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【参考資料2】精神疾患を有する患者に対する腎代替療法等に関する調査研究報告書 (60 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58633.html
出典情報 精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会(第7回 6/9)《厚生労働省》
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令和6年度 障害者総合支援事業費補助金(障害者総合福祉推進事業)
精神疾患を有する患者に対する腎代替療法等に関する調査研究 報告書

とを決め、患者Aの家族(Aの夫)が同席する場で、医師 X から「透析を中止すれば、生
命に関わる」

「透析をやめると2週間くらいで死に至る」と説明されたのち、透析治療か
ら離脱するという趣旨の文章が記載された同意書(「透析離脱証明書」)にサインし、帰宅
した。同 10 日も、看護師、内科医、ソーシャルワーカーが透析中止を患者Aと夫に確認
したが、患者Aの意思は固かった。
同意書へのサインから5日後の同 14 日、患者Aは呼吸が苦しくなるなどの体調不良を
訴え、福生病院に入院した。その後、容態が悪化した。死亡直前の同 16 日未明、患者A
は、パニック状態に陥っており、看護師に対して、
「こんなに苦しいなら透析した方がい
い。撤回する」

「苦しいので透析中止を撤回したい」と透析再開を求めた。Aの夫も「透
析できるようにしてください。助けてください。」と医師Xに透析再開を訴えた。医師X
は、患者Aが落ち着いた同 16 日正午ごろ、手術して透析を受けるか、苦しみの症状を軽
減するかの意向を確認した。患者Aは多量の鎮静剤の投与による苦しみの症状の軽減を選
択し、同 16 日午後5時過ぎに死亡した。このとき、Aの夫はストレス性の胃潰瘍のた
め、同病院にて手術を受けており、麻酔から醒めた時には既に患者Aは死亡していた。こ
の選択に関して、医師Xは「正気の時の(治療中止という女性の)固い意思に重きを置い
た」とした。

6.7. 倫理的困難と課題
精神病床に入院しながらの透析を要する状態は、精神疾患を有する患者における困難さ
と課題を示していると考えられる。新井ら (2012) の報告では、いわゆる総合病院(興生会
相模台病院:精神科を含む全 17 科;総病床数 306 床、精神科開放病棟 48 床・閉鎖病棟 69
床、認知症治療病棟 38 床、泌尿器科病棟 39 床、内科系・小児科病棟 46 床、外科・整形外
科系病棟 66 床;2012 年時点)において、入院による血液透析を必要とした精神疾患を有
する者の臨床的特徴をまとめている(表 31)。
「一般身体科病棟でも管理が困難な統合失調
症患者の血液透析は、鎮静や薬物療法、血液透析時の不穏などへの対処などでも苦慮するこ
とが多」く、この精神疾患の重症度次第で精神科病棟というハードが必要となり、結果とし
て、精神科病棟を有し、かつ、血液透析が実施可能な病院の必要性が生じることが想定され
る。

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