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【参考資料2】精神疾患を有する患者に対する腎代替療法等に関する調査研究報告書 (74 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58633.html
出典情報 精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会(第7回 6/9)《厚生労働省》
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令和6年度 障害者総合支援事業費補助金(障害者総合福祉推進事業)
精神疾患を有する患者に対する腎代替療法等に関する調査研究 報告書

は、精神疾患患者の透析導入の必要性を判断できるとの回答は約 11%にとどまっている。
さらに、主たる診療科が精神科である病院においては、約半数が連携・相談できる腎臓医は
いないと回答しており、単科精神科病院では透析導入の必要性の判断自体が相当に困難な
状況であると考えられる。遠隔診療の利用も含め、単科精神科病院と腎臓医との有効な連携
のあり方を検討する必要がある。


維持透析
維持透析に関しては、いわゆる総合病院精神科においても、実施可能な医療機関は約 66%

であり、透析導入と比較してその割合が低くなっている。主たる診療科が精神科である病院
においては、約 96%が実施不可能と回答している。ヒアリング調査や有識者会議の意見で
も、維持透析が可能な医療機関を確保することは、透析導入以上に困難であることが示唆さ
れており、この現状に鑑みて透析導入自体を断念するという状況もあることが推察される。
精神病床への入院が必要であり、自院で維持透析ができない場合は、病棟から透析医療
機関に通院する方法が考えられるが、精神症状が重篤である場合は外来通院が困難なこと
が多い。また通院可能な場合においても、診療報酬上病院の不利益や通院のための人員確保
が困難であることなどから、現行の診療報酬制度下では実施が極めて困難であるといえる。
精神科病院においては身体疾患の管理や看護にかかるメディカルスタッフの負担が大きい
ことも、維持透析の実施を困難としている要因のひとつである。

8.2.2. 外来・在宅治療
精神科病床に入院中の透析患者 62 名を対象とした調査では、約 60%は入院期間が 1 年
以上であり、5 年以上入院している者も約 20%を占めた。紹介経路を見ると、他院身体科
入院からの受け入れが最多であり、入院治療が必要とされる理由としても、身体疾患の治療
が最も多かった。約半数の患者は条件が整えば外来透析での対応が可能とされているもの
の、通院先の確保や居住先の確保が困難な状況であることが示された。これらの結果から
は、精神科病床が、身体疾患を抱える精神疾患患者にとって、地域に十分な医療提供体制や
支援体制が存在しないことに起因する長期療養の受け皿として機能していることが示唆さ
れる。入院環境下においては精神症状が安定しているにもかかわらず、通院透析への移行が
困難な患者が少なからず存在していた。また、透析を必要とする精神疾患患者の多くが高齢
者であり、地域において維持透析を継続するためには、透析医療機関への送迎体制や、精神
症状が悪化した際に精神科医療による対応が適時可能な体制、さらに医療との連携を強化
した居住支援や介護・福祉的支援などの整備が必要であると考えられる。
精神科外来に通院している精神疾患患者の維持透析については、継続的に精神症状が安
定していれば、透析を提供できる医療機関の確保は可能であると考えられる。しかし、常時

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