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提案書19(3602頁~3801頁) (182 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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③再評価の根
拠・有効性

高線量率小線源治療による「加速乳房部分照射」(APBI)は、従来行われている③の「全乳房照射」(WBI)とは異なり、照射範囲を小さく絞っ
て短期間で治療を終了する新しい照射法であり、乳房内再発の可能性が最も大きい腫瘍床近傍に対し照射位置精度と線量集中性に優れた放射線投
与を実現する。
APBIは以下の効果をもつ。
○適応を限定することで局所再発制御は従来と変わらない
○放射性肺炎や心臓障害などの重篤な有害事象の発生リスクが減る
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 ○治療後の整容性の向上が期待できる
後等のアウトカム
APBIはWBIに比べて治療期間を大幅に短縮でき、患者にとってメリットが大きい。
○患者の社会復帰を早め、治療と職業生活の両立を支援する
○仕事や家庭の都合で長期間の通院が難しいという理由だけで、放射線治療を断念したり(※1)、乳房の温存をあきらめて全切除を選ぶ(※2)
という不本意な選択をする患者に新たな選択肢を与える
※1 乳房部分切除術の適応患者のうち2割程度が該当

ガイドライン等での位置づけ

④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

年間対象者数の
変化

年間実施回数の
変化等

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す 乳癌診療ガイドライン(2022年度)【治療編
る。)
奨する」。

日本乳癌学会, 金原出版】にて、「弱く推

<1>将来予測推計(本技術が十分に普及した時期)
令和3年社会医療診療行為別調査より類推した乳腺悪性腫瘍手術の年間実施件数は88,260件で、うち乳房部分切除術が37,908件、乳房切除術が
50,352件である。
乳房部分切除術の適応となる患者のうち当該技術の対象となるのは20%と推定される。
当該技術の対象となる患者群は[A群]~[C群]の3群に分かれる。
[A群]乳房部分切除術を受けWBIを施行している患者(37,908人の8割と推定)のうちSAVIの対象:37,908人×80%×20%=6,065人
[B群]乳房部分切除術を受けWBIを施行していない患者(37,908人の2割と推定)のうちSAVIの対象:37,908人×20%×20%=1,516人
[C群]本来は部分切除の適応だが長期間の通院が困難なため乳房切除術を選んだ患者(50,352人の2割と推定)のうちSAVIの対象:50,352人×20%
×20%=2,014人
3群の合計は 6,065人+1,516人+2,014人=9,595人 となる。
<2>2023年度~2024年度頃の推計
施設基準を満たしSAVIに対応するリモートアフターローディング装置を所有する施設は130施設あり、その中でのSAVI普及率は現時点で1割弱であ
る。2023年度~2024年度頃の普及率は3割、1施設あたりの年間施行患者数の平均は24人(1人/2週)と推定されるので、患者数は 130施設×30%×
24人=936人 となる。

見直し前の症例数(人)

936

見直し後の症例数(人)

9,595

見直し前の回数(回)

936

見直し後の回数(回)

9,595

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

※2 乳房部分切除術の適応患者のうち1割~3割程度が該当

(1)2015年に日本放射線腫瘍学会より発表されたガイドライン【参考文献4】に、本技術の適応/除外基準、治療の方法と手順、施設基準等の指針
が示されている。
(2)日本乳癌学会乳癌診療ガイドライン2022年度版においてAPBIは「行うことを弱く推奨する」に評価を上げられた。
(3)海外においては、SAVI(Strut Adjusted Volume Implant)は2006年にFDA承認を取得後、2009年より米国で本格的に臨床使用され、広く普及
が進んだ。2009年にCEマークを取得後、ドイツ・ポーランド・トルコでも使用されている。2018年3月までに5万人以上の患者が本技術による治療
を受け、1千施設以上が本技術を施行している。
(4)2005年より米国にて、本技術を含むAPBIをWBIと比較する大規模なランダム化比較第Ⅲ相試験(NSABP B-39/RTOG-0414)が実施され、観察期間
10年の解析結果の最初の報告が2018年12月に発表された【参考文献2】。
(5)SAVI:本邦では2013年6月に薬事承認されて2014年3月より臨床で使用され、使用施設が増えつつある。2016年5月より「SAVIを用いた乳房温存
術後小線源治療の治療効果に関する多施設共同観察研究」(UMIN-CTR試験ID UMIN000021237)が実施され、9施設が参加している。
(6)マルチカテーテル:本技術は、本邦では単施設のPhase I/II試験が1998年から【Nose Takayuki, et al. Breast Cancer 13.3 (2006): 289299.】、多施設が2009年から行われ【Yoshida Ken, et al. Breast Cancer 29.4 (2022): 636-644.】、最近、10年局所制御率93%との長期の単
施設データも報告されはじめている【Yoshida Ken, et al. Journal of Contemporary Brachytherapy 15.1 (2023): 1-8.】。
(7)施設要件を満たす施設であれば、簡便に施行可能であり、難度は高くない。

施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 放射線科および、外科または乳腺外科を標榜している。リモートアフターローディング装置を所有している。
制等)
人的配置の要件
上記標榜科における5年以上の経験を有する常勤の医師が、合計2名以上配置されている。更に、5年以上の経験のある専従の看護師、および5年以
(医師、看護師等の職種や人数、専門 上の放射線治療の経験のある専従の医学物理士または診療放射線技師を各1名配置する体制が整備されている。
性や経験年数等)
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の 日本放射線腫瘍学会「密封小線源を用いたハイブリッドアプリケータによる加速乳房部分照射(APBI)ガイドライン」【参考文献4】に基づく。
要件)

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

欧州のランダム化比較第Ⅲ相試験でAPBIの有害事象として色素沈着(0.2%)、線維化(6%)、毛細血管拡張(4%)、乳房痛(1%)、脂肪壊死(1.5%)、それ
に対してWBIの有害事象として色素沈着(1%)、線維化(5%)、毛細血管拡張(5%)、乳房痛(2%)、脂肪壊死(1%)が報告されている【参考文献5】。皮膚
については、Grade 2以上の有害事象は、APBI: 6.9%、WBI: 10.7%と有意にAPBIが少なかったと報告されている。

⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

問題なし

見直し前

23,000

見直し後

62,000

その根拠

現状では本技術は技術料「M004 密封小線源治療(一連につき)3 組織内照射 ロ 高線量率イリジウム照射を行った場合又は新型コバルト小線
源治療装置を用いた場合 23,000点」に包括されて評価されているが、標準的な照射回数が10回であるため、62,000点を提案する。
計算根拠
アプリケータ挿入後、毎回の治療に医師1名+看護師1名+診療放射線技師1名が平均0.5時間立ち会うものとして、時給は外保連試案2022より、医
師の人件費は, 55,840円(図表6, 10年目医師より)、看護師の人件費は, 2,960円(図表16より)、診療放射線技師の人件費は, 2,740円(図表15よ
り)として、人件費は =30,770円/回となり、装置使用料は1,800点/回とし、初回のアプリケータ留置と最終回の抜去時(照射回数2回分)を合わ
せた点数が従前の23,000点として、合計は23,000点 + 3,077点 x (10回-2回) +1,800点 x(10回-2回) = 62,016点となる。

⑧点数等見直し
の場合



区分
⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)

番号
技術名




具体的な内容



3783