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【参考資料2】精神疾患を有する患者に対する腎代替療法等に関する調査研究報告書 (79 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58633.html
出典情報 精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会(第7回 6/9)《厚生労働省》
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令和6年度 障害者総合支援事業費補助金(障害者総合福祉推進事業)
精神疾患を有する患者に対する腎代替療法等に関する調査研究 報告書

者の意思決定支援の必要性についても検討することが求められる。
第 8 次医療計画においては、身体合併症対応についての言及はあるものの、指標とされ
ているのは精神科救急やそれに準ずるような急性期の医療に関する項目であり、維持期の
血液透析といった、継続的に高度な医療が必要とされるような状況については検討がなさ
れていない。これまで精神医療は対象外であった地域医療構想については、第 217 回国会
(令和 7 年常会)提出されている医療法等の一部を改正する法律案が成立すれば、精神医
療も対象とされることになり、これにより身体疾患に対する医療と精神疾患に対する医療
の双方を必要とする患者への対応等における精神医療と一般医療との連携等が推進される
ことが期待される。
本事業で実施した調査やヒアリングにおいては、精神疾患患者の透析に関しては、公的医
療機関の責任において体制を整備することが望まれている。自治体主導による連携体制の
確保や、透析受け入れ可能な精神病床の確保について検討していくことが求められる。

8.5.2. 診療報酬や地方公共団体における対応の課題
本調査事業の結果、精神科病院における透析医療の実施が困難な要因の一つとして、診療
報酬上の不利益が大きく影響していることが明らかとなった。精神科病院の入院患者が外
部医療機関で透析を受ける場合、入院料が大幅に減算される。特に包括病棟においては減算
幅が大きく、経営上の影響が大きい。出来高病棟では経営上の不利益は少ないものの、病棟
の人員配置が不十分であり、患者の状態に適したケアを提供することが困難となり、退院支
援が進まない要因ともなっていると考えられる。また透析を必要とする患者の身体管理の
ためには、相応のスキルが必要とされ、スタッフの負荷も大きいにもかかわらず、精神科身
体合併症管理加算は急性期しか算定できないことも、透析患者の受け入れを躊躇する要因
となっているという側面があることも示唆された。
精神科病院の入院患者が外部医療機関で透析を受ける場合のもう一つの大きな課題は、
送迎や付き添いに係る人員の確保である。透析のために病棟スタッフが付き添う場合、病棟
の人員配置基準を満たさなくなるため、あらかじめスタッフを加配しておく必要があるが、
そのような余剰人員を常時確保するのは極めて困難である。東京都が令和 6(2024)年度から
開始した「身体合併症(慢性維持透析)に係る医療提供体制の確保事業」がほとんど活用さ
れていない背景のひとつには、人員確保の難しさがあるものと推察される。
RRT を必要とする精神疾患患者に早期に適切な治療を提供するためには、精神科医療機
関と腎臓医、透析医療機関との連携が不可欠であり、これらの連携を促進させるための診療
報酬上の対応や地方公共団体が行う事業等についても検討されることが望ましい。

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