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提案書19(3602頁~3801頁) (116 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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研究結果

Kathrynらは膵癌に対するMR搭載治療装置による定位放射線治療の有効性を示している(参考文献1)。Lauren Henkeらは腹
部悪性腫瘍に対しMR画像誘導による本技術を用いることで治療効果を高め、有害事象を軽減することを報告している(参考
文献2)。稲葉らは多岐に渡る癌腫に対し本技術の有効性を報告している(参考文献3)。Alongiらは前立腺癌に対し本技術を
用いた定位放射線治療を行うことにより消化管/尿路系有害事象が大幅に低減できることを報告している(参考文献4)。
Comronらは手術不能膵癌というほとんど治療選択肢が無い症例に対し本技術は有効な治療法であると報告している(参考文
献5)。

⑤ ④の根拠と
なる研究結果等

2a

ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
る。)

ガイドライン等での位置づけ

⑥普及性

年間対象患者数(人)

1,500

国内年間実施回数(回)

6,108

MRIを用いた即時適応強度変調放射線治療については、2021年10
月に日本放射線腫瘍学会、日本医学放射線学会、日本放射線技術
学会、日本医学物理学会より発表される「MR画像誘導即時適応放
射線治療ガイドライン」に本技術の定義、適応/非適応、人的・
施設要件、運用指針が公表されている。

※患者数及び実施回数の推定根拠等

本技術の対象は強度変調放射線治療(M001 3)および定位放射線治療(M001-3 1)を算定可能な症例全てが対象となりうるが、
本技術を利用可能な装置が限られているため、装置台数から推定する。装置設置予定より2023年3月時点でCT搭載装置3台
(装置あたり患者数100人:合計300人)、MRI搭載装置6台(装置あたり患者数200人:合計1,200人)が設置されるとする。よっ
て合計年間対象患者数は1,500人/年が見込まれる。令和3年社会医療診療行為別統計(令和3年6月審査分)によると強度変調
放射線治療と定位放射線治療の割合は68.2%対31.8%であった。また、従来装置での強度変調放射線治療は平均35回分割で行
われるが本技術では治療分割回数が短縮し平均15回分割程度になる。定位放射線治療は平均5回分割を一連とする。また上
記の割合は従来のX線治療時の数値であるが、MRI搭載装置の場合は多くの場合が定位放射線治療の場合で実施されるため、
全体の10%がIMRTで実施されるものとする。また、本技術は当日の位置照合画像を用いて本技術が必要な場合にのみ実施さ
れるが、対象治療回のうち全照射回数で本技術が実施されたと仮定する。これらの条件より強度変調放射線治療はCT搭載装
置:300(名)×68.2(%)×15(回)=3,069回、MRI搭載装置:1,200(名)×10(%)×15(回)=1,800回、定位放射線治療はCT搭載
装置:500(名)×31.8(%)×1(連)=159回、MRI搭載装置:1,200(名)×90(%)×1(連)=1,080回となる。強度変調放射線治
療、定位照射を合算し、合計年間実施回数は、6,108回が見込まれる。

⑦医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

・本技術が実施可能なMRI搭載型放射線治療装置は2023年3月時点において全世界で100台以上が臨床使用されており、日本
国内では臨床稼働中が6台、稼働予定が1台となっている。2024年度には合計7台となる予定である。
・本技術が実施可能なコーンビームCT搭載装置は2021年4月に薬事承認された。2023年3月時点において、全世界において88
施設以上で臨床使用されている。現在、国内では3台が臨床稼働中である。
・本技術は強度変調放射線治療、定位放射線治療が実施でき、人的・施設要件を満たす施設であれば難度は高くない。

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体
制等)

放射線科を標榜している。即時適応放射線治療実施可能な放射線治療装置を所有している。

人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門
性や経験年数等)

放射線治療を専ら担当する常勤の医師が2名以上配置されていること。放射線治療を専ら従事する常勤の診療放射線技師
(放射線治療の経験を5年以上有するものに限る。)が1名以上配置されていること。放射線治療を専ら担当する常勤の看護
師が1名以上配置されていること。放射線治療における機器の精度管理、照射計画の検証、照射計画補助作業を専ら従事す
る常勤の技術者(医学物理士等)(放射線治療における機器の精度管理、治療計画の検証、照射計画補助作業等の経験を5
年以上有するものに限る。)が1名以上配置されていること。

その他
(遵守すべきガイドライン等その他の
要件)

MR画像誘導即時適応放射線治療ガイドライン、放射線治療計画ガイドライン2020、IMRTガイドライン、体幹部定位放射線治
療ガイドライン、IGRTガイドライン2019、呼吸性移動対策ガイドライン2019

⑧安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

本技術は従来の強度変調放射線治療、定位放射線治療と比較し限局した腫瘍への処方線量増加、重要組織への線量を低減す
る照射方法である。腹部悪性腫瘍に対し行われたPhase1試験ではGrade2が5%、Grade3以上の有害事象は生じなかった(参考
文献2)。MR画像誘導即時適応放射線治療を行った最初の前立腺癌患者100人を対象とした報告では消化管晩期有害事象で
Grade2が3%、尿路晩期有害事象はgrade 2が3%、grade 3が1%に見られた(参考文献4)。また国内の報告でも有害事象の発現
は少ないことが示されている(参考文献3)。よって本技術による新たな副作用のリスクはなく、有害事象を軽減できる。

⑨倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)



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