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【参考資料2】精神疾患を有する患者に対する腎代替療法等に関する調査研究報告書 (59 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58633.html
出典情報 精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会(第7回 6/9)《厚生労働省》
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令和6年度 障害者総合支援事業費補助金(障害者総合福祉推進事業)
精神疾患を有する患者に対する腎代替療法等に関する調査研究 報告書

裁判所の判断
(1) A 子は人工透析療法のための日常の自己管理能力がないとの理由で断られ、まもなく
死亡したが、日常の自己管理能力がないことを理由として人工透析を断ることは社会
通念に照らして著しく相当性を欠く。
(2) 患者が興奮したり暴れて透析の施行自体が困難となったり、自己管理能力の欠如によ
り透析をしても死亡する事態が近い将来に予想されるか、透析により腎不全状態が改
善されても退院後日常生活を営みうる可能性がないなどの特段の事情がない限り、透
析の適応のある場合には、人工透析を導入すべき義務がある。
(3) 糖尿病性腎症の患者の逸失利益について、退院後日常生活を営みうる可能性が低いと
して認められない。
(4) 透析を導入すれば当面は生存が可能であり、その生存可能性が奪われた精神的苦痛に
対する慰謝料として、患者の症状、透析が拒否されて死亡するまでの経費等諸般の事
情を考慮して、本人分 500 万円分、両親分計 100 万円である。

6.6.2. 福生病院での透析中止事案(2019 年)
本事案の概要については後藤 (2020) が詳細にまとめている。以下に引用する。
(誤植と
思われる部分は引用に際して下線付加の上修正した)
2019 年8月9日、長年、透析治療を受けていた病院からの紹介状を持って、公立福生
病院(以下、福生病院とする)に、糖尿病性腎症や心筋梗塞などを起こし、腎臓病に罹患
した女性(患者Aとする)が来院した。患者Aは前の病院で週3日の透析治療を受けてい
た。患者Aの福生病院への来院時、腎不全を患っており、腕の血管の分路(シャント)が
閉塞し、それまでの方法での透析治療が困難な状態であり、
「末期の腎不全」と診断され
た。
この病状に鑑み、福生病院における患者Aの担当医師(医師Xとする)は、患者Aに対
して、
「血液透析は治療ではない。腎不全による死期を遠ざけているにすぎない」
「多くの
犠牲もつきものであるため、最も大切なのは自己意思だ」と説明し、とり得る処置とし
て、①首に管を入れる新たな手段で透析するか、または、②従来の透析を中止するか、と
いう選択肢を提示した。
患者Aは同日中に、透析治療をやめる(提示されたふたつの手段のうちの②を選択)こ

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