT を選
択しない場合にはどのような自然経過をたどるのか、これらの利益と不利益について説明
する。患者が RRT を選択しないことを医療チームに申し出た場合には、医療チームは
CKM についての情報を提供し、共同意思決定(shared decision making: SDM) のプロ
セスに基づいた話し合いを患者・家族等とすすめ、患者・家族等が CKM を選択して透析
を見合わせた場合、尿毒症症状として呼吸困難、意識障害、肺水腫、不整脈等が起こり死
亡する可能性、透析開始によりこれらの状況が回避できる可能性、透析に伴う苦痛が生じ
る可能性、緩和ケアで苦痛の軽減を図ることができる可能性、見合わせた透析の開始また
は継続を希望すれば実施すること、透析を実施しても死亡する可能性があること等を理解
できるまで説明し、期間を限定した透析の開始についての情報も提供する。精神疾患等に
より意思決定能力に問題があると疑われる場合には、患者・家族等に専門医の受診を勧め

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