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【参考資料2】精神疾患を有する患者に対する腎代替療法等に関する調査研究報告書 (8 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58633.html |
出典情報 | 精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会(第7回 6/9)《厚生労働省》 |
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令和6年度 障害者総合支援事業費補助金(障害者総合福祉推進事業)
精神疾患を有する患者に対する腎代替療法等に関する調査研究 報告書
診、訪問診療を含む多様な診療形態の活用を促進することが必要である。また、透析を必要
とする精神疾患患者が地域生活を継続するためには、透析医療機関への送迎体制や精神症
状再燃時の診療・支援体制、居住・介護支援との連携が不可欠であることが示唆された。
第三に、意思決定支援の必要性が示された。透析治療の開始・中止に関する判断は生命に
直結し、かつ精神症状による意思能力の変動が生じうることを考慮すると、臨床倫理支援体
制の整備や、精神疾患患者の身体疾患治療に関する意思決定支援のあり方を学際的に検討
することが必要であると考えられた。加えて、精神科病院では RRT に関する適切な情報提
供を行うこと自体が困難であることから、患者の自己決定を支える情報提供のあり方につ
いても検討することが望まれる。
第四に、多職種による支援の必要性も明らかになった。身体疾患への対応力を持つ看護師
の育成、精神保健福祉士・社会福祉士・薬剤師・公認心理師の活用、さらには介護・福祉職
との協働が重要である。特に、精神身体合併症に対応可能な人材育成は中長期的な課題とし
て検討を重ねていくことが求められる。
最後に、国および地方公共団体の役割に着目した。精神疾患患者への RRT 提供体制を整
備するにあたり、個別の医療機関の努力に委ねるだけでは限界があることは、本調査研究よ
り明らかである。今後「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指
針」(厚生労働省告示第 65 号)において、精神科と身体科の連携を支援・促進する制度的枠
組みの構築などについての指針を示すことが望ましいと考えられる。また、第 8 次医療計
画の見直し、地域医療構想の検討の際にも、身体疾患に対する医療と精神疾患に対する医療
の双方を必要とする患者への対応、特に継続的に高度な医療が必要とされるような状況に
ついて議論を深めるとともに、自治体主導による連携体制の確保や、透析受け入れ可能な精
神病床の確保についても検討していくことが求められる。さらに、精神科病院における透析
医療の実施が困難な要因の一つとして、診療報酬上の不利益が繰り返し指摘されているこ
とを踏まえ、診療報酬の見直しについての検討も重要である。
本調査研究の成果は、精神疾患を有する患者に対する腎代替療法の提供体制整備という
喫緊かつ重要な政策課題に対し、実態に即したエビデンスを提供するものである。本報告書
で示された課題と提言が今後の体制整備等において活用され、実効性ある政策が推進され
ることを期待したい。
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精神疾患を有する患者に対する腎代替療法等に関する調査研究 報告書
診、訪問診療を含む多様な診療形態の活用を促進することが必要である。また、透析を必要
とする精神疾患患者が地域生活を継続するためには、透析医療機関への送迎体制や精神症
状再燃時の診療・支援体制、居住・介護支援との連携が不可欠であることが示唆された。
第三に、意思決定支援の必要性が示された。透析治療の開始・中止に関する判断は生命に
直結し、かつ精神症状による意思能力の変動が生じうることを考慮すると、臨床倫理支援体
制の整備や、精神疾患患者の身体疾患治療に関する意思決定支援のあり方を学際的に検討
することが必要であると考えられた。加えて、精神科病院では RRT に関する適切な情報提
供を行うこと自体が困難であることから、患者の自己決定を支える情報提供のあり方につ
いても検討することが望まれる。
第四に、多職種による支援の必要性も明らかになった。身体疾患への対応力を持つ看護師
の育成、精神保健福祉士・社会福祉士・薬剤師・公認心理師の活用、さらには介護・福祉職
との協働が重要である。特に、精神身体合併症に対応可能な人材育成は中長期的な課題とし
て検討を重ねていくことが求められる。
最後に、国および地方公共団体の役割に着目した。精神疾患患者への RRT 提供体制を整
備するにあたり、個別の医療機関の努力に委ねるだけでは限界があることは、本調査研究よ
り明らかである。今後「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指
針」(厚生労働省告示第 65 号)において、精神科と身体科の連携を支援・促進する制度的枠
組みの構築などについての指針を示すことが望ましいと考えられる。また、第 8 次医療計
画の見直し、地域医療構想の検討の際にも、身体疾患に対する医療と精神疾患に対する医療
の双方を必要とする患者への対応、特に継続的に高度な医療が必要とされるような状況に
ついて議論を深めるとともに、自治体主導による連携体制の確保や、透析受け入れ可能な精
神病床の確保についても検討していくことが求められる。さらに、精神科病院における透析
医療の実施が困難な要因の一つとして、診療報酬上の不利益が繰り返し指摘されているこ
とを踏まえ、診療報酬の見直しについての検討も重要である。
本調査研究の成果は、精神疾患を有する患者に対する腎代替療法の提供体制整備という
喫緊かつ重要な政策課題に対し、実態に即したエビデンスを提供するものである。本報告書
で示された課題と提言が今後の体制整備等において活用され、実効性ある政策が推進され
ることを期待したい。
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