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【参考資料2】精神疾患を有する患者に対する腎代替療法等に関する調査研究報告書 (57 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58633.html
出典情報 精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会(第7回 6/9)《厚生労働省》
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令和6年度 障害者総合支援事業費補助金(障害者総合福祉推進事業)
精神疾患を有する患者に対する腎代替療法等に関する調査研究 報告書

疫学的実態について明らかにすることは困難であった。

6.5.4. 精神科医療機関の治療体制
令和 2(2020)年度の障害者総合福祉推進事業において、精神科医療機関の身体合併症に
対する取組について調査がなされており [日本精神科病院協会, 2021]、その中で透析施設
の有無についても調査がなされている。
有効回答数 460 病院のうち、
86 病院
(全体の 18.7%)
で透析施設を有していたが、精神病床が全体の 80%以上の 333 病院では 6 病院(1.8%)

20%未満の 127 病院では 80 病院(63.0%)が透析施設を有しているという結果であった。
回答数に留意する必要はあるものの、いわゆる精神科単科病院やそれに準ずる病院におい
て透析を実施できる施設は極めて限られるものと考えられる。

6.6. 社会的出来事
精神疾患を有する患者に対する RRT について、特に HD の導入と中止に関する社会的出
来事として、県立宮崎病院での出来事と、福生病院での出来事について概観する。

6.6.1. 県立宮崎病院での透析受け入れ拒否事案(1991 年)
本事案については藤野ら (2002) のまとめを以下に抜粋する(精神分裂病と表記されて
いた部分については統合失調症に改めた)。
この事例は、1991(平成 3)年に宮崎県で生じたもので、精神科治療と糖尿病性腎症の
治療を必要としたケースである。精神科で入院治療を受けていた糖尿病性腎症の A 子(42
歳)が E 県立病院に人工透析療法を求めたところ、
「人工透析療法のために日常の自己管
理能力がない」との理由で断られ、まもなく死亡した。A 子の母親と妹らが治療を拒否し
た E 県立病院を相手どり、損害賠償請求を行った。
地裁判決は、日常の自己管理能力がないことを理由に人工透析を断ることは社会通念に
著しく相当性を欠くとした。また、患者が興奮したり暴れて透析の施行自体が困難となっ
たり、自己管理能力の欠如により透析をしても死亡する事態が近い将来に予想されるか、
透析により腎不全状態が改善されても退院後日常生活を営みうる可能性がないなどの特段
の事情がない限り、透析の適応のある場合には人工透析を導入すべき義務があるとされ
た。県は判決を不服として控訴したが、高裁においても原告が勝訴した。
原告及び病院側の主張

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