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総-2個別事項について(その8)小児・周産期医療、感染症対策、医療安全、災害医療 (125 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_66044.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 総会(第628回 11/19)《厚生労働省》
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パニック値の概要
○ パニック値とは、1972年に米国の病理医Lundbergにより提唱された概念であり、検体検査において「生命が
危ぶまれるほど危険な状態にあることを示唆する異常値」を指す。
○ 医療機関から一般社団法人 日本医療安全調査機構(以下「医療事故調査・支援センター」(※1))に、パ
ニック値に関する死亡事例が報告されている。
パニック値の表示例
赤色のハイライトで
「P」と表示される
パニック値に関する死亡事例(※2)

ひたちなか総合病院より提供

パニック値の報告体制に関連する死亡事例

患者は70歳代、乳癌・肺癌術後、転移性脳腫瘍に対し化学療法中、深部静脈血栓症に対しワルファリン内服中の入院患者に対してPTINRの定期採血を行っていた。医師は休暇中であったため、事前にオーダーしていたPT-INR>5.8(5.8以上で測定不能※3)の検査
結果の確認に至っていなかった。検査結果は医師が確認するルールのため、臨床検査部門から医師へのパニック値の報告はなかった。
また、薬剤師は検査結果を確認したが疑義照会に至らず、ワルファリンは継続処方・投与された。患者は、約1週間後に嘔気が出現し、
発語内容が不明になり、緊急CT検査の結果、脳出血と診断された。医師はこの時に、前回の検査結果を初めて確認した
パニック値の表示に関連する死亡事例

患者は90歳代、慢性腎不全、左半結腸切除術後の入院患者でカリウム補正中の定期採血を行った。術後に利尿剤投与のため塩化カリ
ウムで補正していた。臨床検査情報システムの検査結果は、27項目中13項目が異常値であり、パニック値との区別がなく赤字で表示
されていた。臨床検査技師は、そのうちのK>10.0 mEq/LとNa 161 mEq/Lに気づかなかった。看護師は、処方されていた塩化カリ
ウムを注入し、投与約2時間後に心室細動が出現した。医師は急変後に検査結果を確認した。
パニック値への対応に関連する死亡事例

患者は70歳代、下肢動脈閉塞に対し、緊急大腿切断術が予定された。術前検査で血清カリウム値がパニック値(2.1mEq/L)であっ
たため、臨床検査技師は医師へ報告した。医師は低カリウム血症と認識したが、緊急手術の準備を優先し、カリウム補正やモニター装
着のないまま、下肢造影CT検査を実施。造影剤注入1分後、呼びかけに反応がなくなり、心室性不整脈が出現、1時間半後に死亡した。
いずれも医療事故調査・支援センター「医療事故の再発防止に向けた提言第20号」より抜粋

※1 医療事故調査・支援センターは、医療法第六条の十五により規定される第三者機関
※2 いずれも医療事故調査・支援センターの分析において、パニック値に関する死亡事故として提言で記載されているもの
※3 基準値はPT-INR 0.8~1.2

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