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【参考資料2】精神疾患を有する患者に対する腎代替療法等に関する調査研究報告書 (33 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58633.html |
出典情報 | 精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会(第7回 6/9)《厚生労働省》 |
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令和6年度 障害者総合支援事業費補助金(障害者総合福祉推進事業)
精神疾患を有する患者に対する腎代替療法等に関する調査研究 報告書
包括病棟に入院している患者においては減算の幅が大きく、経営上深刻な打撃となり得る。
いわゆる出来高病棟であれば減算の幅が小さいものの、精神科の出来高病棟では人員配置
が十分ではないため、患者の状態に応じた適切な医療を提供することが困難となる場合が
あるとの指摘や、精神科身体合併症管理加算が不十分であるとの意見もあった。このような
診療報酬の建付けは、2012 年に日本医師会病院委員会が「精神疾患であることが故に満足
な身体的治療が受けられないという差別を内在しているという認識を持たねばなない」と
批判した通り、精神科患者の他科受診の権利を奪い、生命をも脅かすものとなっているとの
指摘もあった。また、外部の医療機関で透析を受ける場合、週3回の通院時に必要とされる
送迎費用や、透析中の付き添い等に要する人員の確保は容易ではない。職員が付き添いのた
め病棟に不在となれば、人員基準を満たさなくなるとの判断をされる可能性があるが、その
ような状況を想定して予め余剰人員を確保しておくことは現実的ではないとの意見があっ
た。精神科病院に維持透析が可能な病床を確保し、補助金により経済的不利益を補うことが
必要ではないかとの意見も得られた。
3. 行政の関与と公的医療機関の役割
多くの回答者が、精神疾患患者の透析に関しては、公的医療機関の責任において体制を整
備することが適当であると述べている。自治体による連携体制の確保や、各都道府県の責任
において透析受け入れ可能な病床の確保を進めるべきとの意見が多い。また、透析が必要と
なった場合に県をまたいでの転院を余儀なくされるケースが多い地域もあり、地域ごとの
格差が顕著であるとの指摘もあった。
4. 精神症状と透析の適応
精神疾患に対する偏見から、精神疾患があることを理由に透析を受け入れてもらえない
場合があるという意見があった。一方で、精神症状が不安定で、興奮や不穏な行動が著しい
場合、透析中に必要な安静の保持が難しいことに加えて、他の透析中の患者への影響や器物
破損などが生じうる懸念もあり、特に透析関連機器の破損による影響は他の患者の治療に
も深刻な影響をおよぼすことなどから、医療機関側が受け入れを躊躇する要因となってい
るとの指摘もあった。また、透析導入時に患者の意思決定能力が問われるケースも多く、意
思決定が困難な患者が医療からはじかれている状況であり、適切な意思決定支援が必要で
あるとの意見が得られた。精神科病院においては、腎臓内科を専門としない医師と家族だけ
で治療方針の決定を行わざるを得ない状況となりがちであるとの現状認識についても言及
されている。加えて、日本は透析導入が過剰になっているのではないか、出口を見据えた透
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精神疾患を有する患者に対する腎代替療法等に関する調査研究 報告書
包括病棟に入院している患者においては減算の幅が大きく、経営上深刻な打撃となり得る。
いわゆる出来高病棟であれば減算の幅が小さいものの、精神科の出来高病棟では人員配置
が十分ではないため、患者の状態に応じた適切な医療を提供することが困難となる場合が
あるとの指摘や、精神科身体合併症管理加算が不十分であるとの意見もあった。このような
診療報酬の建付けは、2012 年に日本医師会病院委員会が「精神疾患であることが故に満足
な身体的治療が受けられないという差別を内在しているという認識を持たねばなない」と
批判した通り、精神科患者の他科受診の権利を奪い、生命をも脅かすものとなっているとの
指摘もあった。また、外部の医療機関で透析を受ける場合、週3回の通院時に必要とされる
送迎費用や、透析中の付き添い等に要する人員の確保は容易ではない。職員が付き添いのた
め病棟に不在となれば、人員基準を満たさなくなるとの判断をされる可能性があるが、その
ような状況を想定して予め余剰人員を確保しておくことは現実的ではないとの意見があっ
た。精神科病院に維持透析が可能な病床を確保し、補助金により経済的不利益を補うことが
必要ではないかとの意見も得られた。
3. 行政の関与と公的医療機関の役割
多くの回答者が、精神疾患患者の透析に関しては、公的医療機関の責任において体制を整
備することが適当であると述べている。自治体による連携体制の確保や、各都道府県の責任
において透析受け入れ可能な病床の確保を進めるべきとの意見が多い。また、透析が必要と
なった場合に県をまたいでの転院を余儀なくされるケースが多い地域もあり、地域ごとの
格差が顕著であるとの指摘もあった。
4. 精神症状と透析の適応
精神疾患に対する偏見から、精神疾患があることを理由に透析を受け入れてもらえない
場合があるという意見があった。一方で、精神症状が不安定で、興奮や不穏な行動が著しい
場合、透析中に必要な安静の保持が難しいことに加えて、他の透析中の患者への影響や器物
破損などが生じうる懸念もあり、特に透析関連機器の破損による影響は他の患者の治療に
も深刻な影響をおよぼすことなどから、医療機関側が受け入れを躊躇する要因となってい
るとの指摘もあった。また、透析導入時に患者の意思決定能力が問われるケースも多く、意
思決定が困難な患者が医療からはじかれている状況であり、適切な意思決定支援が必要で
あるとの意見が得られた。精神科病院においては、腎臓内科を専門としない医師と家族だけ
で治療方針の決定を行わざるを得ない状況となりがちであるとの現状認識についても言及
されている。加えて、日本は透析導入が過剰になっているのではないか、出口を見据えた透
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